のうがく図鑑

第53巻

哺乳類や鳥類の研究を思いっきり!

畜産草地科学科
坂本 信介 教授
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 アメリカの児童文学に出てきそうなちょっとした探検や冒険にあふれた子供時代を過ごしました。特に動物が大好きで、卵や飼料を扱っていた祖母から鶏をもらって飼ったり、ネコやイヌの後をどこまでもつけたり、友達とネズミを捕まえて軒下でこっそり飼ったり。大学に行こうと思った時にそのことを思い出し、生物学を選びました。とても面白かったのですが、哺乳類や鳥のことをもっと学びたいと思い、それらの行動や生態を研究するようになりました。
 現在は動物環境管理学研究室で学生さんと一緒に、あたたかい地域にくらす哺乳類と鳥の行動や生態を調べています。また、動物の飼育の仕方が成長や情動の発達に与える影響を調べています。飼育動物(家畜、動物園動物、愛玩動物)も野生動物もその動物がおかれた環境(光、温度、餌、捕食者、同種他個体との社会関係など)に応じて、行動や生態をさまざまに変えています。これはそれ自体が面白い現象であるとともに動物の飼育や農場の管理上重要な情報になります。実は、宮崎県のように温帯の中でも特にあたたかい地域での動物の振る舞いにはちょっと特殊なところがありそうです。取り組んでいる研究をいくつか紹介します。北極やアフリカではなく、宮崎だからできる哺乳類や鳥類の研究、あなたもチャレンジしてみませんか?

 
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図1.畜産環境に出現する野生動物
畜舎の周りは野生動物だらけです。農業と自然環境保全の両立のために、地域での野生動物の行動や生態の特徴を調べています。どんな動物かすぐにわかりますか?

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図2.最も普通で美しいノネズミ「アカネズミ」
日本全国に広く生息するノネズミですが、それゆえに生態的機能や環境指標動物としての特性が注目されています。種小名に"きれいな、美しい"を意味するspeciosusが使われています。あたたかい地域とさむい地域で繁殖時期が異なることから、哺乳類の繁殖の仕組みの多様性を調べる上でとても面白い動物です。

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図3.小さなペンギン「カンムリウミスズメ」
日本近海に生息するウミスズメ類で最も南方で繁殖しており、絶滅が危惧されています。宮崎県門川町枇榔島が世界最大の繁殖地であり、何としても保全しなくてはなりません。

さいごに
 畜産草地科学科では、動物の飼育と生産に関わるあらゆることを総合的に学び研究します。対象は家畜を中心に動物園動物や実験動物さらには野生動物におよびます。飼育と生産に不可欠な栄養・成長・繁殖の問題、動物の個体あるいは群れと草地などの外的環境との関わり、餌となる草や飼料のこと、世界の食料問題、ヒトが動物とどのように関わるべきか、面白いことと役に立つことをどのように捉えると良いか。大学や大学院での生活や研究を通して、さまざまな課題とそれらに対するさまざまな価値観に触れることができます。穏やかな気候と美しい景色の中で思うように自由に学んでください。世の中を自分の目で眺め、自分なりに歩んでいくためのヒントがつかめると良いなと思います。


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