応用生物科学科は18名の教員により構成されています。
さらに、教育研究領域として下記の5領域があり教育・研究活動を行っています。
ゲノム上の遺伝情報は、最終的にタンパク質として発現します。タンパク質は生命活動を担うとても興味深い分子で、その研究は生命を知ることになります。私たちは、タンパク質や酵素に関する新しい分析技術開発やそれらを利用した食品機能の評価を実施しています。それにより、タンパク質やペプチドの機能を活用して機能性食品として活用するなど、人類の健康と福祉に貢献することも考えています。
私たちの体の調子を整えている「代謝」と呼ばれる反応は、分かっていないことがたくさんあります。私は、ステロイドなどの生理活性物質の代謝とそれをコントロールしている酵素に着目して研究をしています。代謝されることで生理活性物質の機能が大きく変化するところが面白い生命現象です。
食べることは生きるために必要なことです。しかし、食べることによって病気が発症してしまったらどうしたらいいのでしょうか。なぜ、病気が発症するのか?病気になったら、どうやって治したらいいのか?なぜ?どうやって?の疑問を解決するために研究を行っています。特に糖尿病、肥満、アレルギーについて研究をしています。
【老化細胞とは】
老化細胞は不可逆的に細胞周期を停止するので、自身のがん化を抑制できます。一方で、代謝的に高い活性を維持して多種類且つ大量の可溶性因子を産生しています。これを細胞老化随伴分泌現象(SASP)と呼びますが、これによって周辺細胞のがん化を促進し、健全な細胞を機能不全に陥らせて老化関連疾患を引き起こすことが知られています。老化細胞はアポトーシスを起こしにくく体内に残存するのでゾンビ細胞とも呼ばれ、中高年にとっては実に厄介な存在です。
【自然免疫による老化細胞の除去】
老化細胞の除去にはナチュラルキラー(NK)細胞をはじめ免疫系も貢献しています。当研究室では、金柑に含まれるβ-クリプトキサンチン(BCX)にNK賦活効果のあることをin vivo試験、in vitro試験で見出してきました。こうした食品由来のNK細胞賦活成分による老化細胞の除去と健康寿命の延伸を目指して研究を推進しています。
微生物を地球上にありえない環境に遭遇させることを特異状態に置くといいます。特異状態からはこれまで誰も知り得なかった現象を見出すことができます。そこからのものづくりは未来を豊かにすると確信しています。
食品分野での発酵は「醸造」とよばれ、日本には古くから数多くの醸造食品があります。醸造に用いられる麹や酵母、細菌も多種多様で、その能力には未知のものがまだ多く残っています。また、微生物の発酵は食品のみに留まらず、現代では燃料や化学製品の原料など様々な用途に使用されています。研究室では、そのような発酵を行う微生物の未知の能力を調べたり、より優れた発酵能力を持つものへと改良するなど、「発酵」を主軸とした研究に取り組んでいます。
まだまだ未知の力が眠っている小さな生き物、微生物について研究を行っており、その特有の能力の探索からしくみの解明、利用方法の開発まで広く研究しています。
高齢化が進む中、果物に含まれる機能性成分が注目されています。染色体や遺伝子を解析しながら、機能性が高い果物の育成やその育種手法の研究を行っています。
花の品種改良をより効率的に進めるために、花の大きさの制御や種子形成など植物が持つ基本的な仕組みを理解することから、植物が持つ潜在能力をうまく引き出す方法の開発まで幅広く研究しています。
植物と微生物の共生窒素固定能を活用した環境にやさしい環境保全型農業の開発を目指して、主にダイズ根粒菌のゲノム多型を元にした生態研究を行っています。目に見えない微生物が地球の物質循環や環境保全にとても重要な役割を担っていることを目の当たりにして興味が尽きません。
植物は、大地に根を下ろしたその場所で生きていかなければなりません。そのために様々な環境に適応する能力を持ち合わせています。その能力を詳細に解明して地球環境問題の解消につなげたいと考えています。現在は植物の環境ストレス応答、特に塩ストレスに関する研究を行っています。世界で拡大している沙漠化の人為的要因の1つに、乾燥地帯での灌漑農業由来の土壌の塩類集積化があります。このような環境下で植物は塩類、特にNaによるストレスを受けることになります。植物の持つ耐塩性(塩ストレスに強い)のメカニズムを解明することは、沙漠化の防止に寄与すると考えられます。
私たちが生きていくうえで欠かすことのできない食事ですが、その内容によっては様々な病気の原因となることも、予防や改善に繋がることもあります。動物実験を中心とした研究を通して、食品成分による人々の健康寿命延伸を目指します。
日々の食事と私たちの健康の関係に注目した研究を進めています。特に、地域の食材の持つ健康機能性にも注目をしており、科学的根拠のしっかりした素材を世に送り出すことを目標としています。
人は情報の約80%を目から得ると言われるほど、視機能は私たちの生活水準を大きく左右します。そこで、目に良い食べ物や、逆に目に悪い環境要因を調べて、世の中の人が目で困らない社会を目指し、研究しています。
食品衛生・免疫学研究室
水生食資源動物たちが持つユニークなメカニズムを解明し、先端的なマリンバイオテクノロジー技術を駆使して魚が健康で病気にならないための研究を行っています。最近では、細菌感染に対する自然免疫に重要な遺伝子をゲノム編集により、機能欠損させたメダカを用いて、腸管などの粘膜組織の生体防御システムを解明しています。
我々が普段口にしている「魚」、近年では資源の枯渇が問題視されており、増やし育てる養殖漁業による生産が増加しています。私は、養殖魚の健康を守るために、魚類の免疫システムを様々な側面から研究しています。特に近年は、「免疫応答の概日リズム」に着目した研究を進めており、一日の中でも時間帯によって免疫力が異なることを明らかにしました。将来的には、本知見を活かした効果的な疾病防除技術の開発を目指しています。
美味しくて安全な食品をつくる…食品が備えるべき基本的な性能ですが、これが意外と難しい。美味しさってどうやって決まるの?安全性はどうやれば確保できるの?こんな疑問に真剣に取り組んでいます。