2025.03.30 掲載
令和7年(2025年)3月20日~23日に開催された第136回日本森林学会大会(北海道大学)において、宮崎大学農学部森林緑地環境科学科4年生の稲葉 光飛さんが「学生ポスター賞」を受賞しました。
日本森林学会学生ポスター賞は、学生会員の研究の奨励を目的として、日本森林学会大会で優れたポスター発表を行った学生会員に授与されるものです。
【研究の概要】
この研究は、スギの「エリートツリー」など、様々な優良系統(品種)の樹形と光合成生産の体制を明らかにしたものです。
「エリートツリー」とは、1950年代から続く日本の国家事業「林木育種事業」で作られてきた優良系統(精英樹)のうち、さらに優れた形質をもつ第二世代以降の系統のことで、これからの日本の森林を担う遺伝子資源として大きな期待が寄せられています。しかし、これらの系統がなぜ優れているのかという理由は、今まで十分に明らかにされていませんでした。
稲葉さんは、スギ精英樹がなぜ優れているのかを明らかにするために、18種類の系統の枝のサイズや着き方を詳細に調べ、樹形の特徴を数学的に表現することに成功しました。その結果、同じスギ精英樹の中でも、水平的な空間拡大を優先するタイプや、高さの獲得を優先するタイプがあることを明らかにしました。このような系統ごとの性格の違い、つまり一つの樹種の中での遺伝的多様性は、日本の人工林を多様にしていくだけでなく、樹木の生きざまを解き明かすうえでも大変有用な情報になります。
調査チームと樹形のタイプ
【稲葉さんのコメント】
この度は栄えある賞をいただき、ありがとうございます。この賞は、研究にご協力いただいた皆様あってこその賞だと思っております。また、大学院に進学する私にとって、大きな自信となりました。これからも一層努力し、さらなる成果を上げていきたいです。
稲葉さんは大学院に進学して、この研究を継続されるそうです。今後の研究のさらなる発展が期待されます。