2004.12.11

宮崎地域文化研究会ニューズレター(第2号)
 


第二回研究会報告

 宮崎地域文化研究会の第二回研究発表会が11月20日(土)午前10時30分よりカリーノ8階ガガエイトにて開催されました。特に最後の質疑応答は、司会者の仕事が無いくらいの熱が籠ったものになりました。この会報は、これからの会の活動の参考に資するため、当日の会の中身、雰囲気を大まかに伝えるためのものですが、もっと詳しく知りたい会員の方は事務局まで連絡下さるようお願いいたします。

◆当日スケジュール


1 会長挨拶  菅 邦男
2 研究発表  無アクセントの実態と分布-宮崎アクセントの全国的位置づけ-
                    早野慎吾(宮崎大学教育文化学部助教授)
        司会:山田利博(宮崎大学教育文化学部)

 

 
◆研究発表会

 

 日本語アクセントの定義に関してはさまざまであるが、筆者は「統合機能を有する音調現象」と定義する。統合機能に関しては、切れ目を示す機能(金田一(1956)「柴田君の「日本語のアクセント体系」を読んで」)とする説もあるが、筆者は「ある単位をより大きな単位にまとめあげる機能」と考える。

 この統合機能という観点から茨城方言の無アクセントと呼ばれる現象を観察すると、上昇が句の始まりを、下降が句の終わりを表しており、句レベルを統合してることがわかる。さらに、次に示すように、階層的に句が統合されているパターンもあることがわかる。
◎最初に上昇があり、下降が連続するパーターン。

 [1[2 ユーランセンッテユーフネ ガ]2デタンデスヨ]1 (遊覧船っていう船がでたんですよ)
 

 ◎複数の上昇があり、最後に下降するパターン。

 [1フネデカエッテキデ[2ハシゲダノッタラネ]2]1 (船で帰ってきて、橋桁乗ったらね)

 ◎複数の上昇と、複数の下降があるパターン。

 [1アダシラノ[2[3コドモノコロノ]3ミズアソビッテユーノワ]2]1 
 (私らの子供の頃の水遊びというのは)
 

 平安時代の京都においては、助詞や助動詞にも固有のアクセントスタイルを持つものも多く(桜井1964「アクセントから見た助動詞の分類」・1965「助詞アクセントの史的考察」)、「率ゐる」などの複合動詞も●○●○(上下上下)のように発音され、アクセント上は二単位として発音されていた(金田一(1952)「国語アクセント史の研究は何に役立つか」)。アクセントの単位はいわゆる形態素に近い状態であったといえる。現代の京阪式アクセントを観察すると、固有のスタイルを有する助詞なども存在するが、文節に近い状態にある。つまり単位が拡大していることがわかる。詳しくは早野(1999)「非弁別的アクセントの実態と系統」で述べているが、アクセント単位が拡大してきているといえる。さらに、東京式アクセントでは語(もしくは文節)を統合する語アクセント(下降)、句を統合する文アクセント(句頭の上昇)が存在する。
 次に弁別性の強さを考えると、アクセント核の後退や低起式から頭高(核)への変化などは弁別性が弱まってきている現象といえる。つまり、アクセントはその弁別性を弱め、より大きな単位をまとめる方向に向かってきていると考えられる。このことを現代方言に当てはめると次の図のようになる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 無アクセントに関しては、型の消滅、規範性の消滅といわれているが、筆者は弁別性を犠牲にして、統合単位を拡大させたアクセントと解釈している。これは、宮崎方言の無アクセントに関してもいえることである。
 
 

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事務局より

 今回から、会員をより理解して頂くため、研究分野の紹介や近況を掲載したいと思います。掲載希望の方は事務局までご連絡下さい。今回は、宮崎大学の前田先生に研究紹介、山田先生に近況をご報告いただきました。

                                 (早野慎吾 記)

 

【研究紹介】前田角蔵(宮崎大学・近代文学)

 私は現在『試想』という小さな文学研究雑誌を全国の文学者有志七人で発行しています。三号では、白樺派の特集座談会を企画し、これまでの白樺派評価の見直しをはかりました。この見直しに対し、『国文学』(学燈社)の「学会時評・近代」では新しい見直しの視点として高い評価をしてくれました。 この新しい見直しの延長線で、木城の「新しき村」研究にも関わりたいと考えいます。木城の「新しき村」についての情報がありましたらどんどん当研究会事務局なり私宛にお寄せください。

【会員近況】山田利博(宮崎大学・平安文学)

 11月22、23日に院生を連れて、例年どおり高千穂の夜神楽に行って来ました。詳しくは私の発表の時にお話しますが、高千穂の夜神楽は、神道だけでなく、仏教、修験道、民間宗教と、少なくとも4つの宗教(これに陰陽五行を加えれば5つ)が混淆しているところに特徴があると思われます。今年はそうした点を資料にすべく、下野の八幡神社近くの集落を狙ってみました。これも話せば長いことながら、八幡神は、最も神仏習合が進んだ神として、その筋では有名だからです。結果は予想どおり良い絵が撮れました。発表はそれらも利用して、できるだけビジュアルにやりたいと思っていますので、今からお楽しみに。
                            


第三回研究発表会は以下の日時で開催されます。
    日  時  2004年12月18日(土)
           10:30〜12:00
    会  場  宮崎大学サテライト・オフィス(橘通東4丁目「カリーノ宮崎」8階)
            〒880-0805 宮崎県宮崎市橘通東4丁目8番1号
    研究発表  上井覚兼日記における待遇表現
                      宮崎大学教育文化学部助教授 白石一美