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前年度の卒業研究,大学院の研究

機械設計システム工学科で行われている卒業研究,大学院の研究を紹介します。


  •  粒状体ダンパによる振動低減メカニズムの解明
  •  高性能粉体供給装置(粉体フィーダ)の開発
  •  生体疲労試験機の設定製作
  •  自己同期現象を利用した電動ハンマの開発
  •  剣道用面防具の衝撃緩和に関する研究
  •  液化ガス推進剤を用いた宇宙用小型ロケット推進機
  •  レーザ加熱によりスロットリングを行う固体推進機の燃焼の安定化
  •  太陽シミュレータを用いた集熱レシーバの基礎研究

  • 粒状体ダンパによる振動低減メカニズムの解明

     機械の有害な振動を低減するためのダンパの一つに粒状体ダンパがあります.このダンパは,振動している物体に粒子を封入した容器を設置し,その粒子の運動によって振動を低減する装置です.構造は非常に簡単ながら,多くの利点をもっています.しかし,このダンパの性能を高めるためには,何十から何千という多数の粒子の運動を明らかにする必要がありますが,それを実験的に解明することは不可能です.この研究では,離散要素法という手法を用いて,個々の粒子の運動を解析し,粒状体ダンパによる振動低減のメカニズムを解明しています.


    振動している機械(画像の下部)上に設置した粒状体ダンパです.この動画はダンパ容器内の粒子の運動を高速度カメラによって撮影したものです.何百~何万という多数の粒子の衝突や摩擦などの作用により,機械の運動エネルギーを消散させて,機械や構造物の振動を大幅に低減できます.


    上記の粒状体ダンパ内の個々の粒子の運動を離散要素法を用いて数値シミュレーションした結果です.上の動画と一致した結果が得られています.この数値シミュレーションにより,実験では絶対得られない,粒子個々の運動形態,摩擦などの作用,振動エネルギーの消散メカニズムなどが解明できます.


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    高性能粉体供給装置(粉体フィーダ)の開発

     粉体は,医薬品,食料品や様々な工業製品の原料として用いられています.各種製造プロセスにおいて粉体を精度よく供給する装置が粉体フィーダです.この研究では,従来にない機構を採用した新しい粉体フィーダの開発を行っています.この粉体フィーダは,粉体貯蔵槽(ホッパ)の下部に設置したコーン(円錐体)に偏心円運動を行わせることにより,連続的かつ一定量の粉体を,ホッパから掻き出しかなら供給する装置です.構造は簡単ながら,非常に高精度に粉体を供給することができる画期的な装置です.


    粉体フィーダ上部のホッパ部を取り除いて,コーン(円錐体:画像の中央の物体)の運動を上から撮影した動画です.このコーンは,ホッパ中心軸まわりに公転運動を行っています.このコーンの公転運動を利用して,ホッパ内の粉体が強制的に掻き出される機構です.

    粉体フィーダの運転状態を撮影した動画です.装置上部にあるホッパ内の粉体が連続的に排出されている様子がわかると思います.この動画の中央部で運動している部分が,上の動画で示したコーンの運動部です.簡単なメカニズムながら,非常に高精度に粉体を供給できるため,一般の工業製品ばかりでなく食品・医薬品などの製造現場への利用を目指しています.


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    生体疲労試験機の設定製作

     インプラントを挿入後の骨の耐久性,疲労破損,固定の安定性,及びそれらの性能改良のため製品開発には大きな試験スペースと大変形が可能な生体疲労試験機が必要である.本研究ではインプラントを挿入後の大腿骨の疲労試験機の設計,製作を行うことが目的である.実験内容は今回製作した試験機を用いて荷重,繰り返し数に伴うインプラント挿入後の大腿骨の荷重―変位を調べることにした.


    実験結果

     ステッピングモーターとボールねじを用いた負荷方法で試験機を製作した.また繰返し速度とストロークと荷重については十分満足しており,実験することができる.インプラントを挿入した骨の荷重変位特性について 実験開始時の最大荷重は2011Nあったが,繰返し数 後と 後をそれぞれ調べたところ1934N,1846Nと低くなっている.また,プレスヘッドの変位は1.3mmのまま変わらなかった.つまり人工ステムが大腿骨に押し込まれ沈み込んだ状態になった.


    感想

     今回いちから設計製作をしその試験機を用いて実験することでモノづくりの楽しさと達成感を味わうことができた.また実験を行うことでインプラントに荷重を加えて大腿骨の荷重―変位特性を調べることで今後インプラントの強度向上に役立ててほしい.


    対象物の構造と実験風景

    独自設計製作した大腿骨人工関節の特性を調べる実験装置


    人工関節に繰り返し負荷を加え,疲労損傷や特性の変化を調べる実験

    加圧ヘッドを上下に動かすことで上の動画にある人工関節に繰り返し負荷を加える.


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    自己同期現象を利用した電動ハンマの開発

    建設現場などで利用されている手持ち型工具には,振動を利用しているものが多くあります.例えば,電動ハンマや振動ランマなどです.これらの工具では,振動を利用することで,コンクリートの破砕や地面の締め固めなどの作業を効率的に行うことができます.その反面,工具に発生した振動が手腕を介して人体にも伝播してしまい,それが原因となって神経障害や血行障害などの疾病(手腕振動障害と呼ばれています)を引き起こす恐れがあります.そこで本研究では,工具から人体への振動伝播を防止するために,工具ハンドル部の低振動化の実現を目指しています.現在は,自己同期現象と呼ばれる振動現象に着目し,ハンドル部の制振と振動利用のための励振とを同時に実現できる新しい機構の開発に取り組んでいます.


    人に優しい振動工具の開発

    一般的な電動ハンマの機構:DCモータの回転することによって,内部にあるピストンが上下に振動し,ブルポイント(ノミ)の上部を周期的に打撃します.その際,ハンドル部にも大きな振動が生じます.


    電動ハンマへの応用に向けて開発した機構:独立して回転するピストンクランク機構が2個並列設置されており,2個のピストンが逆位相で同期回転することにより,ハンドル部を制振することができます.


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    剣道用面防具の衝撃緩和に関する研究

    研究の目的

     研究対象の剣道用面防具の構成要素である面布団の外部の表面にピアノ線を挿入した剣道用面防具ではピアノ線の打撃分散が起こり,頭部に打撃が緩和したのかを検証するため.

      

    面の外側に挿入したピアノ線によって打撃荷重はピアノ線に沿って分散され,頭部への集中的打撃が緩和される(イメージ).


    研究成果

     

     解析では,ピアノ線を挿入することによって,接触圧力分布が広がり,荷重が分散されたのが分かる.打撃試験では,実際の面防具にピアノ線を挿入した場合でもピアノ線の打撃分散が起こり,頭部への痛みの緩和を体感することができた.


              

              (静解析)                   (衝撃解析)

    コンピュータを用いた解析で,ピアノ線の有無による面と頭部の接触圧力の変化を示している.ピアノ線によって圧力が分散され,打撃の痛みが緩和されると思われる.


    感想

     研究結果では,面布団にピアノ線を挿入することによって,ピアノ線が荷重を分散し,面布団に加わる圧力が減少した.この結果より,頭部への衝撃や痛みが緩和されたのが分かるので,面布団にピアノ線を挿入した面防具の開発は,安全性の向上に繋がることが分かった.また,ピアノ線挿入前後での面防具の外観の変化はほとんど表れなかった.だから,剣道用面防具の伝統を汚さないので,開発を試みるべきである.


    竹刀が面に当たったとき,面における打撃力(応力)の変化を示している.


    竹刀が面に当たったとき,頭部への圧力の変化を示している.


    竹刀が面に当たったとき,面における打撃力(応力)の変化を示している.


    竹刀が面に当たったとき,面の変形を示している.


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    液化ガス推進剤を用いた宇宙用小型ロケット推進機

    研究目的

     現在,人工衛星は衛星放送やGPSなど私たちの生活により身近なものとして役立っています.ところが人工衛星は,地球の重力や大気の抵抗などにより観測機器の方向にずれが生じます.そこで,生じたずれを戻すために小型ロケット推進機が搭載されています.本研究ではその小型ロケット推進機の推進剤として,従来用いられている毒性の強いヒドラジン系の代わりに無毒である亜酸化窒素とジメチルエーテルを用いて性能評価を行いました.


    研究成果

     本研究では小型ロケット推進機(図1)を試作し,真空下と大気圧下で燃焼実験を行いました.真空下では燃焼が見られませんでしたが,大気圧下では点火装置作動中のみ間欠的ではありますが燃焼が見られました.(図2)真空下で燃焼が見られなかった原因としては推進剤の流速増加による吹き消えや燃焼に必要な圧力に達していなかったことが考えられます.また,大気圧下では逆火が発生したため燃焼が間欠的になったと考えられます.


    試作した推進機の写真と作動実験を行っているときの様子です.左の図において,推進剤はチューブより供給され,右側のノズルから超音速の燃焼ガスが噴出します.右の図では,ノズルからジェットが左向きに噴射している様子が分かります.


    感想

     本研究では実験に必要な装置は全て自分達で製作し,それぞれの装置の役割を把握しながら研究を行ってきました.すでにあるものを用いて実験を行うのではなく,必要なものは全て自分達でつくるということは中々経験できるものではありません.自作するということは設計から製作まで全て行うため,時間がかかり非常に大変なことです.しかし,それだけに実験装置には愛着がわき,達成感を得ることができたと思います.


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    レーザ加熱によりスロットリングを行う固体推進機の燃焼の安定化

    研究の目的

     外部からの熱供給がある場合にのみ燃焼を維持する固体推進薬用いて,その熱源をレーザとすることにより燃焼が安定する推進機を製作し,燃焼の制御が可能な固体推進薬の配合とその燃焼速度,必要なレーザパワーを変化させて,スロットリングを実現させるために燃焼の安定化を試みた.


    研究の成果

     今回の燃焼実験において得られた成果は,安定的に燃焼した部分が確認できたということが一番大きい成果でした.しかしスロットリングをするためにはさらなる燃焼の安定化が必要であるので,実験装置のさらなる改良が必要であると考えています.


    試作した推進機の模式図です.左の図がレーザ照射前であり,右の図がレーザ照射中の様子になります.燃焼により固体推進剤が無くなるので,作動中は,レーザヘッドをゆっくりと右に向かって移動させています.


    感想

     今回,卒業研究をおこなってあらためてこれまで大学で勉強してきたことがいかに必要であるかを痛感した.特に製図や加工の仕方など自分一人でしないといけないことが多かったので,もっとよく勉強しておけばよかったとおもいました.研究のおもしろさは自分の好きなように研究を進めれることだと思います.自分の考えたことがそのまま形になるということはとてもおもしろいことです.ぜひ機械科に入って自分の興味のある研究をしてください.


    試作した推進機を振り子型の推力測定装置に設置し真空チャンバで実験したときの様子です.アクリル製の推力室を通してレーザ加熱を開始すると燃焼が始まり,レーザ加熱の中断により作動が中断しています.作動中は,固体推進剤を常にレーザ加熱をするためにレーザヘッドを移動させています.


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    太陽シミュレータを用いた集熱レシーバの基礎研究

    研究の背景

     地球温暖化防止に有効な再生可能エネルギーを利用する技術の一つとして,太陽熱発電(CSP)があります.CSPは太陽光を集めて集熱する部分と太陽熱を用いて発電する部分に分かれます.集熱レシーバは集光された太陽光を熱に変換し,CSPの性能に影響する重要な装置です.


    研究の目的

     本研究では集熱レシーバの基礎研究を行っています.図1は鋼製フィンと熱伝導性の良い銅製円管からなるフィン-チューブ式平板型レシーバの模型です.この平板型レシーバ模型の温度変化と熱伝導性に及ぼす銅製円管の効果を,図2に示すような太陽シミュレータを用いた加熱実験によって調べました.


    研究の概要

     銅製円管の効果を調べるため,鋼製フィン単体と平板型レシーバのサーモグラフィによる熱画像および熱電対による中心での温度の時間変化を比較しました.
     図3から鋼製フィン単体では,熱は同心円状に伝わることがわかります.一方,平板型レシーバでは,熱は銅製円管に沿って鋼製フィンの周辺まで伝わることがわかります.また,図3から平板型レシーバでは,鋼製フィン単体に比べて中心での温度上昇が低下していることがわかります.


    今後の課題

    レシーバ模型を用いた加熱実験により,熱伝導性と温度上昇の両立を達成する平板型レシーバの材料設計の指針を得ることができました.今後の課題は,耐熱性のある材料を用いて,優れた熱伝導性を持ち,かつ900℃程度の高温下で安定的に使用できる集熱レシーバを開発することです.


    本研究では集熱レシーバの基礎研究を行っています.この写真は鋼製のフィンと銅製の円管からなるフィン-チューブ式平板型レシーバの模型です.


    この平板型レシーバ模型の温度変化と熱伝導性に及ぼす銅製円管の効果を,この写真で示すような太陽シミュレータを用いた加熱実験によって調べました.


     (a) 鋼製フィン単体      (b) 平板型レシーバ

    鋼製フィン単体と平板型レシーバのサーモグラフィ画像を比較すると,(a) のフィン単体では熱は同心円状に伝わっています.一方,(b)の 平板型レシーバでは熱は円管に沿ってフィンの周辺まで伝わっています.


    フィン単体と平板型レシーバの中心での温度の時間変化を比較すると,最大温度は平板型レシーバが約350℃,フィン単体が約500℃であり,平板型レシーバの方が中心での温度上昇が低いです.


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