宮崎大学
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百人一首の魅力を伝えたい 永吉 寛行(ながよし ひろゆき)さん

2022年1月4日掲載

20211227_hito008_001.jpg永吉 寛行(ながよし ひろゆき)さん

教育学研究科 教職実践開発専攻 准教授

20211227_hito008_01.jpg 1964年神奈川県生まれ。
 大学卒業後、1987年に神奈川県高等学校教諭として採用される。現場の国語教諭として12年間勤務し、約3年間の教育委員会勤務の後、さらに5年間を現場の国語教諭として勤務。その後、県教育委員会の指導主事・総括教諭(主幹教諭)として4年間を経て、高等学校の教頭として3年間勤務。
 2005年から2018年にかけて全国高等学校文科連盟小倉百人一首かるた部門審判委員をつとめる傍ら、2011年からは高校国語教科書編集委員や私立大学非常勤講師などを務め、2019年に、宮崎大学教育学研究科の准教授として採用される。担当科目は「初等国語科教育法」「中等国語科教育法」(以上、学部)「言語教育系授業研究」(大学院)など
 最近夢中になっていることは、龍笛(りゅうてき)と呼ばれる横笛で、宮崎天満宮で毎週日曜日に行われる稽古に通っている。2021年に宮崎県で開催された国民文化祭における「キキタビキャンペーン」で、古事記・日本書紀にゆかりが深い神社として選定された22社全てを半年間かけてまわり、御朱印を集めるとともに、全神社本殿の前で龍笛を奉納した。大好きな食べ物は「チキン南蛮」で、これまでに食べ歩いたチキン南蛮のレストランは50店舗を超る。本人の一押しは「グリル爛漫」のチキン南蛮。サイクリングも趣味で、休日は、自宅のある南宮崎から青島までを往復することも多い。

Q.宮崎大学に来る前は神奈川県の高等学校で勤務していたそうですが、そもそもなぜ、教員を目指したのでしょうか?

 小学生の頃から国語が好きでした。高校生の頃に、国語教諭の情熱的な指導に恵まれたこともあり、古典にはまりました。その後、大学では国文学科に進学し、せっかくであれば大好きな古典や文学に関係する職業に就きたいと思ったことが国語の教員を目指した大きな理由です。

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写真:高校教諭時代の永吉さん(1996年撮影)
ぬいぐるみは「かるた部」のコーチ的存在で、常にストップウォッチを首に掛けて暗記時間を計測していた。

Q.大学教員になって良かったと思うことは? 

 カッコイイ言い方をすると「未来を育てる」という点では高校も大学も共通していますが、大学教員、特に教育学部国語教育講座教員は、自分が大好きな「国語の授業」を作ることのできる教員を育てるという、自分の「夢」を託せる人材育成に大きな魅力を感じています。
 また、小学校・中学校・高校と各校種の国語科を考える機会をいただきました。これまでそんな大きな視野で国語というものを考えてこなかったので、その点も良かったと感じています。
大学教員としては、まだまだわからないことも多く、手探りの毎日ですが、関わるほとんどの業務が直接的に魅力ある授業づくりに繋がることは大きな喜びです。

Q.この分野を専門とするようになったきっかけを教えてください。 

 小学生の頃から国語が好きだったのですが、小学校4年生の時に父親が百人一首かるたを買ってくれたことが人生を大きく決定づけました。読み札に描かれている平安貴族の様子にまず惚れて、それから読まれている和歌の意味に大きく興味をそそられました。そこから想像力がたくましくなり、国語全般に興味を覚えていったというのがきっかけです。

Q.宮崎大学に来るきっかけを教えてください。 

 神社のあの清冽な雰囲気が好きで、その神社や神話伝説が残る宮崎県は昔から大好きでした。授業が光り輝く学校を作りたいという夢を持って管理職になったのですが、いろいろ突き詰めて考えていたときに自分の国語科授業論をきちんとまとめておくのが先だという気持ちになり、それを追求することにのめり込むようになったのです。そんな時に宮崎大学国語教育講座教員の公募を知り、宮崎なら行ってみたい!と半分観光客のノリで応募しました。赴任が決まってから知ったのですが「永吉」という名字のルーツは佐土原でもあるようです。宮崎には不思議な「縁」のようなものを感じています。

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写真:青島神社(宮崎観光情報「旬ナビ」より)
https://www.kanko-miyazaki.jp/digilib/miyazaki/documents/aoshima2.jpg

Q.現在、市民向けに実施している公開講座「楽しく学ぶ百人一首」はどのようなものですか?

 百人一首の和歌の意味や背景の講義だけでなく、そこをきっかけにいろいろな周辺文化にも触れて欲しいという内容にしています。1番の「秋の田の」から始めましたが、まず和歌の意味、作者のエピソード、そして江戸時代に作られた「光琳かるた」で読み札・取り札を鑑賞します。
 和歌の意味で、現在もまだ解決していない問題がありますので、それを解説、その後その問題について室町時代の人はどう見ていたのかを確認します。次に江戸時代の人が作ったその和歌の替え歌(パロディーですね)、さらにはその歌の英語訳を読み、その違いを楽しみます。
 また、その和歌を宮崎方言に訳したものを味わいます。「宮崎歴」が浅い私には、本当に勉強になります。次に、筆ペンではありますが毛筆でその和歌を和紙に書いてみます。受講者の皆さんのほとんどが上手に書かれるのですが、自分への言い訳も込めて、上手に書かなくてもいい、歌の意味をふまえた字にしてくださいねと話しています。最後に、競技かるたの朗詠調で声を合わせて歌を読み上げます。このようにさまざまな方法で日本文化を味わい、楽しんでいます。
現在のペースで続けていくと、(うまくいけば、ですが・・・)私の退官の年の3月に100番の「ももしきや」を終えることができます。

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写真:公開講座「楽しく学ぶ百人一首」(2021年撮影)

Q.百人一首かるたでは、自身も腕を磨いていると聞きますが、次の目標は。

 自己研鑽と研究を兼ねて百人一首かるたの腕を磨いており、競技部門では、1999年にB級の大会で優勝し、最上位クラスであるA級選手に昇格することができました。
また、このかるた競技には「読み」の作法が細かく決められており、その読み手(読手=どくしゅ=と言います)部門の世界もあり、専任読手と言われる百人一首を読むエキスパートが日本国内に8名います。専任読手は大相撲に例えると横綱のような存在で、一度、専任読手に昇格すれば、本人が体調不良などで辞退をしない限り降格することはなく、新しい空席が発生しません。そしてかるた日本一を決める「名人戦・クイーン戦」における読手は専任読手でないと務めることができないことになっています。
 細かい作法については、読み上げにかかる時間(10分の1秒単位で決められています)・声質・声量・雰囲気作り等様々あり、それをチェック項目として、現在の専任読手が厳しく審査する選考会に合格しなければ専任読手にはなれません。今度いつチャレンジする機会が訪れるかわかりませんが、来たる日に備えて訓練を重ねています。

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写真:宮崎大学附属小学校土曜講座の様子(2021年撮影)

Q.高校生や大学生にメッセージをお願いします。

  古典を含めて国語という教科は「直接(表面には)書かれていないこと」を読み取るところに面白さがあります。そしてそれは、実は教科書を含む「文章を読む」ことだけで身に付けられることではありません。例えばあなたに桜の花束が贈られてきたとしましょう。あなたは贈り主をどのような人だと思いますか?

 桜の花束はとても綺麗です。でもそれは「見えていること」です。それを贈ってきた相手の心根は見えません。受け取った方は「すぐに散ってしまう花を贈るなんて・・」「まぁ、何と季節感あふれる人なの」「この桜の枝、折ったんだよね。せっかく咲いているものを折ったんだよね」等々、桜の花を贈るという、ただこれだけでいろいろなことが思い浮かぶでしょう。

 贈られてきた時の状況に照らし合わせたら、どれが最も相応しいのでしょうか。それを考えるのが国語に結びつく面白さなんですね。そしてその面白さが「読解力」になっていきます。国語を「とりとめがない」などと思わず、ぜひ楽しんで欲しいと思います。宮崎大学教育学部の国語教育講座では、他にも国文学・国語学・漢文学・国語教育に情熱を持った先生がいますので、将来教師を目指す方などへの授業の指導などをきめ細かく行うことができるのが強みです。

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写真:国富八幡宮にて(2021年撮影)

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写真:新しく購入した自転車(2019年撮影)


神話のふるさと宮崎 ~古事記と宮崎県~

今からおよそ1,300年前に編さんされた古事記には、日向の高千穂に神が降臨し、神の子孫が初代神武天皇となり国土を築いていくまでの日本神話の最も重要な部分が生き生きと描かれており、その3分の2は宮崎県内を舞台としたと考えられています。そのため、宮崎県内には神話にまつわる地名や神社が多数存在していて、「神話のふるさと」として多くの観光客が訪れます。


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