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国際学会派遣

2011/03/18

国際学会派遣助成 平成22年度 高塚 佳代子さん

平成22年度国際学会派遣事業採択者レポート


助成事業「女性研究者支援のための国際学会派遣」の採択者よりお話をうかがいましたのでご紹介いたします。

農学工学総合研究科 物質情報工学専攻 
工学部教育研究支援技術センター 高塚 佳代子さん

国際学会の学会名(大会名)と開催地・開催期間は?


大会名 INDIN2010
開催地 大阪大学中之島センター
開催期間 2010.7.14(水)〜7.17(土)

どういう内容の学会だったのですか?


今回出席したIEEE INDINは、産業系情報技術の最先端と今後の展望について議論するための国際会議です。世界各地で毎年開催されており、私自身は2006年のシンガポールに続く2度目の参加です。セッションとしては大きく分けてTTとSSの2種類あります。(おそらく、TTは企業主導の応用的実践報告、SSは大学主導の新規研究開発報告という分類と思われます。)私が参加したSS側は、更に、ソフトウェア工学、生物情報系、エネルギー情報系、医療情報系、サプライチェーン、ファクトリオートメーション、ネットワーク技術系など、都合12種のサブセッションに分類され、それぞれのサブセッションではその領域での最先端の手法や技術について研究発表及び討論がなされました。
私の研究では、多種多様な独立な構成要素が互いに協調動作しなくてはならないような対象を扱い、そこでの構成要素間の連携(情報のやり取り)を効率よく行わせるための制御系の設計や検証を行うための手法を開発しています。通常、扱う対象は産業系の対象だけとは限らないのですが、今回は本国際会議の趣旨に合わせ、ファクトリオートメーションを対象とした制御系の設計と検証に関する研究発表をしました。

国際学会までの旅の印象やエピソードを教えてください。


国際学会期間日の7月16日に、本年度より加えていただいた学振PSE143委員会の研究会が東京(田町)のキャンパス・イノベーションセンターでの開催だったため、16日は大阪-東京間日帰りでこの研究会に参加しました。(ただし、16日の出張は今回受けた助成費適用外のため移動費の支出は別予算からとしました。)東京-大阪間の移動は新幹線でしましたが、実はこれが私にとって生まれて初めての新幹線乗車体験でした。そして、この時一つ失敗をしました。JR在来線の利用も新幹線乗車券で可能ということを知らなかったがための失敗なのですが、自動改札で外に出た後に気付き、駅員さんがあちこちの改札を空けて私の使用済み(使用中?) の乗車券を探して下さり、多大なご迷惑をお掛けしてしまったという顛末です。ちなみに、新幹線を日常的に利用している方的には、上のような失敗は、「ふつう高校生ぐらいまでに経験するもの」らしいです。なお、新幹線の乗り心地ですが、想像以上の振動の少なさに感動してしまいました。

国際学会に参加した感想をお願いします。


開催地が日本であったにもかかわらず、ファクトリオートメーションの制御に関するセッションでの発表者は、日本人は私唯一人でした。その理由は、この種の制御系設計のための手法としてヨーロッパを中心に開発・研究が盛んに行われている手法(IEC61499という国際規格を使用する手法)があり、その手法関係者が本セッションの大半を占めていたということにあります。なお、上記IEC61499を使用した研究に関しては、前回の同学会参加以降、私自身も度々調査しているため、他の方の発表内容は理解できるものでした。しかしながら、私自身の発表では、色々質問していただいたにもかかわらず、私の“英語力”の問題で、散々なものでした。にもかかわらず、セッション終了後の雑談?で、再度ゆっくり丁寧に対応していただける機会に恵まれ、貴重なアドバイスもいただきました。なお、いただいたアドバイスに関しては、帰国後(ではなく帰宮後)、早速実践させていただきましたので、次年度の国内の研究会で発表させていただく予定です。

国際学会派遣公募の制度について感想をお願いします。


技術職員という立場上、普段、自由に使える研究費はゼロであり、研究活動は極めてしにくい状況にあります。(現在のところ、研究支援先の冨田研究室より多大な援助を受けております。) そのため、今回の派遣制度や同じく女性研究者のための研究費助成は本当にありがたく、研究の励みとなりました。助成を受けさせていただいたこの数年は、やはり、普段の年より出張回数を増やすことができたため、結果的に、学外研究者の方々との繋がりが深まり、今後の研究活動が格段にしやすくなりました。これを良いきっかけとし、今後は、研究費を得るための努力をもっと前向きに行っていこうと思います。