研究紹介

水素が動くセラミックスと水素エネルギー社会を目指した次世代環境デバイスの開発

環境ロボティクス学科奥山 勇治 准教授

次世代環境デバイスとして水素が動くセラミックスに注目!

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我々のグループでは日本の"ひなた"宮崎にて太陽光などの自然エネルギーを最大限に活用することを想定しつつ、"岩戸神話"のような太陽光が十分に得られない暗闇でも発電可能な水素に着目して研究を行っています。 水素が動くセラミックスにて水素を製造し、水素にて発電する次世代環境デバイス開発に取り組んでいます。

プロフィール

1981年愛知県生まれ、名古屋工業大学博士後期課程修了後に同大学にて研究員として溶融金属用水素センサの実用化に成功。その後、カリフォルニア工科大に留学しプロトントラップ現象の実験的証明に携わる。2011年九州大学稲盛フロンティア研究センター特任助教に就任、2014年宮崎大学テニュアトラック推進機構准教授として本学に着任し僅か3年で厳しいテニュアトラック審査をパスして2017年4月より宮崎大学工学教育研究部の准教となった工学部期待の新進気鋭の若手研究者である。多数の共同研究、研究プロジェクトを推進し、研究アクティビティの高い研究者である。

水素が動くセラミックスとは?

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酸化物中のカチオンの一部を低原子価イオンで置換した際、酸素イオン空孔を形成します(右図)。この酸素イオン空孔が外部の水蒸気を取り込む際に水素イオンがO-O間に侵入型欠陥として導入され、その水素イオンが結晶内で最も優勢な電荷担体として機能する材料を水素が動くセラミックスすなわちプロトン伝導性セラミックスといいます。この材料は 1980年にT. TakahashiとH. Iwahara [Revie de Chimie Minerale 17 (1980)243.]によって発見され燃料電池や水蒸気電解、水素ポンプ、水素センサなどの応用が期待されている材料です。我々にグループではMnなどの遷移金属の還元により水素が溶解機構についても調べています。




水素イオン伝導性の向上を目指したセラミックス材料設計

水素が動くセラミックスの性能を評価する上で最も重要な物性値は電気伝導度です。この電気伝導度は酸化物結晶内の水素イオン濃度と水素イオンの拡散係数の積で表されます。つまり、導電率向上には水素イオンの濃度と拡散係数を向上させる必要があります。これまでの研究でプロトン伝導性セラミックスには以下の2つの問題点があることを見出しています。

  • 水素イオン導入のために添加した低原子価カチオンに水素イオン自身がトラップ(会合)しており、低温度域で著しく拡散係数が減少する。
  • プロトン導入のために添加した低原子価カチオン濃度(理論的な最大水素濃度)よりも実際に導入されている水素濃度は低い。

この問題を解決するため合成法の検討、異種元素置換による拡散係数及び水素溶解量への影響、結晶構造とプロトン伝導度の関係を調べています。 また、水素が動くセラミックスをデバイスとして応用するには水素イオンの伝導度以外に酸素イオンや正孔、電子などの伝導の影響が発電効率などのデバイス特性に大きく影響するため高圧、高温、酸化・還元性雰囲気などの各種デバイス作動環境下での伝導について詳細に調査してデバイス設計を行っています。

燃料電池の低コスト化、高効率発電への可能性

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プロトン伝導性酸化物を電解質とした燃料電池(右図)は市販の家庭用燃料電池SOFCよりも作動温度は低く、触媒を必要としない燃料電池として期待されています。しかしながら現時点では導電率の低さと共に正孔伝導性(電子リーク)による発電効率の低下が問題になっています。我々のグループでは正孔伝導性の低減や燃料電池耐久性向上のための中間層材料検討、電極過電圧低減のための電極材料の探索を行っています。




水素を安全安心に利用するための計測技術の開発

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水素エネルギー社会に限らず産業界では水素濃度を監視、制御することで生産プロセスを大幅に向上させるような現場があります。我々のグループでは使用環境に適したプロトン伝導性セラミックスの探索及び設計を行い様々な現場に応じた水素センサの開発及実証試験を行っています。最近では標準ガスとして水素ガスを使用せず、空気が基準ガスとなる水素センサの開発に成功しました(右図)。空気を標準ガスとすることで安全に操作できるかつ小型化することができます。




学生の声

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私たち奥山研究室では、准教授の奥山先生の下で1人1人がそれぞれ異なるテーマを持ち、学生が中心となって熱心に研究に取り組んでいます。研究室は奥山先生と修士学生3名、学部生4名の計8名で構成された学生を中心にした研究室です。先生はいつも宮崎大学を"どげんかせんといかん"と言いながら国内外問わず出張で忙しそうに飛び回っています。大学に居るときには大学の事務的な仕事を瞬時に片付け、実験にすべての力を費やす研究者の鏡のような先生です。厳しくも親切丁寧な指導をしてくれる理系バカです。研究室は、様々な自作実験装置があり、多面的にデータを取得して本質を掴むことができる創立4年目とは思えない研究施設です。また、"ものづくり=人づくり"をスローガンに材料合成、装置作製などを行っているので実験室に入ると皆、談笑しながら試料の研磨をしたり装置を改良したりと、活気にあふれた空間が広がっています。

学生へ一言

様々な人と会話しコミュニケーション能力を磨くと共に何かに"徹する"ことが重要だと思っています。若いうちは失敗を恐れずにいろいろなことにチャレンジすると共にその一つ一つを全力で取り組んでみてください。きっとオンリーワンのものが見つかると思います。
興味のある方は研究室HPへ
http://www.cc.miyazaki-u.ac.jp/okuyama/index.html


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