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村瀬敦宣准教授らの研究チームが宮崎県の在来の淡水魚類相についての調査結果を発表しました

宮崎大学延岡フィールドの村瀬敦宣准教授らの研究チームが、2015年から2023年の8年間にわたって県内全域において行ってきた在来の淡水魚類相の調査結果をまとめた論文を発表しました。論文は日本生物地理学会が刊行する日本生物地理学会会報の第78巻に掲載されています。

宮崎県は日本列島の淡水魚類相の中でも多様性が低いと考えられますが、オオヨドシマドジョウのような宮崎県に生息が限定される固有種や、県内では絶滅したと考えられているアカザなどの希少な淡水魚の存在が知られている地域です。また、県内全域の魚類相について明らかにされたことはなく、陸水域の保全を行う上で必要となる基盤情報が、多くの水域で存在していない状態でした。

本研究は、宮崎県全体の陸水域の魚類相を、県内15水系および1水域において魚類の採集調査を行って明らかにしたものです。結果として、15種の魚類が記録され、概ね過去の文献情報をまとめた際の数値と変わらない多様性が示されました。その一方で、アリアケギバチやシマドジョウ属など、分布域が限定され、なおかつ絶滅の危険性が高い魚種の存在と保全の必要性が強調されることとなりました。こちらの論文では、研究の証拠となる調査中に採集された全魚類標本の所在のほか、全種のカラー写真についても閲覧していただくことができます。

村瀬准教授は、「今回の論文が、宮崎県の淡水魚の全体像について知っていただくための基礎的知見になると同時に、陸域環境の改善のきっかけの基盤の一つとなれば幸いです」と話していました。

論文タイトル:宮崎県の淡水産在来魚類相に関する基礎的知見
著者:齊木悠亮・緒方悠輝也・小原直人・栗原 巧・斉藤洪成・井原高志・石松将武・齋藤 剛・村瀬敦宣
掲載誌:日本生物地理学会会報 78: 67-77
https://www.researchgate.net/publication/377442101_Preliminary_study_of_the_native_freshwater_fish_fauna_of_Miyazaki_Prefecture_Kyushu_southern_Japan_gongqixiannodanshuichanzailaiyuleixiangniguansurujichudezhijian#fullTextFileContent

宮崎県アリアケギバチ_DSC_9598.JPG▲宮崎県産アリアケギバチ。九州に固有のナマズ類。宮崎県での生息域は極めて限定的かつ河川改修の影響を受けやすく、絶滅が危ぶまれる。本種の存続のためには、転石や抽水植物の混じる水質の良好な清流を保全することが必要。緒方悠輝也氏(宮崎大学大学院農学工学総合研究科博士課程)撮影。


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