知的財産・研究リスクマネジメント部門

研究ノート使用のお願い

 発明者・発明日の明確化や研究活動の不正防止のため研究者による研究ノートの使用を出来るだけ行って頂くようお願いいたします。

 研究ノートは研究者が研究開発活動の内容を自ら整理して記録するものです。また、知的財産の観点からも研究者の貴重な財産となると共に、訴訟等が生じた場合は第三者に提示でき、研究成果を知的財産として最適に保護する際の重要な証拠資料にもなるものです。

 研究ノートへはその日の研究内容を記録します。その際、着想に至った背景や目的、具現化の手段・方法なども併せて書いておくと特許出願時においてもより使いやすく便利です。企業との共同研究を行う際は、特に研究ノートを使用されるようお願いいたします。

1.研究ノートの使用目的

(1)研究の記録および不正防止のため

 研究計画・過程・研究データを記録した研究ノートの存在は、論文等の信憑性に大きく作用します。また、研究ノートの記載により、研究費が適正に支出されていることを証明することもできます。

(2)共同研究における情報混交防止のため

 特に複数の企業と共同研究を行う場合、情報混交(コンタミネーション)のリスクが高まります。その際、共同研究テーマごとの研究ノートを作成し、研究の進捗状況を記録することで、共同研究契約遵守の証明ができます。また、出願時の発明者の特定及び共同発明の権利の持分を特定する根拠になります。

(3)発明者、及び発明への貢献度を特定し発明に関する紛争を避けるため

 特許化後に、発明が真の発明者によるものではないとの理由で無効審判を請求されたり、共同発明者が存在する場合にどちらがどの程度当該発明に貢献したかを特定する場合、第三者に対し研究成果の発明への着想日、内容、共同発明者、貢献度等を明らかにすることが出来ます。

(4) 特許出願書類の作成に活用

 日々の研究成果によって発明となる着想が生じた場合、本学にて出願する価値ある発明と判断されれば特許出願を行います。出願には、特許請求の範囲という権利取得文書に対し、その実施例や技術者が理解できる程度に詳細を記載する明細書を作成しなくてはなりません。研究ノートを使用することにより実験手順、発明の具体的説明、参考文献等が明確になり抜けのない明細書を作成することが出来ます。

2.研究ノート使用に関する留意点

  1. 研究ノートは、研究テーマごとに作成する。
  2. 研究ノートは、研究完了後5年間は保管する。

3.研究ノートの使用方法

  1. 研究ノートの記載は研究作業当日に行う。
  2. 記録日毎に、記録の末尾に記録年月日(西暦)・記録者の署名(フルネーム)・確認者の署名を行う。(証拠書類としての必要条件)
    ※確認者には、技術内容を理解できる人になってもらうのが好ましい。
    ※確認者の署名は、記録日からできるだけ早くしてもらう。
  3. 筆記具はボールペン等の消えにくいものを使用する。
  4. 記入は余白の無いよう詰めて記入する。(若しくは「以下余白」と記載)1日分の記録が複数ページにわたる場合は、2ページ目以降の冒頭に「続き」と記載する。

  5. 誤記の訂正は修正液では行わず、二重線で消し、消した箇所に署名・訂正日を記入する。後日、大幅な訂正を行う場合は、訂正する日のページに下記のように訂正する。
    例)○○年○月○日 以前に行った記載を下記のとおり訂正する。
    〔訂正箇所〕○○年○月○日 ○ページ
    〔訂正内容〕○○○○○○・・・・・
    〔訂正理由〕○○○○○○・・・・・
  6. 実験データなど研究ノートに別の用紙を貼り付ける場合は、割印または署名と日付を記載する。
    例)
  7. 他人からアイデアを受けたり、共同で着想した場合には、いつ誰からどのようなアイデアを受けたか、誰と共同で行ったかを、日時と名前、具体的な内容等を後のトラブル防止のためその都度記録しておく。


PAGE TOP