宮崎には「わたし」を大切にできる大学があります

国際学会派遣

2010/04/08

国際学会派遣助成 平成21年度 矢野陽子さん

平成21年度国際学会派遣事業採択者レポート


助成事業「女性研究者支援のための国際学会派遣」の採択者よりお話をうかがいましたのでご紹介いたします。

宮崎大学大学院医学系研究科 生体制御系 博士課程3年
機能制御学講座 統合生理学分野  矢野 陽子さん

国際学会の学会名(大会名)と開催地・開催期間は?


Biomedical and Health Informatics-American Medical Informatics Association 2009
Symposium, San Francisco CA(2009年11月14日〜18日)Hilton San Francisco Union Square

どういう内容の学会だったのですか?


生物医学と健康科学(医、薬、歯科、看護、介護)についてコンピュータ工学をはじめとする多様な分野と統合して医療の問題を解決する研究者が集まる学会でした。
今年は約65カ国から約2,000人を越す出席がありました。現在、アメリカでは患者のケアと国民の健康科学を重要な国策の一つと位置付けています。
これらの問題の解決に統合した情報解析と管理が行える新たなキャリアが必要とされています。
本学会において研究発表と共に、そのキャリアを訓練するワークショップが行われました。
今回私は、ICT(情報通信技術)メディアと認知科学を社会に生かす研究分野で、Development of the Medical Mobile Phone attached with Emergency Rescue Functions (ER Keitai ®)をポスター発表しました。
特許を取得した救急救命機能装備の医療用携帯電話機を基に、ヒトの身体の機能と能力(統合生理機能)を自然に生かしたストレスのないメディア開発がこれからのユビキタス社会に必要性であると提言し、こうしたコンセプトがこれからの地域医療と遠隔地医療(アメリカは広い)にICTが効果的に支援できる手段となると提言してきました。

国際学会までの旅の印象やエピソードを教えてください。


今回は、学会前日にシリコンバレーにあるスタンフォード大学を訪ねました。
構内は広大で素朴な赤煉瓦の屋根と緑がたいへん美しく、特に正門周辺は約118年経った今でも当時の校舎と校庭が大切に使われていました。
ここに祖父らが汽船で渡り研究の交流をしていたというのですが当時を体感出来た事は感慨深いものがありました。
またスタンフォード大学なくして現代のITの産業化はなかったといわれています(産学官連携)。
近くにはIntel博物館、テック技術革新ミュージアムがありました。
学会後半、半日の日に電車とバスを乗り継ぎ、約30年ぶりにカリフォルニア大学バークレー校を訪ねました。
両大学に共通していることは、創設当時の建物や構内を常時専属の職員によってメンテナンスが行われている事でした。
それは最先端技術の研究を進めながらも、大学の歴史と学問の探求への誇りを大切に積み重ねている大学の美しさと豊かさが感じられました。
また、学生が構内各所でブースを設け自主的に自分たちの研究を楽しそうにアピールしている様子が目に留まりました。
学会会場でも各大学がブースを設け、そこでは医療情報科学研究室の院生が研究活動の紹介と研究室への勧誘を行っていました。

国際学会に参加した感想をお願いします。


今回の学会で得られた事は世界で「情報科学分野」がどのように研究され、各国でどのように必要とされているのかという事をそれぞれの研究発表から把握できた事です。
そして、今回の発表で今後の研究と提言を世界に向けて行えるノウハウが経験できた事です。
会場ではポスターに多くの方々が訪れて賛同して下さいました。
帰国すると海外の有名雑誌社の編集長から発表したポスターを創刊号に論文として招待したいというメールが入っていました。
思いもよらない展開でした。また、ポスターを見られて海外の方々から研究の情報と新たな国際学会へのお誘いが入るようになりました。
知人も沢山増えました。学会はサンフランシスコ市内中央であったため、通学会の間も充実したものとなりました。

国際学会派遣公募の制度について感想をお願いします。


国際学会派遣公募の制度は学生の育成に重要な制度であると実感しています。
伊達先生が「一歩踏み出すと思いもよらない展開が待っています。」と言われた事がありました。
私はこの制度のおかげで今回も新たな出会いと思いもよらない展開がありました。
学生の内にこの制度で世界をみてこられる事をお勧めします。
「百聞は一見にしかず」この制度の効果の報告とご参考にしていただくためにこれでも一部ですが、できるだけ写真を載せました。
私は大学院においてこの制度があったお陰で研究はもとより、それに伴う諸事から国内外の多くの事を学ぶ事ができました。
大変意義のある制度であると心から感謝しています。
〜ありがとうございました。〜