○宮崎大学医学部附属病院治験取扱規程
平成27年5月20日
制定
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 病院長の業務(第4条―第12条)
第3章 治験審査委員会の業務(第13条―第15条)
第4章 治験責任医師等の業務
第1節 治験責任医師等の要件(第16条―第18条)
第2節 治験責任医師等の治験全般における責務(第19条―第22条)
第3節 治験責任医師等の治験の新規申請の承認までの業務(第23条―第27条)
第4節 治験責任医師等の実施時の業務(第28条―第41条)
第5節 治験の終了・中止・中断時の業務(第42条・第43条)
第6節 治験責任医師のその他の業務(第44条・第45条)
第5章 治験薬管理者の業務(第46条・第47条)
第6章 治験事務局の業務(第48条・第49条)
第7章 記録の保存(第50条)
第8章 規程の準用及び改訂(第51条・第52条)
附則
第1章 総則
(治験の原則)
第1条 宮崎大学医学部附属病院(以下「本院」という。)において実施する治験は、次に掲げる原則に従って行われなければならない。
(1) 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び厚生労働省令「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」(以下「GCP」という。)を遵守して行われなければならない。
(2) 治験は、医薬品等の製造(輸入)承認を申請するに際し提出すべき資料のうち、治験(健常人を被験者とするものを含む。)の成績に関する資料の収集を目的とする。
(3) 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予測される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
(4) 被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
(5) 治験に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
(6) 治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
(7) 治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施されなければならない。
(8) 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うべきである。
(9) 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行し得る要件を満たしていなければならない。
(10) 全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
(11) 治験に関する情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取り扱い、及び保存しなければならない。
(12) 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
(13) 治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(治験薬GMP)に準拠して行うものとする。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
(14) 治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが運用されなければならない。
(15) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
(1) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「薬機法」という。)
(2) 薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)
(3) 中央薬事審議会答申「医薬品の臨床試験の実施の基準(平成9年3月13日)」(以下「答申GCP」という。)
(4) 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号。以下「省令GCP」又は「GCP」という。)
(5) 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について(平成9年薬発第430号)
(6) 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の運用について(平成20年日薬食審査発第1001001号。以下「改正運用課長通知」という。)及び自ら治験を実施する者による医薬品の臨床試験の実施の基準に関するQ&Aについて(平成17年事務連絡)
(7) 治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて(平成7年薬審発第227号)
(8) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告について(平成16年薬食発第0330001号)及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告についての一部改正について(平成17年薬食発第1215003号)
(9) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告に関する報告上の留意点等についての改正について(平成17年薬食審査発第1025013号)
(10) 薬物に係る治験に関する副作用等の報告に係る薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行について(平成17年薬食発1228001号)
(11) 薬物に係る治験の計画の届出及び治験に関する副作用等の報告に係る薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行について(平成20年薬食発0229011号)
(12) 薬物に係る治験に関する副作用等の報告に係る薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行等に関する留意事項について(平成20年薬食審査発第1001005号)
(13) 医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)
(14) 医療機器の臨床試験の実施の基準の運用について(平成17年薬食機発第0720005号)
(15) 再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第89号)
(16) 再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について(平成26年薬食発0812第16号)
(17) その他関連する法令等
2 この規程は、医薬品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 この規程は、医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第171号)に基づく医薬品の再審査申請、再評価申請又は副作用調査の際提出すべき資料の収集のための製造販売後臨床試験についても適用するものとする。なお、製造販売後臨床試験についてはこの規程において「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」に読み替えるものとする。
(定義)
第3条 この規程において、「治験責任医師」とは、本院において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。また、「治験分担医師」とは、本院において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
2 この規程において、「治験審査委員会」とは省令GCP第27条に基づき、本院に自ら設置した治験審査委員会をいう。名称は、「宮崎大学医学部附属病院治験審査委員会」とする。
第2章 病院長の業務
(治験の実施のための組織の設置)
第4条 病院長は、治験を実施するために必要な治験審査委員会、治験事務局、治験薬管理者、記録保存責任者を院内に設置するものとする。また、これらの設置記録を作成し保存する。
2 病院長は治験審査委員会の業務の円滑化を図るため、治験審査委員会の事務等を行う治験審査委員会事務局を設置するものとする。治験審査委員会事務局は治験事務局が兼務するものとする。
3 病院長は、治験の実施のために設置した組織に対して適正かつ円滑に業務を行うために必要な手順を別に定めるものとする。
4 病院長は、治験審査委員会の会議の記録及びその概要を作成しなければならない。概要には、開催日時、開催場所、出席委員名、議題及び審議結果を含む主な議論の概要が含まれる。
(治験の新規申請)
第5条 病院長は、治験責任医師及び依頼者より新規の治験の申請があった場合は、審査の充実と効率化のために治験審査委員会事務局による事前ヒアリングを実施する。
2 病院長は、事前に治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リストの内容を確認の上、了承するものとする。病院長は、了承した旨を記した通知書(当該治験分担医師・治験協力者リスト)を、治験責任医師及び治験依頼者に送付し、治験審査委員会事務局にて1部保管する。
3 病院長は、治験責任医師及び治験依頼者に対して、次に掲げる最新の資料を治験事務局に提出させるものとする。
(1) 治験依頼書及び治験の概要を記した文書
(2) 治験分担医師・治験協力者リスト
(3) 治験責任医師の履歴書
(4) 目標とする被験者数を記した文書(医薬品等臨床研究調。ただし、被験者数以外の記載は審査対象ではない。)
(5) 治験実施計画書(治験責任医師が治験依頼者と治験実施計画書の内容及びその遵守について合意したもの)
(6) 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)
(7) 最新の治験薬概要書
(8) 説明文書及び同意文書
治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの。説明文書と同意文書は原則として一体化した文書(以下「説明文書・同意文書」という。)とすること。
(9) 被験者の健康被害に対する補償の内容及び補償手順を記した文書
(10) 被験者への支払いに関する資料(支払いがある場合)
(11) 被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
(12) 被験者の安全等に係る資料
(13) 治験経費算定基準表に基づく研究費算定内訳書
(14) その他治験審査委員会が必要と認める資料
2 病院長は治験審査委員会の治験審査結果通知書に基づき、当該治験に対する指示・決定を文書により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
3 病院長は、前項による治験審査委員会の審査結果が承認とされた場合であっても不承認とすることができる。
4 病院長は、治験審査委員会から修正を条件に治験の実施を承認する旨の報告を受けた場合には、治験責任医師及び治験依頼者に、治験実施計画書等修正報告書及び当該関連資料を提出させ、修正内容に関する治験審査委員会委員長の確認を受けさせるものとする。病院長は治験審査委員会委員長の確認を受けて治験責任医師及び治験依頼者に通知書を送付する。治験責任医師は、確認の通知を受ける前に、治験を実施してはならない。
5 病院長は、治験審査委員会から採決を保留する旨の報告を受けた場合には、当該治験を承認する前に、治験責任医師及び治験依頼者に、指示事項回答書及び当該関連資料を原則として速やかに提出させ、治験審査委員会の意見を求めるものとする。
6 病院長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する又は修正の上で承認するとした場合以外は、これを承認することはできない。
(治験実施の契約等)
第7条 病院長は、治験実施を了承した場合、治験依頼者と治験契約書により契約を締結するものとする。
2 治験契約の内容を変更する場合は、変更契約を締結するものとする。
(業務の委託等)
第8条 病院長は、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、以下に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者との契約を締結するものとする。
(1) 当該委託に係る業務の範囲
(2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項(委託された業務を病院にて担当する者の適格性の確認を含む。)
(3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを病院長の指定する者が確認することができる旨
(4) 当該受託者に対する指示に関する事項
(5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを病院長の指定する者が確認することができる旨
(6) 当該受託者が病院長に対して行う報告に関する事項
(7) 秘密の保全に関する事項
(8) 受託者の業務により生じた、治験に係る被験者に生じた健康被害の補償に関する事項
(9) その他当該委託に係る業務について必要な事項
(実施状況報告)
第9条 病院長は、実施中の治験において治験の期間が1年を超える場合には、少なくとも年に1回、治験責任医師に治験実施状況報告書を提出させるものとする。
(1) 治験依頼者又は治験責任医師より、治験実施計画書、説明文書・同意文書、治験責任医師及び治験分担医師の変更の申請を受けた場合
(2) 治験依頼者又は治験責任医師より、その他の審査対象となった文書が追加、更新又は改訂された旨の連絡を受けた場合
(3) 治験責任医師より、緊急の危険の回避のためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書から逸脱又は変更を行った旨の連絡を受けた場合
(4) その他治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更の報告を受けた場合
(5) 治験依頼者より被験者の安全又は治験実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報の報告を受けた場合
(6) 治験責任医師より、重篤な有害事象の発生の報告を受けた場合
(7) 治験責任医師より、治験実施状況報告を受けた場合
(1) 通常審査:病院長は、軽微な変更とは見なされない場合、第6条に準じて委員会に諮る。
(2) 軽微な変更としての審査:治験の実施に重大な影響を与えないもの、かつ、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させないもののみに関わる変更。下記(3)を除く。主として目標とする被験者数の追加、被験者への負担を大幅に増大させない範囲の検査等の追加や当院での実施体制の変更に関わるものである。病院長は、変更申請を治験審査委員会に諮り、委員長による迅速審査(決裁)にて承認を得る。
(3) 治験審査委員会事務局への報告:治験の実施に重大な影響を与えず、危険性を増大させず、決裁が必要でないもののみに関わる変更である。依頼者又は責任医師は、治験審査委員会事務局に事前に又は事後速やかに報告することとする。治験審査委員会事務局は、報告内容を関係者に連絡し、記録を保管する。
(治験の中止・中断及び終了)
第11条 病院長は、治験依頼者が治験の中止・中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨を文書で通知してきた場合は、速やかにその旨を治験責任医師及び治験審査委員会に通知するものとする。ただし、開発中止の通知で、当該治験が既に終了済みであり、かつ、当該治験責任医師が当院を退職している場合は、責任医師への通知を省略することができる。
2 病院長は、治験責任医師が治験の終了又は中止・中断を文書で通知してきた場合には、速やかにその旨を治験依頼者及び治験審査委員会に通知するものとする。
(直接閲覧への協力)
第12条 病院長は、治験依頼者が実施するモニタリング・監査、治験審査委員会及び規制当局による調査に協力しなければならない。これらの場合、求めに応じ原資料等の治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
第3章 治験審査委員会の業務
2 治験審査委員会は、実施中の治験において治験の期間が1年を超える場合には、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも年に1回、治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。
3 治験審査委員会は、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
4 本院で実施予定の治験と同一の治験について、他の医療機関から審査の依頼を受けた場合は、治験審査委員会にてその審査を行う。審査結果の報告は、治験審査結果通知書により行うものとする。
(治験審査委員会の構成)
第14条 治験審査委員会は、病院長が指名する次に掲げる委員によって構成する。また、治験審査委員会は男女両性から構成されなければならない。ただし、長期にわたり休職するなどの場合は、これを指名から除外することができるものとする。
(1) 治験部門長
(2) 医学科臨床系医学講座及び医学部附属病院の教授、准教授又は講師 4人
(3) 薬剤部長
(4) 薬理学分野教授
(5) 副看護部長 1人
(6) 医学・歯学・薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者であり、一般人を代表する者 若干人
(7) 本院及び治験の実施に係わるその他の施設及び治験審査委員会の設置者たる病院長と利害関係を有しない者 若干人
(8) その他、病院長が必要と認める者
2 委員会に委員長を置く。委員長は治験部門長とする。
3 委員長に事故等があるときは、委員長代理を、委員の中から委員長の指名又は委員の互選により定め、委員長の職務を代行するものとする。治験審査結果通知書は委員長名で発行する。第15条第10項における「修正の上で承認」の際の修正の確認は、委員長又は委員長代理が行う。
4 委員の任期は3年とし、再任を妨げない。
5 委員等に欠員が生じた場合におけるその後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
6 病院長は、治験審査委員会に出席することができる。ただし、議決権は有しない。
(治験審査委員会の運営)
第15条 治験審査委員会は、原則として月1回開催する。ただし、病院長から緊急に意見を求められた場合、随時委員会を開催することができる。
2 前項において、委員長が必要と認める場合は、審査資料の配布及び提示を適切に行った上で、テレビ会議又はWeb会議等、双方向の円滑な意思疎通が可能な手段(以下「テレビ会議等」という。)により治験審査委員会を開催することができる。
3 治験審査委員会の開催に当たっては、予め治験審査委員会事務局から原則として文書により通知するものとする。
4 新規治験の申請があった場合は、事前ヒアリングを行い、十分に検討した上で治験審査委員会で実施の可否を審議する。治験責任医師等は、事前ヒアリング・治験審査委員会に出席し必要な事項を説明するものとする。
6 採決に当たっては、審議に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとする。
7 下記の委員はその関与する治験についての情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審議及び採決への参加はできないものとする。
(1) 当該治験の治験依頼者、治験薬提供者、又は当該治験薬の製造販売業者と密接な関係のある下記の委員
ア 治験依頼者、治験薬提供者又は当該治験薬の製造販売業者及びこれらの企業の親会社あるいは子会社の役員、職員又は本人あるいは2親等以内の親族が大量保有株主である委員
イ 治験の準備、依頼又は管理に係る業務の全部又は一部を受託する営利を目的とした開発業務受託機関の役員、職員又は本人あるいは2親等以内の親族が大量保有株主である委員
(2) 治験責任医師及び治験責任医師と関係のある委員(治験分担医師、治験協力者又は治験責任医師あるいは治験分担医師が所属する診療科の委員等)
(3) 同一の治験実施計画書で実施する治験の他の診療科等の治験責任医師及び治験分担医師
8 委員長が特に必要と認める場合には、委員以外の特別の分野の専門家を委員会に出席させて意見を聞くことができる。
9 審査の採決は出席した委員全員の合意を原則とする。
10 判定は次の各号のいずれかによる。
(1) 承認
(2) 修正の上で承認
(3) 却下
(4) 既承認事項の取り消し(治験の中止又は中断を含む)
(5) 保留
11 次に該当する治験を承認する場合は、治験審査委員会の承認文書に、該当する記載をしなければならない。
(1) 被験者に対して直接の臨床的利益が期待できない非治療的な治験であって、被験者の同意を得ることが困難な者を対象とすることが予測される治験について承認する場合には、かかる被験者の参加を承認する旨を承認文書に記載する。
(2) 緊急状況下における救命的治験において、被験者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者の代諾者と連絡がとれない場合にも治験が行われることが予測される治験(省令GCP第7条第3項、第15条の4第3項及び第55条第2項参照)について承認する場合には、被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権、安全及び福祉を保護する方法として、かかる場合に、治験責任医師等が速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明した経緯と結果を治験審査委員会に報告するよう承認文書に記載する。
12 治験審査委員会は、審議及び採決に参加した委員名簿と各委員の資格に関する記録及び審議記録を作成し保存するものとする。
13 委員長は、治験審査委員会の審査結果について速やかに病院長に、治験審査結果報告書により報告するものとする。治験審査結果報告書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
(1) 治験審査委員会の名称と所在地
(2) 治験審査委員会が省令GCPに従って組織され、活動している旨の陳述
(4) 審査した治験名及び資料
(5) 審査年月日
14 治験審査委員会は、承認済みの治験についての治験期間内の軽微な変更の場合には、第10条第3項第2号の規定により迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は治験審査委員長が行う。
(2) 迅速審査において治験審査委員長は、必要に応じて他の委員の意見を求めることができるものとする。
(3) 治験審査委員長は、次回の治験審査委員会で迅速審査の内容と判定を報告しなければならない。
15 委員長は委員会開催に先だって、予め委員に意見を聞くことができる。ただし、治験審査委員会の決定は委員会の審議及び採決に基づくものとする。
第4章 治験責任医師等の業務
第1節 治験責任医師等の要件
(治験責任医師の要件)
第16条 治験責任医師は、次の各号に掲げる要件を満たしていなければならない。
(1) 本院にて診療に従事する常勤の医師又は歯科医師(助教以上の者)であること。
(2) 教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施し得る者であること。
(3) 合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していること。
(4) 合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができること。
(5) 薬機法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準、GCP及び本規程等を熟知していること。
(6) 治験依頼者と合意した最新の治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬の適切な使用方法に十分精通していること。
(7) 治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できる者であること。
(8) 治験依頼者の役員・顧問(定期的報酬を受ける者に限る。)及び一定以上の株式保有者など、患者又は被験者の利益、安全の確保よりも、自己又は第三者の利益を優先させると推定させるような者でないこと。
(治験分担医師の要件)
第17条 治験分担医師は、医師又は歯科医師で、責任医師が必要に応じ適格と判断した者とする。
2 治験分担医師は、治験依頼者の役員・顧問(定期的報酬を受ける者に限る。)及び一定以上の株式保有者など、患者又は被験者の利益、安全の確保よりも、自己又は第三者の利益を優先させると推定させるような者であってはならない。
(治験協力者の要件)
第18条 治験協力者は、本院において診療に従事する医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師等の責任医師が必要に応じ適格と判断した者とする。
第2節 治験責任医師等の治験全般における責務
(責任の所在)
第19条 治験責任医師は、本院における治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
(GCP、ヘルシンキ宣言、本規程及び治験実施計画書の遵守)
第20条 治験責任医師及び治験分担医師は、GCP、ヘルシンキ宣言、本規程及び治験実施計画書を遵守して治験を実施しなければならない。特に、「被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先すること」及び「医師は、内在する危険が十分に評価され、しかもその危険を適切に管理できることが確信できない場合には、ヒトを対象とする医学研究に従事することを控えるべきであること」(ヘルシンキ宣言)を認識しなければならない。
(実施体制の整備)
第21条 治験責任医師は、治験の適正な実施に必要な人員を確保し、計画を完遂できる体制を、診療科(部)長の合意のもとに整えなければならない。
2 必要な実施体制の確保を証するため、治験責任医師は、治験分担医師・治験協力者リストを病院長に提出しなければならない。
(治験分担医師等への指導)
第22条 治験責任医師は、治験分担医師や治験協力者をおく場合は、十分な情報を与え、適切な指導を行い、また、報告を受けなければならない。
第3節 治験責任医師等の治験の新規申請の承認までの業務
(履歴書の提出)
第23条 治験責任医師は、治験を適正に実施し得る者であることを証明する最新の履歴書を病院長及び治験依頼者に提出するものとする。治験依頼者の求めがあった場合は治験分担医師も履歴書を治験依頼者に提出するものとする。
(治験実施計画書の合意)
第24条 治験責任医師は、治験実施計画書について、治験依頼者と合意する前に、治験依頼者から提供される治験実施計画書案及び最新の治験薬概要書、その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。
2 治験責任医師は、病院長に実施の申請又は変更の申請をする前に、前項の検討の結果に基づき、治験依頼者と治験実施計画書の内容及び治験実施計画書を遵守することについて合意を行わなければならない。
3 症例報告書の見本を作成する場合は、上記の規程を準用する。ただし、レイアウト(電子情報処理組織の利用による症例報告書にあってはその仕様)の変更を行う場合を除いて差し支えない。
(説明文書・同意文書の作成)
第25条 治験責任医師は、治験実施の申請をする前に、治験依頼者の協力を得て、被験者からの治験の参加に関する同意を得るために用いる説明文書・同意文書及びその他の説明文書を作成しなければならない。これらは、GCP及びヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守したものでなくてはならない。
2 説明文書・同意文書には、少なくとも以下の事項が含まれていなくてはならない。
(1) 治験が研究を伴うこと。
(2) 治験の目的
(3) 治験の方法(ランダム割付が行われる場合は各処置に割り付けられる確率を含む。)
(4) 被験者の治験への参加予定期問
(5) 治験に参加する予定の被験者数
(6) 予期される臨床上の利益及び危険性又は不便(被験者にとって予期される利益がない場合には、被験者にその旨を知らせなければならない。)
(7) 患者を被験者にする場合には、当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性
(8) 治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治療
(9) 治験への参加は被験者の自由意思によるものであり、被験者又はその代諾者は、被験者の治験への参加を随時拒否又は撤回することができること。また拒否・撤回によって被験者が不利な扱いを受ける、又は治験に参加しない場合に受けるべき利益を失うことはないこと。医療機器及び再生医療等製品の治験においては治験の参加を取りやめる場合の治験機器及び治験製品の取扱いに関する事項
(10) 治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えられること。
(11) 治験への参加を中止させる場合の条件又は理由
(12) モニター、監査担当者、治験審査委員会及び規制当局が原医療記録を閲覧できること。その際、被験者の秘密は保全されること。また、同意文書に被験者又はその代諾者が記名捺印又は署名することによって閲覧を認めたことになること。
(13) 治験の結果が公表される場合であっても、被験者の秘密は保全されること。
(14) 被験者が守るべき事項
(15) 被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容
(16) 被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容
(17) 治験責任医師又は治験分担医師の氏名、職名及び連絡先
(18) 被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報が欲しい場合又は治験に関連する健康被害が生じた場合に照会すべき又は連絡をとるべき医療機関の相談窓口
(19) 当該治験の適否等について調査審議を行う治験審査委員会に関する事項
(治験の新規申請)
第26条 治験責任医師及び依頼者は、治験実施に先立ち、病院長に対して第5条第3項各号の資料を提出しなければならない。
2 治験責任医師及び依頼者は、治験審査委員会による審査の充実と効率化のために治験審査委員会事務局による事前ヒアリングに協力しなければならない。
3 治験責任医師は、治験審査委員会において受託する治験の説明を行う。やむを得ず、治験責任医師が出席できない場合は、分担医師が説明を行う。
4 治験責任医師は、治験審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示・決定が文書で通知され、契約が締結される前に、被験者を治験に参加させてはならない。
5 治験責任医師及び依頼者は、治験審査委員会が何らかの修正を条件に治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知された場合は、治験実施計画書等修正報告書及び当該関連資料を治験審査委員会委員長に提出し、修正内容に関する委員長の確認を受けるものとする。治験責任医師は、確認を受ける前に治験を実施してはならない。確認の結果は、治験審査委員会で報告する。
6 治験責任医師及び治験分担医師は、「宮崎大学医学部等における臨床研究等利益相反マネジメント規程」に則り、申請時に「利益相反に係る自己申告書」を医学部等臨床研究等利益相反マネジメント委員会に提出するものとする。同委員会から当該申告書に基づき助言又は指導があった場合は、それに従うものとする。また、必要な場合は、説明文書・同意文書において、治験依頼者との関係を告知するものとする。
(治験実施の契約等)
第27条 治験責任医師は、治験契約書の内容を確認するものとする。
2 治験契約の内容を変更した場合は、変更契約の内容を確認するものとする。
第4節 治験責任医師等の実施時の業務
(スタートアップミーティングの開催)
第28条 治験責任医師は、治験実施前に治験分担医師や治験協力者及び依頼者等とスタートアップミーティングを開催し、治験の内容や手順を十分に説明し、説明同意の取り方、治験薬の取扱い方法、健康被害への対応と有害事象報告の方法、症例報告書の作成と提出等について指導を行わなければならない。
(被験者の選定)
第29条 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の選定に当たって、人権擁護の観点及び治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、医師との依存関係、他の臨床試験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討しなければならない。
2 同意能力を欠く患者は原則として被験者とはしない。やむを得ず対象とする場合は、GCP第50条第2項及び第3項、第52条第3項及び第4項並びに第55条に定める規定に則り行わなければならない。
3 社会的に弱い立場にある者や重篤な状態にある患者では、自由意思に基づく同意の取得に特に慎重な配慮を払わなければならない。
(同意の取得)
第30条 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者又はその代諾者に対して、治験責任医師が作成し治験審査委員会の承認を受けた説明文書・同意文書を用いて文書及び口頭により十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得なければならない。特に、以下の事項に注意しなければならない。
(1) 同意を得る前に、被験者に、質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
(2) 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は参加の継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、他の主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
2 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が説明文書・同意文書等を読めない場合については、GCP第50条第2項及び第3項、第52条第3項及び第4項並びに第55条を遵守しなければならない。
3 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、及び被験者が署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も署名し、日付を記入しなければならない。
4 同意文書は4部作成し、1部は説明文書とともに被験者に渡し、1部は管理課に提出し、1部は診療録等に、1部は治験部門にて保存しなければならない。
(新たな情報に基づく再同意の取得)
第31条 被験者の同意に影響を及ぼすと考えられる有効性や安全性等の情報が得られたときや、被験者の同意に影響を及ぼすような実施計画等の変更が行われるときは、速やかに被験者に情報提供し、治験に参加するか否かについて被験者の意思を予め確認するとともに、事前に治験審査委員会の承認を得て説明文書・同意文書等の改訂を行い、被験者の再同意を得なければならない。
(他科・他院への通知)
第32条 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加していることを、被験者の同意の下に他科及び他院の医師に通知しなくてはならない。
(治験機器及び治験製品の管理・処方)
第33条 治験機器及び治験製品を治験責任医師が管理する場合は、治験責任医師又は治験分担医師は、依頼者が定めた手順を基に払出しし、管理表に記録を残さなければならない。
(症例報告書の作成・提出とプライバシーの保護)
第34条 治験責任医師等は、速やかに症例報告書を作成しなければならない。治験責任医師は症例報告書の内容を点検し、問題がないことを確認したときに、記名捺印又は署名しなければならない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、病院外に提出する症例報告書等の報告においては、被験者の識別に治験責任医師が設定した被験者識別コードを用いるなど、被験者のプライバシー保護に配慮しなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書の修正を行う場合は、治験依頼者から提供される手引に従い、修正の履歴、修正の理由、修正日、修正者が明らかとなるように記録を残し、修正者の修正印あるいは署名を残さなければならない。
4 治験責任医師は、提出した症例報告書の写しを保存しなければならない。
(逸脱の報告)
第35条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験責任医師が治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するための医療上やむを得ないものである場合、又は治験の事務的事項(例:治験依頼者の組織・体制の変更、実施医療機関の名称・診療科名の変更、実施医療機関及び治験依頼者の所在地又は電話番号の変更、治験責任医師の職名の変更、モニターの変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。
3 被験者の緊急の危険を回避するための医療上やむを得ない逸脱又は変更を行った場合、治験責任医師は、可能な限り早急に、逸脱又は変更の内容とその理由を、また、治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を治験依頼者及び病院長を経由して治験審査委員会に提出しなければならない。病院長は治験審査委員会の意見を聴き、当該事項に関する検討結果を治験責任医師及び治験依頼者に報告するものとする。治験依頼者はこれに関しての合意の可否を病院長に文書で通知し、病院長は治験責任医師に文書で通知する。
(有害事象発生時の取扱い)
第36条 治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象を認めたときは、直ちに適切な処置を行うとともに、診療録及び症例報告書に齟齬なく記載しなければならない。また、治験薬の投与を中止した場合や、有害事象に対する治療が必要となった場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
(重篤な有害事象の報告)
第37条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験の実施中に重篤な有害事象が発生した場合は、適切な処置を行うとともに、治験の継続が困難と判断される場合は治験を中止しなければならない。また、治験責任医師は、重篤な有害事象が以下に該当する場合は、治験薬との因果関係の有無に係わらず、直ちに所定の様式を用いて病院長に報告し、治験の継続の可否について治験審査委員会及び病院長の指示を受けなければならない。また、報告は、治験期間中の全ての重篤な有害事象だけでなく、治験終了(中止)後の治験薬との関連性が疑われる重篤な有害事象についても報告しなければならない。報告は、第一報(緊急報告)及び第二報(詳細報告)とし、必要に応じてさらに追加の報告を行うものとする。
(1) 死亡又は死亡につながるおそれ
(2) 治療のための入院又は入院期間の延長
(3) 障害又は障害につながるおそれ
(5) 後世代における先天性の疾病又は異常
2 治験責任医師は、前項に該当する場合は、病院長への報告に加えて治験依頼者にも直ちに通知しなければならない。
(安全性情報の報告)
第38条 治験依頼者は、治験薬の品質・有効性・安全性に関する重要な情報を収集・検討し、治験責任医師の見解とともに、新たな安全性情報の報告書を病院長に提出しなければならない。また、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。
2 治験責任医師は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを診療録等の文書に記録し、被験者の継続の意思を確認しなければならない。また、説明文書・同意文書を改訂する必要があると認めた場合は、病院長に変更を申請し、承認が得られた後に、被験者の再同意を得るものとする。
(健康被害の補償の取扱い)
第39条 治験に参加することにより健康被害が発生した場合の補償の有無及びその内容は、説明文書・同意文書及び治験実施計画書等に記載されていなければならない。
2 医療機関の責に帰すべきものを除いて、治験依頼者が補償及び賠償の責務を負うものとする。治験責任医師又は治験分担医師は、本院にて健康被害の治療を行った場合は、健康被害の治療に要する費用のうち被験者負担分を治験依頼者が補償することを原則とし、その旨を医事課に連絡するものとする。他院での治療及びその他の補償については、治験依頼者と連絡をとり、取扱いを協議するものとする。
(変更申請)
第40条 治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提供すべき文書を最新のものにしなければならない。
2 治験責任医師又は治験依頼者は、治験実施計画書、説明文書・同意文書、治験責任医師又は治験分担医師に変更がある場合(異動により治験分担医師としての要件を失う場合を含む。)は、速やかに予め病院長に申請し、変更の可否について治験審査委員会の意見に基づく病院長の指示を受けなければならない。ただし、変更内容が第10条第3項第2号のみに該当する場合はこの限りではない。
3 治験責任医師又は治験依頼者は、治験の申請時の審査に用いたその他の書類に追加、更新又は改訂等の変更があった場合は、速やかに病院長に申請し、変更の適否について治験審査委員会の意見に基づく病院長の指示を受けなければならない。ただし、変更内容が第10条第3項第2号のみに該当する場合はこの限りではない。
(実施状況報告)
第41条 治験責任医師は、実施中の治験において少なくとも年1回、病院長に実施状況報告書を提出するとともに、治験の継続の可否について病院長の指示を受けなければならない。
2 治験審査委員会事務局は、定期的に行う実施状況報告について、提出依頼を通知するものとする。
第5節 治験の終了・中止・中断時の業務
(治験の中止・中断報告)
第42条 治験が何らかの理由により中止又は中断された場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療を行わなければならない。
2 治験が何らかの理由により中止又は中断された場合には、治験責任医師は、病院長にその旨と理由を記載した報告書を速やかに提出しなければならない。
(治験の終了時の報告)
第43条 本院において治験が終了した場合は、治験責任医師は、病院長に治験結果の概要を含む治験終了報告書を提出しなければならない。
第6節 治験責任医師のその他の業務
(モニタリング・監査・調査等の受入れ)
第44条 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター及び監査担当者の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
2 治験責任医師は、治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、治験審査委員会及び規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(記録の保存)
第45条 治験責任医師は、GCP及び第50条に従い、治験の実施に係る治験に係わる文書等を保存しなければならない。なお、これら保存の対象となる記録には、治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関するものを含む。
第5章 治験薬管理者の業務
(治験薬管理者の設置等)
第46条 治験薬の管理責任は、病院長が負うものとする。
2 病院長は、治験薬を保管、管理させるために治験薬管理者を置く。
3 原則として治験薬は薬剤部長、治験機器及び治験製品は治験責任医師を管理者として指名し、病院長の承認をもって指名記録を作成する。また、治験薬が麻薬の場合は麻薬管理者を治験薬管理者として指名し、指名記録を作成する。
4 治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験薬の取扱い等に関する手順書及びGCPを遵守して適切に治験薬を保管、管理しなければならない。
5 治験薬管理者は、薬剤部及び臨床研究支援センター治験部門所属の薬剤師全員を治験薬管理補助者として治験薬管理に従事させることができる。
(治験薬管理者の業務)
第47条 治験薬管理者は、GCPを遵守し、かつ治験依頼者が作成した治験薬の取扱い等に関する手順書に従って次の各号に掲げる業務を行うものとする。
(1) 治験薬の受領及びそれに対する受領書の発行
(2) 治験薬の在庫管理(保管、管理及び払い出し)
(3) 治験薬の保管・管理に関する記録の作成
(4) 被験者ごとの使用状況の把握及びその記録の作成
(5) 治験薬(被験者からの未使用返却治験薬、使用期限切れ治験薬及び欠陥品を含む)の治験依頼者(又は手順書に定める者)への返却又はそれに代わる処分及び治験薬返却書の発行
(6) 治験実施計画書に定められた量の治験薬が被験者に正しく投与されているか否かの確認
2 治験薬管理者は、治験薬の出納について不整合を認めた場合、必要に応じて治験事務局を介して病院長に報告しなければならない。
第6章 治験事務局の業務
(治験事務局の設置)
第48条 病院長は、治験の実施に係る事務を行わせるため治験事務局を設置するものとする。
2 治験事務局は、治験審査委員会事務局を兼ねるものとする。
3 治験事務局は、治験部門がその任を担当するものとする。また、治験事務局責任者は、治験部門長が務める。
(治験事務局の業務)
第49条 治験事務局は、治験審査委員会事務局業務及び治験の実施に関する業務を行うものとする。
2 治験事務局は、病院長の指示により、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) 治験審査委員会の委員の指名及び教育に関する業務(委員名簿の作成、新規委員への初回の講習及び治験審査委員会における関連情報の提供を含む。)
(2) 治験依頼者に対する必要書類(検査部等における精度管理等を保証する記録等を含む。)の交付と治験申請手続きの説明及び人事異動等による治験責任医師等の変更がある場合の事前の連絡
(3) 治験審査委員会が審査の対象とする審査資料の治験依頼者及び治験責任医師からの受付
(4) 治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リストの確認
(5) 治験審査委員会への治験審査依頼書の作成
(6) 治験審査結果通知書の作成と治験依頼者及び治験責任医師への通知書の交付(治験審査委員会の審査結果を確認するために必要とする文書の治験依頼者への交付を含む。)
(7) 治験終了(中止・中断)報告書の受領及び治験審査委員会及び治験依頼者への通知
(8) 記録の保存
(9) 治験の実施に必要な手続きの作成
(10) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
(11) 治験契約に係わる手続き等の業務(医学部管理課がその任を担当するものとする。)
3 治験事務局は、治験審査委員会委員長の指示により、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) 治験審査委員会の開催準備
(2) 治験審査委員会の議事録(審議結果及び採決に参加した委員の名簿を含む。)の作成
(3) 治験審査結果報告書の作成及び病院長への報告
(4) 治験審査委員会で審議の対象とした資料、議事録、治験審査委員会が作成した資料等、その他の必要な資料等の保存
(5) 本規程の見直し案の作成、及びその他の標準業務手順書の策定
(6) その他治験審査委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
4 治験事務局は、モニタリングの受入れに関して、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) モニター等と訪問日時を調整し、モニター等に連絡する。
(2) モニター等が治験依頼者によって指名された者であることを確認する。
(3) モニタリング時には治験責任医師、治験分担医師又は、治験協力者が立ち会うこととする。ただし、必要に応じて治験事務局が対応する。
(4) 治験事務局は、履歴書にてモニター本人であることを確認する。
(5) 原資料が電子カルテの場合には、医事課医療情報係により発行された固有のIDとパスワードによってのみ閲覧可能とする。
(6) モニタリング終了後、モニターより問題事項等が示された場合、治験責任医師、治験事務局等は関係者と協議し、対応を決定する。必要に応じ、治験事務局は問題事項等を病院長に報告する。
(7) 治験責任医師、治験事務局等は、モニターから問題事項等に対する対応を確認したい旨の要請があった場合、これに応じる。
第7章 記録の保存
(記録の保存)
第50条 本院で保存すべき治験に係わる文書等の保存責任者は、次のとおりとする。
(1) 治験審査及び受託に関する文書:治験部門長
(2) 治験薬に関する記録:治験薬管理者
(3) 契約に関する文書:管理課長
(4) 診療録に関する書類:病院情報システム運用推進会議議長
(5) 治験責任医師が保管すべき文書(治験終了後):治験部門長
(6) 臨床検査等の基準値を示す記録:治験部門長
2 治験審査委員会において保存する文書等は以下のとおりとする。
(1) 本規程
(2) 委員名簿(各委員の資格、職業及び所属を含む。)
(3) 提出された文書
(4) 会議の議事録(会議の記録及びその概要。審議及び採決に参加した委員名簿を含む。)
(5) 書簡等の記録
(6) その他の必要と認めたもの
3 保存責任者は、保存中の記録が直接閲覧に供せられる場合、これに自ら立ち会うあるいは適当な者を指名して立ち会わせるものとする。
(1) 当該治験薬に係る製造販売承認取得日(開発が中止された場合は開発中止が決定された日から3年が経過した日)
(2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
5 記録保管責任者は、記録が紛失、破損しないように適切に保管場所を設置する。
6 保存している記録が保存期間を満了し、当該記録を破棄する場合、被験者のプライバシー及び治験依頼者の秘密を侵害しないよう適切に処分する。
第8章 規程の準用及び改訂
(規程の準用)
第51条 次に掲げる臨床試験についてはこの規程を準用するものとする。
(1) 医療機器の治験
(2) 再生医療等製品の治験
(3) 体外診断用医薬品の治験
2 第1項第1号に規定する医療機器の治験に本規程を準用する場合には、「治験薬」を「治験機器」に、「被験薬」を「被験機器」に、「治験薬概要書」を「治験機器概要書」に、「副作用」を「不具合」に適宜読み替えるものとする。
3 第1項第2号に規定する再生医療等製品の治験に本規程を準用する場合には、「治験薬」を「治験製品」に、「被験薬」を「被験製品」に、「治験薬概要書」を「治験製品概要書」に、「副作用」を「不具合」に適宜読み替えるものとする。
4 医師主導治験においては、本規程を準用し、「医師主導治験における治験標準業務手順書」を別途定める。
(規程の改訂)
第52条 この規程の改訂は、治験事務局が起案し治験審査委員会で審議を経て、本院病院運営審議会で承認されなければならない。
(雑則)
第53条 この規程に定めるもののほか、この規定の運用等に関し必要な事項は、別に定める。
附則
1 この規程は、平成27年5月20日から施行し、平成27年4月1日から適用する。
2 宮崎大学医学部附属病院治験用医薬品等の臨床試験に関する規程(平成16年4月1日制定)、宮崎大学医学部附属病院治験審査委員会規程(平成16年4月1日制定)及び宮崎大学医学部附属病院において実施する臨床試験に係る標準業務手順書(平成16年12月10日制定)を廃止する。
附則
この規程は、平成27年10月1日から施行する。
附則
この規程は、平成28年1月20日から施行する。
附則
この規程は、平成28年10月26日から施行し、平成28年8月1日から適用する。
附則
この規程は、平成29年2月15日から施行する。
附則
この規程は、平成30年3月28日から施行し、平成29年4月1日から適用する。
附則
この規程は、平成30年9月19日から施行する。
附則
この規程は、平成30年12月1日から施行する。
附則
この規程は、令和2年4月22日から施行する。
附則
この規程は、令和2年5月11日から施行する。
附則
1 この規程は、令和3年4月30日から施行する。
2 この規程施行後、最初に選出される第14条第1項第2号の委員の任期は、同条第4項の規定にかかわらず、令和3年9月30日までとする。