ルイス・キャロルは「亀がアキレスに言ったこと」という論文の中で論理に関する興味深いパラドックスを提出した。このパラドックスは「我々は推論規則(「もしpとp⊃qが真なら,qを主張してよい」)の意味をどこから得ることができるのか」という問題を提起する。
このパラドックスおよびラッセル,フレーゲ,ダメット,ギーチ,クワインらの見解を検討した結果,明らかになったのは,「論理の根底に,論理的推論の原動力(前提と結論を結び付ける力)として,行為がある」ということである。具体的には,次の4点である。
- 前提と結論を結び付ける力を持っているのは推論規則それ自体ではなく個々の推論行為である。
- この個々の推論行為は暗黙の慣習に従っている。
- この暗黙の慣習を完全に明示化することは不可能である。
- しかし,この暗黙の慣習に関する我々の実践的知識がなかったら推論規則は機能しえない。
さらに,以上の議論から,「『対象言語とメタ言語の区別』の核心は『メタ言語に対する我々の理解の中に(個々の推論行為が従っている暗黙の慣習に関する)明示化不可能な実践的知識を確保する』という点にある」ということが帰結する。
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