のうがく図鑑

第59巻

タンパク質の魅力に迫る

応用生物科学科
榊原 陽一 教授

 皆さんはタンパク質と聞いて何を想像しますか?私たちの日常生活においては栄養素としての「タンパク質」やアスリートが摂取する「プロテイン」という言葉をよく耳にすると思います。
 私たちは、大学でこのタンパク質が色々な生物のなかでどんな働きをしているのか、それを詳しく探り、人類に役立てる研究をしています。

 タンパク質の中では、「酵素」というタンパク質を聞いたことがあると思います。酵素とは、少し難しい言葉では「生体触媒」という言葉で説明できます。生きた生物の体の中で色々な代謝に関わる化学反応を触媒する物質と言うことです。身近なところにも利用されていて、酵素入り洗剤など開発されています。私たちは硫酸転移酵素という酵素の研究をしていますが、「のうがく図鑑」の中の「体の中で化学反応?」黒木勝久先生のところで詳しく書かれているのでここでは省略します。私たちは、ヒトやマウスなど哺乳動物だけでなく、ゼブラフィッシュやシロイヌナズナなど種々のモデル生物も研究対象にしています(図1)。

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図1.研究で使用しているモデル生物のデータ画像
(A)シロイヌナズナ、(B)ゼブラフィッシュ

 タンパク質を知るためには、タンパク質の形を知ることも必要です。私たちは、九州大学のグループとの共同研究を通じて、タンパク質の立体構造に関する研究にも取り組んでいます(図2)。

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図2.Tyrosylprotein Sulfotransferaseの立体構造(Nat Commun. 2013; 4: 1572.より)

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図3.タンパク質の解析に使う質量分析装置

 このような、タンパク質を扱う研究が時代とともに変わってきました。一昔前は何年も、何十年もかけて一つのタンパク質や酵素を扱う研究スタイルがとられていました。研究人生を通じて一つのタンパク質の研究が行われていたのです。その後、一つでなくよりたくさんのタンパク質を同時に扱う技術が開発されて、現在では数千から数万の種類のタンパク質を同時に解析することが可能になりました。そのような流れの中で、「プロテイン」という言葉から「プロテオーム」という新しい言葉、概念が生まれてきたのです。プロテオームとは全てのタンパク質をひとまとめにしたもの(総体)を示す造語です。私たちは、このプロテオームを解析対象とした研究にも取り組んでいます。ここでは、日本人でノーベル賞を受賞した田中耕一先生の開発された技術が使われた質量分析装置(図3)が活躍しています。最新技術を活用したタンパク質の研究が、食糧問題解決、病気の予防・診断、新薬の開発など、人類の明るい未来につながる研究へと展開していくことが期待されます。魅力あるタンパク質の研究を私たちと一緒にしませんか?


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