ビジコン出場に始まり、司会やトークセッションへの登壇など、さまざまな角度からみやざきビジコンに関わってくれている河野さん。第3回 宮崎・学生ビジネスプランコンテストにて【WRU~学生向け新時代の名刺アプリ~】というビジネスプランで宮崎大学長賞および2つの協賛企業賞を受賞しました。コロナ禍でのマスク生活で人の見分けがつきにくい不便さから生まれたプラン。「人と人とをつなぐ手助けになるアプリを作りたい」との思いから発想に至りました。
ビジコンを通じての河野さんの変化や、”WRU”の今後についても伺いました。
1年生の頃の自分なら参加出来ていなかったかも

河野さんは3年次にビジコンに参加しました。応募のきっかけは、2年次に受講した講義がきっかけで、その後マーケティングについて学び、グループワークでは後のチームメイトとなる小林さんと出会ったそうです。学期末にグループワークの集大成として”WRU”の原型となるものを発表した際には、先生や周りからの評価も良く、手ごたえを感じたとのこと。小林さんの「これ、(ビジコンで)やるの?」との言葉が応募の決め手になったと語ってくれました。
一方で、1年前の河野さんなら「参加しようと思わなかったと思う」と本人談。大学入学当初は、思い通りの進学では無かったことから落ち込んだり、自信を失ったりしていたそう。そのせいか、何かに取り組みたい気持ちがあっても行動に起こせず泣いてしまうこともあったとか。そんな中、「大学ですべては決まらないよ」と言ってくれた先輩との出会いや「なんでもやってみなよ」と背中を押してくれる家族の存在もあり、行動に起こすことが出来るようになったそうです。
「怖いことこそやってみよう」のスタンスを手に入れた

ビジネスプランを発表することは飲み会で語るような将来の夢を、みんなの前で話している感じに近いと河野さんは言う。
「まだ世の中に無いもので自分が実現したいもの、自分もしくは誰かの”不”を解消するものを考えることは、そのまま自分の中身と繋がってしまうように強く感じる。ビジコンに出場すること自体が、友達から敬遠されそうで不安だったうえに、さらに自身をさらけ出す事は”とても怖いこと”だと思っていた。しかし、いざやってみると決勝に友人が応援に来てくれ、終わった後も涙を流しながらねぎらいの言葉をかけてくれた。ビジコンで新聞にも掲載されたが、友人たちの自分に接する態度は何一つ変わらず、安心した。」怖いと思うことこそやってみる価値がある、そんな考えが芽生えて新しいことに挑戦できる自分に変わっていったそう。
翌年のビジコンには、学生司会オーディションに見事合格し、プロのアナウンサーと一緒に堂々と司会進行を務めました。
印象に残っているものは「緊張感とスピード」

出場者としても、司会などの運営側としてもビジコンの印象はこの2つだそう。
決勝プレゼンは、どの立場でかかわっていても”緊張感”をひしひしと感じたとのこと。発表者も運営もそれだけこの瞬間に掛けていることを知っているから余計にそのように感じたそうです。舞台裏では緊張感からピリッとしている発表者たちも、出番が終われば打ち解けあい、同期の出場者とは、ビジコン終了後も一緒にイベントを実施したり、連絡を取り合ったりと良い戦友となっていると話してくれました。
”スピード”河野さんには、とても新鮮だったとのこと。時間は無くてもどうにか捻出して、少し粗削りでもよいので、決めて一気に動くことが大切だと学んだそうです。出場時も運営時も目まぐるしいぐらいのスピード感で進む物事の展開に「起業したら、こんな風なのかな?」と感じていたそうです。
”WRU”は休止するが、叶えたいことは変わらない

「チームメイトの小林くんも私も起業ではなく就職をします。これから作っていく未来の中に”WRU”を通じて叶えたかった事があります」。ビジ活奨励金を活用して、”WRU”のテストアプリを作るなどの活動を続けていたが、就活・就職を機に、将来について考えるようになり、”WRU”は一度休止しようということになったそうです。ビジコンで様々な経験や学びを得たからこそ、視野を広く複数の選択肢を比較しながら悩むことができたと言います。
”WRU”を通じてしたかったのは、人と人とをつなぐ手助け。今後、河野さんが叶えたいのは、場づくりを通して大人と子供が関わりつながれる場所を作ること。様々な場面で「人と人との関わり」の中で成長し支えられてきた経験があるからこそ、他者にもその良さを伝えたい。就職先にはベンチャー企業を選び、若いうちから経営に関わりながら、いち早く自分の思い描く未来の実現を目指すと言います。
「世界はもっと広いんだよ!」

ビジコンに挑戦することを悩んでいる学生に伝えたいことを聞くと、こう答えてくれました。
河野さんの周りには「1つの職業を目指すあまりに、他の事に興味がない友人」もいてもったいなく感じるそうです。これからの社会はどんどん変わっていくし、なにか一つで物事を図れることも少なくなっていくので、自分の中に選択肢を増やして視野を広く持ってほしい、そのためにビジコンを活用することも選択肢の一つと語ってくれました。
編集後記
河野さんが話してくれたビジコンで印象に残っているエピソードの中に「出場した年の打上げで、スタッフさんから『結果が発表された時、悔しそうな表情をしてたね』と言われて驚いた」というものがありました。当初は、悔しい気持ちを自覚しておらず、賞がもらえただけでも嬉しいはずなのに何故だろうと不思議に感じていたそうですが、時間が経ってやっと少しずつ悔しさを感じたそうです。普段、穏やかな印象を受ける河野さんのエピソードに筆者も驚きました。当時の映像を見直してみようと思います。