宮崎大学
ニュースリリース

宮崎大学・西都市・地域企業が連携した人道支援 ~ アフガニスタン人元留学生3名の就職先が決定 ~

2023年03月28日 掲載

令和5327日(月)、宮崎大学(鮫島浩学長)は、西都市(橋田和実市長)、株式会社SEミート宮崎(有田米増代表取締役社長)およびオカザキフード株式会社(幸野喜一郎代表取締役社長)と合同で、宮崎大学に在籍していたアフガニスタン人元留学生(以下、元留学生)の支援に係る記者会見を行いました。

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△ 國武農学部長

                                                                                          

アフガニスタンでは、2010年頃まで続いた紛争の影響により、省庁において開発を推進する中核人材が大きく不足していました。そのような状況で、国際協力機構(JICA)が主導する「未来への架け橋・中核人材育成プロジェクト Project for the Promotion and Enhancement of the Afghan Capacity for Effective Development(通称:PEACEプロジェクト)」が2011年から開始され、その事業の一環で、宮崎大学では42名のアフガニスタン国内の政府系機関・大学・究所等で勤務する職員を農学系分野(農学研究科、医学獣医学総合研究科等)で留学生として受け入れてきました。その数は、農学系分野においては国内トップクラスの受入数です。

しかし、2021年に前政権が崩壊し、反政府勢力が政権を握ると、宮崎大学で学んだ経験のある一部の元留学生は窮地に追い込まれ、日々の生活が厳しくなっていったため、恩師である同大学農学部教授らを頼り、日本への出国を決意することとなりました。これを受け、國武久登農学部長が中心となり人道的な観点から元留学生たちを1年間の期限付きの研究員として、大学予算、農学部教員や外部からの寄附などを財源に、家族を含めた7世帯を受け入れることとしました。

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△ 記者からの質問に答える元留学生

一方で1年を超えて宮崎大学で雇用することは財源も不足するため限界があります。元留学生は研究活動を行う傍ら、宮崎大学国際連携センターが主導して日本語や日本文化の学習支援を受けながら、企業などに就職して日本国内に定着することをゴールに奮闘してきました。また、國武久登農学部長を始め、5名の指導教員(獣医学科大澤健司教授、獣医学科平井卓哉教授、附属フィールド科学教育研究センター小林郁雄准教授、植物生産環境科学科安達鉄矢准教授、附属フィールド科学教育研究センター松尾光弘講師)が県内外の企業等を駆け巡り、と元留学生の雇用について協議するとともに、他大学と連携してクラウドファンディングなどで寄附などを集めて財源確保に奔走してきました。

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△ 記者からの質問に答える元留学生

2022年11月に西都市の企業(株式会社SEミート宮崎)がハラル認証の食肉処理施設の建設を予定していたことから、國武農学部長が橋田西都市長に相談。宮崎大学農学部・農学研究科OBでもある橋田市長は、西都市としても何らかの形で支援していくことを約束するとともに、今回受け入れていただくことになった2社の代表との協議を仲介していただきました。これを受け、SEミート宮崎(有田牧畜産業 有田社長・オカザキフード 幸野社長)、宮崎大学農学部及び西都市で協議を重ね、有限会社有田牧畜産業が2名、オカザキフード株式会社が1名の受け入れることとなり、2023年4月1日から就労することとなりまました。

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△ 有田米増代表取締役社長(株式会社SEミート宮崎)

西都市長からは、「元留学生の方々に対して、生活がスムーズに行えるように温かく歓迎します。安心して穏やかに生活ができるように市全体でサポートしていきたい」と力強いお言葉をいただき、有田社長(株式会社SEミート宮崎)からは、「2024年にハラル認証の食肉処理施設を設立し、イスラム圏へ宮崎牛の輸出を目指している。これまでの高度な知識や経験を存分に発揮し、新たな実務経験を積み、自分たちの和牛にかける想いを世界に発信してもらいたい」と、期待の言葉をいただきました。

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△ 橋田西都市長

元留学生は、西都市が手配した西都市内の市営住宅に令和53月下旬に転居を完了しており、「建物からは西都市内が一望でき、近くには色んなお店やバスセンターもあって非常に便利」、と住環境に満足している様子で、「どんな状況でも常にポジティブ(前向き)であることで、自分たちが必ず会社に貢献できるようになると信じている」と新たな職場での決意を誓いました。また、元留学生の指導教員の一人である小林郁雄准教授は、「受け入れ当初は前例がなく戸惑った部分もあるが、ここまでくることができた。これからがスタート。同様の人道支援を行っている大学があり、今回の事例が全国的に波及して欲しい」と期待を込めました。

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なお、今回記者会見を行った西都市立地企業2社のほか農業法人アグリモチナガ株式会社(都城市)に元留学2名の就職が決定しています。宮崎大学では、今後も地域自治体や企業等と密接に連携しながら、地域社会の国際化と多文化共生に向けた地域作りに貢献してまいります。

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