14の教育研究分野
のうがく図鑑
森林緑地研究の最前線
木本植物の木部形成と木材材質の変動に関する研究
林業・木材産業は、地球環境の変化に伴って、より大きな地球環境への貢献を求められるでしょう。この分野では、国産材を活用した都市の木質化・木材利用の促進(炭素隔離)を進めるために必要な基礎的な知見の蓄積を目指しています。とくに、木本植物では研究が少ない内生植物ホルモンの働きについて研究を行っています。得られた成果に基づき、より効率的な木材生産・利用について提案を行っています。
森林利用学分野櫻井 倫 准教授
森林緑地研究の最前線
木材生産のための作業技術、機械、林道に関する研究
森林利用学では、森林を産業の舞台としてとらえ、森林からの恵みである木材をいかに安全に、低コストで消費地へと提供するかを技術的側面から研究しています。主として、重量物である木材を森林から運び出すために不可欠である森林機械、その機械の走行や木材の運搬のために欠かせない林道をはじめとする森林内の生産基盤、機械の組み合わせや生産の手順など、ベストな作業の方法を求める作業システム、作業をすこしても快適で楽な作業にする労働科学、といったものを対象に研究しています。
国土管理保全学分野篠原 慶規 准教授
のうがく図鑑
森林緑地研究の最前線
森林・農地の水資源及び緑を活用した防災に関する研究
主に水資源や土砂災害と関連した森林や農地などの機能を評価することで、最適な国土利用のあり方を探求すると共に、緑を活用した防災技術を確立することを目標としています。そのために、過去に蓄積されているデータを活用するだけではなく、ドローンやマイクロコンピューターなど最新の技術も駆使しつつ、研究を進めています。このような研究は、少子高齢化が進む中、地球温暖化が進行し、災害も多発している昨今において、必要不可欠なものと考えています。
のうがく図鑑
森林緑地研究の最前線
山地における水・土砂流出の解明と災害防止に関する研究
山地流域の土砂動態(土砂の生産・流出プロセス、及び土砂移動の空間的変異・時間的変化)の解明を目指して、主に野外調査・現地観測の方法で研究しています。特に、土砂移動に伴う地形変化のモニタリング観測を試験流域で約20年続けており、そこで得られた長期観測データに基づく研究が特徴です。また、近年各地で頻発している大規模な土砂災害は、次々と新しい防災上の課題を社会に突き付けており、それら災害の調査研究を行って課題解決の方法を探求しています。
田野フィールド
森林緑地研究の最前線
森林生態系と地球環境問題の関わりに関する研究
森林には生態系サービスと呼ばれる、様々な働きが備わっています。森林がどの程度、どのように人間社会や地球環境に役立っているのかを、例えば二酸化炭素の蓄積、大気汚染物質の浄化、河川の水質形成といった観点から、また逆に、地球規模の環境問題が森林や樹木にどのような影響を与えているのかを、地球温暖化、酸性雨、気候変動といった観点から研究しています。
森林機能生態学分野徳本 雄史准教授(テニュアトラック推進室所属)
植物の生態系内での役割解明と生態系機能の回復に向けた研究
樹木などの植物各種が、周辺環境の変化や他の生き物にどのように応答して、逆にそれらにどのような影響をもたらしているのかを明らかにする研究を行なっています。
このような植物各種が持つ環境形成作用や種間相互作用は、種や森林全体の生態を知る上で基礎的な情報となります。
私はさらに植物が持つ機能を用いて、熱帯や温帯の劣化した生態系を修復する手法の開発にも取り組んでいます。
人間活動などが原因で持続的な開発ができない土地が世界的に広がっているので、それらの解決に役立てられればと思います。
農山村の土地・水・施設の利用に関する研究
農作物を効率よく生産するためには、農業生産を取り巻く"環境"が重要になります。環境材料学分野では、農地、水、農業施設に関する研究を行っています。安定した収量に繋がる土の条件は何か、栽培に必要な水と不要な水を使い分けるにはどうすればよいか、コンクリート水路で生物が生きるために何が必要か、また未利用バイオマスを使った植栽基盤材の開発やため池の法面保護に適した植物は何かなど、学生とともに研究を行っています。
木花フィールド
のうがく図鑑
生態緑化と生態学的農法に関する研究
生態緑化工学分野では、主に野草と草原の生態学的研究を行っています。具体的には、草原生態系の長期動態研究を行うと共に、DNA分析などの分子生物学的な手法を活用した遺伝生態学的な研究を行ってきました。また、野草を活用した生態緑化や自然再生緑化に関する応用生態学的な研究も行っています。最近では、「競争に弱い外来牧草が放牧草地を侵略する謎」解きに学生さん達ととりくんでいます(詳しくはのうがく図鑑をご覧下さい)。
のうがく図鑑
森林緑地研究の最前線
野生動物の保護・管理と森林生態系の保全に関する研究
森林保護学分野では、動物や昆虫が森林に与える正と負の両方の影響を解明する研究を行っています。鳥や野ネズミが樹木の種子を散布するのは正の影響、シカが樹木を食べたり、キクイムシが病原菌を媒介して枯らしてしまうのは負の影響。でも、シカもキクイムシも森林生態系にとって必要な生き物ですし、鳥は時に樹木に被害を与えます。では、私達は野生動物をどのように保護・管理して、森林生態系を保全すればいいのでしょう。学生達は、実際に動物を捕まえたり、センサーカメラで撮影したり、樹木の反応を調べたりしながら、この問題に向き合っています。
木材生産と森林環境保全を両立させる人工林経営と地域林業に関する研究
森林の存在は人間社会にとって環境を形成する上で重要であるとともに、再生可能な木材資源を供給する場としても重要です。実際、森林は経済活動の源泉であるとともに経済活動の結果です。経済を中心に制度や政策が関わりながら形成される人間社会と森林との関わりを捉え、読み解くことがこの分野の課題です。宮崎は我が国で最も林業・木材産業が盛んで、また九州山地の独自の文化を維持する山村、照葉樹林等の貴重な森林にも恵まれ、これらを対象に研究を続けています。
森林計画学分野光田 靖教授
のうがく図鑑
森林緑地研究の最前線
森林の多面的機能に配慮した森林計画に関する研究
森林計画学分野では、森林の多面的機能を活用するための持続的森林管理を達成するための研究を行っています。
ICTを活用した効率的かつ精密な森林計測手法や、生態学的な立地評価にもとづいた森林配置計画手法の開発がメインテーマです。
また、ミツバチによる送粉サービスの定量的な評価を軸として、生態系の保全・再生と地域社会の持続的発展を目指した地域密着型の実践的な研究を綾町で行っています。