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大学教育研究

基本知識3: 一般的によくみられるGPAの計算方法

ここでは、宮崎大学で導入するGPAの計算方法が従来型のGPAの計算方法と比べて優れている点と、何故このようなGPAを用いなければならいないのかを考えてみましょう。注1

一般的によくみられるGPAの計算方法

授業科目ごとの成績評価を、例えば5段階(秀、優、良、可、不可)で評価し、それぞれに対して、4・3・2・1・0のようにグレードポイント(GP)を付与し、この単位あたりの平均値を出します。

  【従来型のGPAの計算方法】

 GP=授業科目ごとの成績評価を、例えば5段階(秀、優、良、可、不可)で評価し、
    それぞれに対して、4・3・2・1・0のようにグレードポイント(GP)を付与する。
 GPA=∑(科目のGP×科目の単位数)/∑(履修登録単位数)


  【GPAの計算例】

授業科目名 単位数 素点 評価 GP
キリスト教入門 2 90 2*4=8
英語T 1 95 1*4=4
現代コミュニケーション理論 2 85 2*3=6
心理学 4 80 4*3=12
口語表現法T 2 75 2*2=4
情報リテラシーT 1 70 1*2=2
調査研究法 2 65 2*1=2
ウィークリースポーツ 1 55 不可 1*0=0
  15   GPA= 38/15=2.53

問題点

一見すると客観性の高いGPA評価も従来の計算方式では、本質的に統計上の問題点を抱えています。つまり、GPA制度は評語で成績評価を行うことを前提としており、日本のほとんどの大学で行われている素点による成績評価に適用した場合、素点とGPAの関係に差が生じ、学生にとっては不利と思われる結果をもたらすことがあります。このことを例示してみます。

  【問題点: 成績を数値→評語→数値へ変換している】

成績   評語   GP
100-90 4.0
89-80 3.0
79-70 2.0
69-60 1.0
59以下 不可 0.0

この計算方法で以下の得さん、損さんのGPAを算出すると、損さんは素点の成績の平均点が75.6点にも関わらず、GPAは1.42です。一方、得さんは素点の成績の平均点は66.6点でGPAは2.14となり、直観的に損さんの方が良い成績を修めているにも関わらずGPA評価が低くなっています。

  【損さん】

授業科目名 単位数 素点 評価 GP
キリスト教入門 2 79 B 2*2.0=4.0
現代コミュニケーション理論 4 69 D 4*1.0=4.0
口語表現法T 1 79 B 1*2.0=2.0
  7 75.6 GPA= 10.0/7=1.42

  【得さん】

授業科目名 単位数 素点 評価 GP
キリスト教入門 2 60 B 2*1.0=2.0
現代コミュニケーション理論 4 80 D 4*3.0=12.0
口語表現法T 1 60 B 1*1.0=1.0
  7 66.6 GPA= 15.0/7=2.14


宮崎大学で採用する計算方法で再計算すると

この問題に対応するためには、GPA評価の計算に評語を介さない方式、すなわち素点を基に計算する方式が望ましいといえます。GP=(成績素点-54.5)/10で再計算した結果を以下に示します。素点の平均点とGPAが正しく一致していることが確認出来ます。

  【損さん】

授業科目名 単位数 素点 評価 GP
キリスト教入門 2 79 B 2*2.45=4.9
現代コミュニケーション理論 4 69 D 4*1.45=5.8
口語表現法T 1 79 B 1*2.45=2.45
  7 75.6 GPA= 13.15/7=1.88

  【得さん】

授業科目名 単位数 素点 評価 GP
キリスト教入門 2 60 B 2*0.55=1.1
現代コミュニケーション理論 4 80 D 4*2.55=10.2
口語表現法T 1 60 B 1*0.55=0.55
  7 66.6 GPA= 11.85/7=1.69

注1: 素点を線形に変形してグレードポイントを算出する方式をfunctional GPAと呼びます。本学では、半田智久先生(お茶の水女子大学)の提唱するfunctional GPAの考え方を採用しています。