土呂久鉱山が1962年に閉山したとき、最後まで硫ヒ鉄鉱などの鉱石を採掘していたのが大切坑です。閉山後も大切坑から排出される坑内水は、豊水期に毎分15-20トン、渇水期でも毎分数トンと大量で、その水には環境基準(1993年以前0.05ppm、現在0.01ppm)を超えるヒ素がふくまれていました。
高千穂町は2006年度から大切坑の環境改善事業を実施し、坑口から535メートル地点までの工事を終えた2019年度に、下流のかんがい用水取水口でヒ素濃度が農業用水の基準(0.05ppm)を下回ったことを確認して整備工事を完了しました。
その後は、土呂久を教材にして環境教育を学ぶ生徒や学生に、町建設課の職員が案内役になって大切坑見学をおこなっています。かつては宮崎県内に多数あった坑道のうち、現在、見学できるのは土呂久鉱山の大切坑だけ。鉱物資源を得るために鉱山労働者がどれほど苦労したかをしのぶことができます。
求めに応じて、土呂久歴史民俗資料室の川原(客員教授)が生徒・学生らの土呂久研修に同行しています。
2024年10月17日に宮崎国際大学の「土呂久に集まれ!プロジェクト」の学生たちと、市民・ジャーナリスト合わせて10人が大切坑見学をしたときの写真を紹介します。
(入坑前に高千穂町の職員から環境整備事業の説明を受ける)
(坑内には鉱石を探して掘った横穴が残っている)
(30メートル上の通気坑まで掘りぬいた竪坑を見上げる)
(110メートル地下の水脈から今も水が噴き出している)
(土呂久鉱山は水の多いことで有名だ。坑道の壁面から絶え間なく水が湧き出している)
(坑口から535メートルで整備工事は完了した。奥には未調査の坑道があり、そこからどんどん水が流れてくる)
(光の届かない坑道にコウモリがすみついていた)
(約40分の見学を終えて、案内してくれた高千穂町職員に質問する学生たち。「ありがとうございました」とお礼を述べて大切坑見学は終わった)