医療人材育成

総合診療医

2018年に「総合診療医」という新しい専門医が誕生。

地域の方々のあらゆる健康問題に対応するため、
地域や場所によって多様な働き方をしています。

大病院で幅広い病気に対応
自治体と連携して健康増進活動
自宅や高齢者住宅に出向いて在宅医療
町の診療所であらゆる年齢層の患者さんを診療

“どんな患者さんの力にもなりたい”という思いをもって、地域のさまざまな専門医や医療・保健・福祉の専門職と連携し、その方にとって良い医療サービスを一緒に考えてくれる医師たちです。

宮崎大学ではこれからの“地域医療”を支える人材を育てています。

総合診療医

医療人材育成

地域包括ケアの要となりうる総合診療医。超高齢社会の日本、特に人口減少していく地方においては、その育成が急務です。

都農町および都農町国民健康保険病院をフィールドとして、宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座とともに、総合診療医育成の教育パイプラインを形成しています。

寄附講座では、医学生の実習受け入れを強化してきました。卒後教育でも宮崎県内臨床研修病院初期研修医の地域医療研修を年の半分以上受け入れており、都農町には地域医療の枠で希望する初期研修医がやってきます。

医療実習・研修医受け入れ人数

医療実習・研修医受け入れ人数

LIC
(長期滞在型地域医療実習)

本講座の最大の特徴であり、開設と同時に開始した長期滞在型地域医療実習(Longitudinal Integrated Clerkship: LIC)は、国内2番目の設置後5年間で13名の修了生を輩出しました。12週間の実習期間と都農町内に滞在して行う参加型臨床実習です。病院内での実習のほか、町内の各所での院外実習も合わせたものになっています。その選抜から実習準備、期間中のサポート、指導を本講座で支援しています。

担当患者への関わりを深める取り組みを進め、入院患者や在宅医療患者に積極的に関わっています。特に終末期の患者との関わりでは、患者本人や家族の協力を得て患者宅または施設に泊まって観察する「お泊り実習」を行うこともあります。学生にとって心動かされる体験のできる実習となっています。

このような取り組みの結果、令和7年度にはLIC出身者が総合診療科医師として都農町国保病院に戻ってくることになり、教育パイプラインの成功事例が出始めています。

医療実習の様子

LIC実習目標と担当業務内容

  1〜4週目 5〜8週目 9〜12週目
目標 学生卒業
レベル
初期研修医
1年目レベル
初期研修医
2年目レベル
外来 問診・診察力の向上 治療方法の検討 方針決定ができる
救急 診察・初期対応 検査・方針の検討 方針決定・入院適応判断
病棟 看護業務・リハビリの経験 病棟診療の初期対応
在宅 訪問看護・診療の同行 介護知識の学び 在宅緩和ケア
医療実習の様子

実習生インタビュー
アンケート

Y・Mさん

医学部医学科

令和6年度6年生

Q.都農町に来て感じたことは?

都農町で生活するのはもちろん初めてで最初はとても不安でした。しかし、町内で生活し、診療や地域活動で住民の皆さんとふれあう中で少しずつ不安が解け、都農町の自然の豊かさや人の温かさを感じるようになりました。

Q.都農町で印象に残ったことは?

地域の活動で特に印象に残っているのは、交流サロン「スズキハウス」でたくさんの方とお話しできたことです。多世代が集まる本当に楽しい空間で心も体も安らぎました。

Q.都農の皆さんへのメッセージ

私は大学に戻りますが、いつか都農町に戻った時に貢献出来るよう、腕を磨いていきたいと思います。病院での外来実習や採血実習にご協力いただき、本当にありがとうございました。都農町は私の第二の故郷です。また帰ってきた際には温かく迎えていただけると嬉しいです。

Y・Nさん

医学部医学科

令和5年度6年生

Q.都農町の実習で学んだこと。

コロナ禍で見学ばかりの実習が多かった中、都農町国保病院での実習では、採血などの手技や問診の他、スタッフとしてディスカッションにも参加できて、とても勉強になりました。また、入院から退院まで長期にわたって地域医療をみることで、患者さんの意向と医療者の意見をすり合わせながら医療を提供していることを学びました。

Q.都農町の実習で印象的だったこと。

医療者として初めてお看取りに同伴させていただいた時の身の引き締まる思いは忘れません。また、訪問診療やスズキハウスでの交流では、町民の方々の普段の暮らしを知ることができ、地域の人が求める医師像を聞かせていただきました。

Q.どのような医師になりたいですか?

患者さんとの距離が近い、気軽にお話しできるようなドクターになりたいです。

LIC実習生アンケート

LIC学生が感じた「地域医療」とは

訪問診療を通じ、想像以上に患者さんの家庭や人生に 関わる機会が多いのだということを知りました。医師 として疾患に取り組むことに加え、家族などと対峙す る時間もイメージより多く、人生に関わるというやり がいや面白みがありそうだと思いました。

地域学部の学生が感じた 健康まちづくりへの感想

  • 地域全体をみることの大切さ
  • 地域包括ケアの安心感によって、 病気だけでなく日々のストレスの 軽減に繋がっている
  • 実際に病気などを患っている患者 さんだけでなく、その家族や周囲 の人のケアもしっかり行なってい ることが印象的
  • 総合診療、在宅、地域医療などで 人材が集い・交流する点にとても 興味を持った