のうがく図鑑

第37巻

大学附属牧場

フィールド科学教育研究センター(住吉)
小林 郁雄 准教授
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 附属牧場で、家畜(ウシ・ブタ)や草地を利用した教育・研究・社会貢献・生産活動および施設運営等に携わっています。この牧場は、全国教育拠点に認定されており、学内外や海外の学生・関係者に対する実習・研修等が頻繁に行われています。毎年の利用者約5千人のうち、研究で来場する先生や学生はのべ1,500人以上になり、例えば「のうがく図鑑」1826巻は牧場の話ですが、610121316243138巻の先生方も牧場で研究しており、1925巻も関係があります。その他、幼稚園から高齢者まで、幅広い社会貢献活動も実施しています。また、牧場維持のための収入源として、家畜や生産物の販売・増益にも取り組んでいます。

 牧場職員・学生一同でやりくりしながら、これらの雑多な用事をゲーム感覚で日々クリアしていく状況は楽しいです。よくゲームオーバーしている気もしますが...。一方、自分の研究面でいうと、学生時代は都井岬の野生馬で12巻のようなこと、畜産現場で働いていた頃は13巻のようなこと、その後の博士課程では19巻の研究をしていましたが、実は38巻のようなことをしたいです。そして最近の注目は、何と言っても工学部と連携している省力的ICT(情報通信技術)畜産に関する研究です。

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写真1 附属牧場の風景

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写真2 放牧地のウシ

 畜産では少子高齢化などの影響で一戸当り飼養頭数が増加していますが、工学部の技術を応用すれば、現場作業の省力化が可能です。繁殖成績向上のため、歩数計や測域センサで発情を発見できます。栄養状態を調べる3Dカメラ、体重測定はレーザーセンサ、行動の検知には血圧センサ、3次元加速度センサも使えます。牧草の栄養はドローンと赤外線で測定します。監視カメラとプログラミングで家畜の異常を自動検出して、遠く離れた携帯まで情報を送る仕組みや、各種作業の自動ロボット開発が急速に進行中で、企業や他大学との共同研究も多数実施しています。世の中すごいことになっていますよ...。農業革新に貢献したい方は、最初はまず工学部へ、後に農学分野へ進むのもいいかもしれません。

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写真3 放牧地のブタ

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写真4 実習風景

 畜産分野のみならず、今後の国内における人口動態の激変は、世界から注目される壮大な社会実験となるでしょう。牧場の畜産ICT研究やGAP教育(26巻)、海外学生の受入れ等が、少しでもポジティブに働けばいいと思っています。最後に、のうがく図鑑は全体的に楽しいことばかり書いてありますが、中高生の皆さん、中高年の言うことを鵜呑みにしてはいけません!これまでの先人の経験と常識を疑い、検証して刷新することも大切です。やりたいことがある人はその道を、まだ決まっていない人は、とりあえず宮崎大学農学部に入っておけば間違いありません(多分)。万一間違った場合は、附属牧場で家畜や草原、青い空を眺めて下さい。何かいいことが見つかるかもしれません(だといいですね)。


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