お知らせ

SFTS最多発地域・宮崎からのウイルス遺伝子情報発信へ  ~岡林教授らの共同研究成果が 国際学術誌 「 Parasites & Vectors 」 に掲載されました。~

SFTS最多発地域・宮崎からのウイルス遺伝子情報発信へ 
~SFTSウイルスの大規模ゲノム解析により地域特性を解明~
 


概要
宮崎大学と宮崎県衛生環境研究所の共同研究グループは、宮崎県内の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
患者由来ウイルスについて国内最大規模の全ゲノム解析を実施し、県内には複数のウイルス系統が存在し、
それぞれが 県北部、県央部、県南部に特徴的に分布していることを明らかにしました。さらに、本研究では,
新規サブジェノタイプとなる「J4」型の存在を発見しました。本成果はSFTS流行地における継続的なサーベイ
ランスと行政・大学連携の重要性を示すものです。2026年9月30日付で、国際学術誌「Parasites & Vectors」
にオンライン掲載されました。 

研究のポイント
●宮崎県内のSFTS患者由来検体を用いて、国内最大規模となるSFTSウイルス全ゲノム解析を実施。
● 宮崎県内には少なくとも4つの異なるSFTSウイルス系統が存在し、それぞれが県内の異なる地域に分布して
いることを明らかにした。 
● 新たな遺伝子系統「J4」を発見した。 
● 日本のSFTSウイルスでは初めて、遺伝子再集合(reassortment)および遺伝子組換え(recombination)
の可能性を確認した。 
●ウイルスの遺伝情報から感染地域を推定できる可能性を示した。 
●宮崎でのSFTS発生は、農業従事者、ネコ・イヌとの接触歴が多いことを確認 

研究の背景
SFTSはマダニによって媒介されるウイルス感染症であり、高い致死率を示す人獣共通感染症です。日本
では2013年に初めて患者が確認されて以降、九州を中心に患者発生が続いています。なかでも宮崎県は
全国で最も多くの患者が報告されている地域の一つであり、2023年末までに107例、30例の死亡例が確認
されています。 一方で、これまで日本国内ではSFTSウイルスの地域レベルでの詳細な遺伝子解析は十分
行われておらず、宮崎県内でどのようなウイルスが流行しているのか、その実態は明らかになっていませ
んでした。 

研究の内容
本研究では、宮崎県衛生環境研究所が2012年から2023年までに収集したSFTS患者由来検体を用い
てウイルスの全ゲノム解析を実施しました。解析には次世代シーケンサーIllumina iSeq 100 と
Oxford Nanopore MinION/GridION を活用し、患者検体から直接ウイルス全ゲノムを決定しました。
その結果、J1、J3に加えて、J4(新規系統)及び未分類系統の4系統が宮崎県内に存在することが判明
しました。さらに興味深いことに、J1は主に県央地域、J3は県南地域 、 J4は県北地域に多く分布して
おり、ウイルス系統ごとに地域性が存在することが示されました(図1)。 
また、本研究では宮崎県内(県外感染疑い含む)のSFTS患者110例について疫学情報を解析した結果、
患者の多くが農業従事者であり、動物との接触との関連性も認められました。また、接触した動物と
してはネコおよびイヌが最も多く、次いでウシやシカが挙げられました(図2)。 

本研究の意義
宮崎県は日本有数のSFTS多発地域であり、本研究は県内で蓄積された患者情報と検体、そして宮崎県
衛生環境研究所による長年の感染症サーベイランス体制があって初めて実現した研究です。また、本
研究は大学単独ではなく、宮崎県衛生環境研究所による公衆衛生データ・検体の蓄積」と「宮崎大学
によるウイルス学・分子疫学解析技術」が連携することで実現しました。このような地域行政機関と
大学の連携によって得られた成果は、地方発の感染症研究モデルとして全国的にも意義が大きいと考
えられます。さらに、SFTSウイルスの遺伝子解析から感染地域を推定できる可能性が示されたことで、
「感染源調査」「マダニ対策地域の選定」「伴侶動物、野生動物情報に基づく感染症リスク評価」へ
の応用が期待されます。また、患者の多くが動物接触歴があり、接触動物としてネコとイヌが多く認
められたことは、人の健康だけでなく、動物の健康や環境要因を含めて感染症対策を考える「One Health」
の重要性を示す結果といえます。 

社会的インパクト
今回の成果により、SFTSウイルスの遺伝子情報から感染地域を推定できる可能性が示されました。
今後、感染源調査、マダニ対策、野生動物を含むOne Healthアプローチ、感染症リスク評価などへ
の活用が期待されます。 

論文情報
掲載誌:Parasites & Vectors, (2026) 19:399  
https://doi.org/10.1186/s13071-026-07523-w 
論文名:Geographic variability of severe fever with thrombocytopenia syndrome virus 
genomes in Miyazaki Prefecture, Japan 
著者:成田翼(宮崎県衛生環境研究所)、 
岡林環樹(宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター)他

SFTS図・グラフ.jpg

上記内容は、宮崎大学ホームページ プレスリリース(報道発表)にも掲載されております。


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