研究紹介

「健康長寿社会」のための骨・関節疾患バイオメカニクス研究

機械設計システム工学科山子 剛 准教授

非定型骨折のリスクを予測

人口の急速な高齢化に伴い骨粗鬆症の患者が,増加しその数は1300万人とも言われている状況の中で,転倒などの明確な外傷のない骨折(非定型骨折)が増加しています.近年,大腿骨に生じる非定型骨折の原因は,骨粗鬆症の治療薬(ビスフォスフォネート製剤)の影響や大腿骨のわん曲に起因したマイクロダメージ(微小な損傷)の蓄積であると推察されていますが.その力学的な根拠は明らかにされていません.またレントゲンやCTによる画像所見だけではこの骨折を起こす危険性を判断することは難しいと言われています.我々は,非定型骨折の発症メカニズムを解明するため生体力学の観点から研究に取り組むと共に,患者個々に骨折リスクを予測するシミュレーション技術の確立を目指しています.

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骨折患者のCT画像データを利用して患者個別の有限要素解析モデルを構築しています.大腿骨近位部に構造的な脆弱性を示しています(図中の大腿骨の赤い部分).

人工関節の生体力学的な適合性

人工関節や骨接合材など,からだの中に埋め込むインプラントでは,「骨と"如何にくっつけるのか"が重要である」とわかっているにも関わらず,いまだに「インプラントのゆるみ・破損」や「骨折」など術後の不具合が報告されています.高齢者の場合,再手術は負担が大きく難しいことから,臨床現場ではインプラントの機能強化と耐用年数の向上(長く使える)が強く求められています.我々はインプラントと骨との間における力学的な相互作用を実験とシミュレーションを駆使し解析することによって,「生体または患者に最適な形状・材質を備えたインプラントの提案」と「術前計画・術中ナビゲーションシステム・手術ロボットと連動して患者個々にインプラントを至適設置するシステムの確立」に取り組んでいます.

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人工股関節置換術後にインプラント周囲の骨がどのように変化するのか術後10年までシミュレーションしています.骨の一部が徐々に少なくなっていく様子がわかると思います.


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