○宮崎大学動物実験規則
平成19年2月22日
制定
第1章 総則
(趣旨及び基本原則)
第1条 この規則は、科学的観点、動物愛護の観点及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員・学生等の安全確保の観点から、宮崎大学(以下「本学」という。)における動物実験等を適正に行うため、必要な事項を定める。
2 動物実験等については、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号。以下「飼養保管基準」という。)、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号。以下「基本指針」という。)、動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号)、その他の関係法令等に定めがあるもののほか、この規則の定めるところによる。
3 動物実験等の実施に当たっては、法及び飼養保管基準に則し、動物実験等の原則である次の3Rに基づき、適正に実施しなければならない。
(1) Replacement(代替法の利用 科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること。)
(2) Reduction(使用数の削減 科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮すること。)
(3) Refinement(苦痛の軽減 科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないこと。)
(定義)
第2条 この規則における用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 動物実験等 実験動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2) 飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(3) 実験室 実験動物に実験操作(24時間以内の一時的保管を含む。)を行う動物実験室をいう。
(4) 施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。
(5) 実験動物 動物実験等の利用に供するため、施設等で飼養又は保管している哺乳類、鳥類及び爬虫類に属する動物(施設等に導入するために輸送中のものを含む。)をいう。
(6) 動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。
(7) 動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。
(8) 動物実験責任者 動物実験実施者のうち、動物実験等の実施に関する業務を統括する者をいう。
(9) 管理者 学長の命を受け、実験動物及び施設等を管理する部局長をいう。
(10) 実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を担当する者をいう。
(11) 飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(12) 管理者等 学長、管理者、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者をいう。
(13) 指針等 動物実験等に関して行政機関の定める飼養保管基準及び基本指針をいう。
(14) 部局長 教育学部、医学部、農学部、地域資源創成学部、工学教育研究部、学び・学生支援機構、研究・産学地域連携推進機構、国際連携センター、多言語多文化教育研究センター、先端研究推進本部の下に置く各センター、IRセンター及び総合技術センターの長をいう。
第2章 適用範囲
(適用範囲)
第3条 この規則は、本学において実施される哺乳類、鳥類又は爬虫類の生体を用いる全ての動物実験等に適用する。
2 動物実験責任者は、動物実験等を本学以外の機関に委託する場合、委託先においても基本指針又は他省庁の定める動物実験等に関する基本指針に基づき、動物実験等が適正に実施されていることを確認しなければならない。
第3章 組織
(組織)
第4条 学長は、本学における動物実験等の適正な実施並びに実験動物の飼養及び保管について、最高責任者として、総括管理する。
2 学長は、動物実験計画の承認、実施状況及び結果の把握、施設等の承認、教育訓練、自己点検・評価、情報公開、その他動物実験等の適正な実施に関して報告又は助言を行う組織として、宮崎大学動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。
3 委員会に関し必要な事項は、別に定める。
第4章 動物実験等の実施
(動物実験計画の立案、審査、手続き)
第5条 動物実験責任者は、動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する観点から、次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案し、所定の動物実験計画書及び誓約書を学長に提出しなければならない。また、動物実験計画の変更及び更新の場合も同様とする。
(1) 研究の目的、意義及び必要性
(2) 代替法を考慮して、実験動物を適切に利用すること。
(3) 実験動物の使用数削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度及び再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的品質及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること。
(4) 実験動物の苦痛の軽減を考慮して動物実験等を適切に行うこと。
(5) 苦痛度の高い動物実験等、例えば、致死的な毒性試験、感染実験、放射線照射実験等を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミングをいう。)の設定を検討すること。
2 動物実験責任者は、実験動物の選択に当たって、実験目的に適した動物種の選定、遺伝学的品質、微生物学的品質及び飼育条件等を考慮しなければならない。特に微生物学的品質に関しては実験動物管理者の指示に従わなければならない。
3 学長は、動物実験責任者から動物実験計画書の提出を受けたときは、委員会に審査を付議し、承認するか否かの決定を行い、その結果を当該動物実験責任者に通知しなければならない。
4 動物実験責任者は、動物実験計画について学長の承認を得た後でなければ、動物実験等を行うことができない。
5 動物実験責任者は、動物実験が終了した場合又は実験を中止した場合には、その旨を学長に届け出なければならない。
(実験操作)
第6条 動物実験実施者は、動物実験等の実施に当たって、法及び指針等に則するとともに、特に次の事項を遵守しなければならない。
(1) 適切に維持管理された施設等において動物実験等を行うこと。
(2) 動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項を遵守すること。
ア 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用
イ 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
ウ 適切な術後管理
エ 適切な安楽死の選択
(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験をいう。)については、関係法令等及び本学における関連する規程等に従うこと。
(4) 物理的、化学的に危険な材料又は病原体等を扱う動物実験等について、人及び実験動物の安全のための適切な施設や設備を確保すること。
(5) 実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること。
(6) 侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては、経験等を有する者の指導下で行うこと。
2 動物実験責任者は、動物実験計画を実施した後、所定の様式により、使用動物数、計画からの変更の有無、成果等について学長に報告しなければならない。
第5章 施設等
(飼養保管施設の設置)
第7条 飼養保管施設を設置(変更を含む。)する場合は、管理者が所定の飼養保管施設設置承認申請書を提出し、学長の承認を得るものとする。
2 学長は、申請された飼養保管施設を委員会に調査させ、その助言により承認又は不承認を決定する。
3 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は学長の承認を得た飼養保管施設でなければ、実験動物の飼養又は保管若しくは動物実験等を行うことができない。
(飼養保管施設の要件)
第8条 飼養保管施設は、次に掲げる要件を満たさなければならない。
(1) 適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等であること。
(2) 実験動物の種類、飼養又は保管する数等に応じた飼育設備を有すること。
(3) 床や内壁などの清掃及び消毒等が容易な構造で、器材の洗浄及び消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(6) 実験動物管理者を配置すること。
(実験室の設置)
第9条 飼養保管施設以外において、実験室を設置(変更を含む。)する場合は、管理者が所定の実験室設置承認申請書を提出し、学長の承認を得るものとする。
2 学長は、申請された実験室を委員会に調査させ、その助言により承認又は不承認を決定する。
3 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、学長の承認を得た実験室でなければ、当該実験室での動物実験等(24時間以内の一時的保管を含む。)を行うことができない。
(実験室の要件)
第10条 実験室は、次に掲げる要件を満たさなければならない。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物又は血液等による汚染に対して清掃及び消毒が容易な構造であること。
(3) 常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(施設等の維持管理及び改善)
第11条 管理者は、実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めなければならない。
2 管理者は、実験動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。
(施設等の廃止)
第12条 管理者は、施設等を廃止する場合は、所定の施設等廃止届を学長に提出しなければならない。
2 前項の場合において管理者は、必要に応じて、動物実験責任者と協力し、飼養又は保管中の実験動物を他の飼養保管施設に譲り渡すよう努めなければならない。
第6章 実験動物の飼養及び保管
(標準操作手順の作成と周知)
第13条 管理者及び実験動物管理者は、飼養保管の標準操作手順を定め、動物実験実施者及び飼養者に周知し、遵守させなければならない。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第14条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めなければならない。
(実験動物の導入)
第15条 実験動物管理者は、実験動物の導入に当たり、関係法令及び指針等に基づき適正に管理されている機関から導入しなければならない。
2 実験動物管理者は、実験動物の導入に当たって、適切な検疫、隔離飼育等を行わなければならない。
3 実験動物管理者は、実験動物の飼養環境への順化・順応を図るための必要な措置を講じなければならない。
(給餌・給水)
第16条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行わなければならない。
(健康管理)
第17条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害及び疾病を予防するため、実験動物に必要な健康管理を行わなければならない。
2 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害及び疾病にかかった場合、実験動物に適切な治療等を行わなければならない。また、実験動物が著しく不適切な状態に陥ったときは、実験の中止等の措置をとらなければならない。
(異種又は複数動物の飼育)
第18条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養又は保管する場合、その組み合わせを考慮した収容を行わなければならない。
(記録の保存及び報告)
第19条 管理者等は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備し、5年間保存しなければならない。
2 管理者は、年度ごとに飼養又は保管した実験動物の種類及び数等について、学長に報告しなければならない。
(譲渡の際の情報提供)
第20条 管理者等は、実験動物を譲渡するときは、譲渡を受ける者に対し、当該実験動物の特性、飼養、保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供しなければならない。
(輸送)
第21条 管理者等は、実験動物の輸送に当たり、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保並びに人への危害防止に努めなければならない。
第7章 安全管理
(危害防止)
第22条 管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定めなければならない。
2 管理者は、人に危害を加える等のおそれのある実験動物が施設等外に逸走した場合には、速やかに関係機関へ連絡しなければならない。
3 管理者は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に対する実験動物由来の感染症及び実験動物による咬傷並びにアレルギー等の予防及び発生時の必要な措置を講じなければならない。
4 管理者は、毒へび等の有毒動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生の防止のため、飼養保管基準に基づき必要な事項を別途定めなければならない。
5 管理者等は、人に危害を加える等のおそれがある実験動物について、名札、脚環マイクロチップ等の識別装置を技術的に可能な範囲で装着するように努めなければならない。
6 管理者等は、実験動物の飼養及び動物実験等の実施に関係のない者が実験動物に接触しないよう、必要な措置を講じなければならない。
(緊急時の対応)
第23条 管理者は、地震、火災等の緊急時にとるべき措置の計画をあらかじめ作成し、関係者に対して周知を図らなければならない。
2 管理者等は、緊急事態が発生したときは、実験動物の保護、実験動物の逸走による危害防止に努めなければならない。
(人と動物の共通感染症の対応)
第24条 実験動物管理者、実験実施者及び飼養者は、人と動物の共通感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努めなければならない。
2 管理者、実験動物管理者及び実験実施者は、人と動物の共通感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう、公衆衛生機関等との連絡体制の整備に努めなければならない。
第8章 教育訓練
(教育訓練)
第25条 学長は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に対する教育訓練を委員会の協力のもとに行うものとする。
2 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、以下の事項に関する所定の教育訓練を受けなければならない。
(1) 関連法令、指針等、本学の定める規程等
(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項
(3) 実験動物の飼養又は保管に関する基本的事項
(4) 安全確保、安全管理に関する事項
(5) 人獣共通感染症に関する事項
(6) その他、適切な動物実験等の実施に関する事項
3 学長は、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名の記録を5年間保存しなければならない。
第9章 自己点検・評価・検証
(自己点検・評価・検証)
第26条 学長は、委員会に、指針等への適合性に関し、自己点検・評価を行わせる。
2 委員会は、前項に基づき動物実験等の実施状況等について自己点検・評価を行い、その結果を学長に報告しなければならない。
3 委員会は、管理者、動物実験実施者、動物実験責任者、実験動物管理者及び飼養者等に、自己点検・評価のための資料を提出させることができる。
4 学長は、自己点検・評価の結果について、学外の者による検証を受けるよう努めるものとする。
第10章 情報公開
(情報公開)
第27条 学長は、本学における動物実験等に関する情報(この規則、実験動物の飼養又は保管の状況、自己点検・評価及び外部検証の結果並びに委員会の構成等)を毎年1回程度公表するものとする。
第11章 懲戒
(懲戒)
第28条 学長は、法令等及び本規則に違反した者に対し、国立大学法人宮崎大学職員就業規則、国立大学法人有期契約職員就業規則、国立大学法人宮崎大学非常勤職員就業規則、国立大学法人宮崎大学再雇用職員就業規則及び宮崎大学学務規則に基づき懲戒処分などの措置を講ずることができる。
第12章 補則
(準用)
第29条 第2条第5号に定める実験動物以外の動物を使用する動物実験等については、飼養保管基準の趣旨に沿って行うよう努めなければならない。
(雑則)
第30条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、学長が別に定める。
附則
1 この規則は、平成19年2月22日から施行する。
2 この規則の施行の際現に宮崎大学動物実験指針に基づき承認した動物実験計画は、この規則第5条の規定に基づき学長が承認したものとみなす。
附則
この規則は、平成23年7月27日から施行する。
附則
この規則は、平成24年4月1日から施行する。
附則
この規則は、平成28年4月1日から施行する。
附則
この規則は、令和2年4月27日から施行する。
附則
この規則は、令和4年5月26日から施行する。
附則
この規則は、令和4年10月1日から施行する。
附則
この規則は、令和6年4月1日から施行する。
附則
この規程は、令和7年4月1日から施行する。