宮崎大学テニュアトラック推進機構

宮崎大学型若手研究リーダー育成モデル

若手研究者紹介

目堅 博久テニュアトラック助教

研究分野:産業動物防疫学系 産業動物防疫学分野

研究課題:牛白血病ウイルス感染症を中心とした産業動物ウイルス性感染症の制御に関する研究

着任 平成27年11月1日

1.略歴

2008年3月 北海道大学獣医学部獣医学科卒業
2008年4月 北海道大学大学院獣医学研究科博士課程入学
2009年4月 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2009年4月 獣医師免許取得
2012年3月 北海道大学大学院獣医学研究科博士課程修了
2012年4月 宮崎大学農学部特任助教
2015年11月より 現職

2.研究内容紹介

 人と同様、牛や豚、鶏などの産業動物にも多くの感染症が存在します。有名なところでは2010年、宮崎県で流行し、本県の畜産業に壊滅的な被害をもたらした口蹄疫ウイルスや秋から春にかけて脅威となっている鳥インフルエンザウイルスなどです。これらのウイルスは国内で土着化してしまうと、公衆衛生や貿易の面で国益に甚大な不利益をもたらすため、摘発淘汰という戦略がとられています。一方、私が研究する牛白血病ウイルスは国内に常在するウイルスです。

 牛白血病ウイルス(bovine leukemia virus: 以下、BLV)はレトロウイルス科デルタレトロウイルス属に分類される牛および水牛のウイルスです。BLVは地方病性牛白血病(enzootic bovine leukosis: 以下、EBL)の原因ウイルスであり,国内では30-35%の牛が感染しています。感染牛の多くは臨床症状を示しませんが,約30%はリンパ球が恒常的に多い持続性リンパ球増多症(persistent lymphocytosis: 以下、PL)に,約5%は感染から数年後にEBLを発症します。EBLを発症した牛は予後不良であり,と畜場で解体時に診断された場合は全廃棄処分となるため,農家の経済的な損失が大きい感染症です。牛白血病は1998年に届出伝染病に指定されました。それ以降、届出数が急増しており、畜産業界では非常に大きな問題となっています。BLVはレトロウイルスであるために一度感染すると生涯感染が持続し,有効なワクチンもないことから,他の牛への感染を防ぎながら,感染牛を減らしていく以外に損害を防ぐ方法はありません。

    近年、発症牛の増加だけでなく、発症時期の若齢化、持続性リンパ球増多症における免疫抑制傾向が報告され、BLV感染症による被害が発症だけに限らないことが明らかになりつつあります。私はこれまで、感染ウイルス量が多い牛が水平および垂直感染の感染源となることを明らかにしてきました。

   本研究では、これまで行ってきたフィールドに近い研究である農場における感染対策の立案を行うとともに、特に感染ウイルス量の多い牛に着目し、その予後や関連疾患、その分子基盤を明らかにしていきたいと考えています。

   また、産業動物を対象とした感染症の研究は人獣共通感染症と比較するとかなり遅れているのが現状です。BLV以外の産業動物感染症についても今後、研究していきたいと思っています。

3.研究業績

原著論文 (主要なもの)

1) H. Mekata, S. Sekiguchi, S. Konnai, Y. Kirino, Y. Horii, J. Norimine*. Horizontal transmission and phylogenetic analysis of bovine leukemia virus in two districts of Miyazaki, Japan. J. Vet. Med. Sci. Vol.77 pp1115-1120, 2015

2) H. Mekata, S. Murata, CN. Mingala, K. Ohashi, S. Konnai*. Expression of regulatory dendritic cell-related cytokines in cattle experimentally infected with Trypanosoma evansi. J. Vet. Med. Sci. Vol.77 pp1017-1019, 2015

3) H. Mekata, S. Sekiguchi, S. Konnai, Y. Kirino, K. Honkawa, N. Nonaka, Y. Horii, J. Norimine*. Evaluation of the natural perinatal transmission of bovine leukaemia virus. Vet. Rec. Vol.176, pp254, 2015

4) H. Mekata, A. Iguchi, K. Kawano, Y. Kirino, I. Kobayashi, N. Misawa*. Identification of O serotypes, genotypes, and virulotypes of shiga toxin-producing Escherichia coli isolates, including non-O157 from beef cattle in Japan. J. Food Prot. Vol.8, pp1269-1274, 2014

5) H. Mekata, S. Konnai, CN. Mingala, NS. Abes, CA. Gutierrez, AP. Dargantes, WH. Witola, N. Inoue, M. Onuma, S. Murata, K. Ohashi*. Isolation, cloning and pathologic analysis of Trypanosoma evansi field isolates. Parasitol. Res. Vol.112, pp1513-1521, 2013,

6) H. Mekata, S. Konnai, CN. Mingala, NS. Abes, CA. Gutierrez, AP. Dargantes, WH. Witola, N. Inoue, M. Onuma, S. Murata, K. Ohashi*. Kinetics of regulatory dendritic cells in inflammatory responses during Trypanosoma evansi infection. Parasite Immunol. Vol.34, pp318-329, 2012

7) H. Mekata, S. Konnai, WH. Witola, N. Inoue, M. Onuma, K. Ohashi*. Molecular detection of trypanosomes in cattle in South America and genetic diversity of Trypanosoma evansi based on expression-site-associated gene 6. Infect. Genet. Evol. Vol.9, pp1301-1305, 2009

8) H. Mekata, S. Konnai, M. Simuunza, M. Chembensof, R. Kano, WH. Witola, ME. Tembo, H. Chitambo, N. Inoue, M. Onuma, K. Ohashi*. Prevalence and source of trypanosome infections in field-captured vector flies (Glossina pallidipes) in southeastern Zambia. J. Vet. Med. Sci. Vol.70, pp923-928, 2008

 総説

1) 目堅博久,牛白血病ウイルス感染症と農場における効果的な対策,臨床獣医,34(6),pp8-13,2016年6月

2) 目堅博久,牛白血病ウイルス感染症の検査法とその特徴,産業動物臨床医学雑誌,6(増刊号),221-226,2016年3月

3) 目堅博久,牛白血病ウイルスの伝播経路と地域、農場における感染対策,産業動物臨床医学雑誌,6(3),pp133-140,2015年

4) 目堅博久, 関口 敏, 桐野 有美, 堀井 洋一郎, 乗峰 潤三,感染症清浄化と畜産新生:—牛白血病ウイルス対策を通して—,日本草地学会誌,61(1),35-38, 2015年

 招待講演

1) 牛白血病ウイルスの伝播と地域および農場における感染対策,平成28年度福岡県獣医師会産業動物部会特別講演(福岡県福岡市),2016年5月13日

2) 牛白血病ウイルス感染症 ~農場や地域における対策の実例を交えて~,平成27年度佐賀県獣医師会産業動物部会研修会(佐賀県佐賀市),2016年2月19日

3) 牛白血病ウイルスの伝播経路と地域、農場における感染対策,大動物臨床研究会 第6回東京シンポジウム(東京都文京区),2016年2月13日

4) 牛白血病ウイルスの伝播と農場における感染対策,NOSAI宮崎診療所長会議研修会(宮崎県宮崎市),2016年1月22日

5) 牛白血病ウイルスの伝播経路と地域、農場における感染対策,第39回 大動物臨床研究会シンポジウム(北海道江別市),2015年11月7日

6) 牛白血病ウイルスの感染経路について ~農場における実例を交えながら~,2015年度牛臨床寄生虫研究会九州研究集会・九州沖縄産業動物臨床研究会 第3回研究集会合同研究集会(大分県別府市),2015年7月12日

7) 牛白血病(BL)について,宮崎県酪農公社研修会(宮崎県都城市),2014年10月17日

 受賞歴

1) 目堅 博久、業績:スーラ病の分子疫学調査および野外分離株を用いた比較病原性解析と病態発生機序の解明、日本獣医学会獣医学奨励賞、公益社団法人 日本獣医学会、2013年3月

2) 目堅 博久、業績:スーラ病の分子疫学調査および野外分離株を用いた比較病原性解析と病態発生機序の解明、第155回日本獣医学会大会長賞、公益社団法人 日本獣医学会、2013年3月

3) 目堅 博久, 他、業績:妊娠期及び分娩時の牛白血病ウイルス垂直感染リスクの解析、日本産業動物獣医学会九州地区学会長賞、日本産業動物獣医学会、2014年10月

 4.外部資金獲得実績 

1) 科学研究費 若手研究(B)(研究代表者)課題名:牛白血病ウイルスの垂直伝播と発症リスクに関する研究,研究課題番号: 26850175, 2014-2016年度, 総額4,030,000円

2) 科学研究費 特別研究員奨励費(研究代表者)課題名:トリパノソ-マ原虫における薬剤耐性機序および病原性規定遺伝子に関する研究, 研究課題番号: 09J04017, 2009-2011年度, 総額2,800,000円

3) 伊藤記念財団助成(研究代表者)課題名:牛白血病ウイルス高感染牛の予後評価, 研究課題番号: 27-研7, 2015年度, 総額1,100,000円

4) 伊藤記念財団助成(研究代表者)課題名:牛白血病ウイルスの垂直伝播に関する研究, 研究課題番号: 26-研8, 2014年度, 総額1,000,000円

 5.連絡先

TEL: 0985-58-7881
E-mail: mekata(at)cc.miyazaki-u.ac.jp (at)を@に変換してください

若手研究者

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