宮崎のご当地サーモンを全国へ!宮大学生発ベンチャーの世界への挑戦

  • 上野 賢
  • 出場時の所属:宮崎大学農学部海洋生物環境学科4年
  • H29年度開催:第1回みやだいビジコン出場
宮崎のご当地サーモンを全国へ!宮大学生発ベンチャーの世界への挑戦

宮崎大学初の「学生発ベンチャー企業」として注目されている株式会社Smolt。代表取締役の上野賢さんは、宮崎大学在籍中の卒業研究でサクラマス養殖に出会い、今も研究を続けています。2017年の第1回宮崎大学ビジコンでは学長賞を受賞。飛躍のきっかけとなりました。持続可能なサクラマス養殖技術で、世界に誇れるブランドを目指す上野さんにお話を伺いました。

研究成果を社会に還元するヒントを得るためビジコンに参加

2016年からサクラマスの研究をしていた上野さん。2017年に開催されたみやだいビジコンは、大学の研究成果をいかに社会に還元するか、どのように事業化するかのヒントを得るために参加したと言います。

「サクラマスの研究はするものの、流通の方で課題解決を感じていました。研究をビジネスにつなげようとしたときに、社会のニーズや自分たちの役割などが分からなかったんです。そんなとき教授からビジコンの開催を教えてもらい、ビジネスの基本から学ぼうと出場を決意しました」

初めて世界を視野に入れたビジネスの視点が持てた

ビジコンに参加し一番変わったのは、サクラマス事業の向き合い方と発信の仕方でした。これまで研究一筋だった上野さん。ビジコンの場で初めて社会や世界を視野に入れたビジネスの視点を持つことができたと言います。

「研究ではロジカルに事実を積み上げていきますが、ビジコンではパッションというか、言葉に表せないことをいかに言葉にして伝えるかという気概がすごく大事なんだということを学びました。研究をしていると数値が全て正しいと思いがちですが、結局人を動かすのはエモーショナルな部分。それが一番勉強になったことです。事業に対する考え方がからりと変わりました。」

循環型養殖の確立で新しい地域産業を生み出す

現在は主に五ヶ瀬町の淡水養殖施設でヤマメの稚魚を生産育成し、短期間延岡市の海水養殖の生贄で巨大化させ、また五ヶ瀬町に戻すという「陸と海水の循環型養殖」の実施を推し進めています。こうすることで効率的にサクラマスが育つのだそう。2020年には「つきみいくら」という初の自社商品も開発しました。現在は販路を広げつつ、ブランディングやマーケティングに力を注いでいます。

上野さんが目指すのは「内水面業者も海面養殖業者も儲かる」ビジネスシステムの構築。地域連携で漁業者や生贄などの地域資源を生かすことで、新しい地域産業を生み出し、地域の水産業に関わる人たちを増やしたいと考えています。

サクラマスを宮崎の新しい特産品にして世界へ羽ばたく

上野さん「ベンチャーにはとてもたくさんの成長のチャンスあると感じています。特にビジコンでは、壁を越えるには誰かに任せないで自分でやるしかない状況だったので、非常に成長できる機会を与えてもらいました。ビジコンで研究業界以外の方からアドバイスをいただけたのも、今の活動に全て活きています。起業するときもビジコン関係者や大学の先生方にサポートしていただき、記者会見も開いていただいて、たくさんの方々の支えのおかげでチャレンジできている今があることに感謝しています。」

「Smolt」とはサクラマスが川から海に降ろうとするときに、体が銀色に変化する現象のこと。上野さんもサクラマスと同じように大海原へと飛び出したばかり。上野さんたちが手掛けるサクラマスが、宮崎の新しい特産品として全国のみならず世界中に並ぶ日が楽しみです!