卒業生からのメッセージ
2015年度卒業生
溝口 拓朗 氏 ⓒWWFジャパン
カカオ生産現場 ⓒWWFジャパン
持続可能なカカオ生産を目指して ⓒWWFジャパン
高校生の頃の私は、特別に大きな夢があったわけではなく、「自然や生き物が好き」という素朴な気持ちから進路を考えていました。森林や動物のドキュメンタリーを見ることが好きで、「自然のことをもっと知りたい」という思いが徐々に膨らみ、宮崎大学農学部森林緑地環境科学科(現:宮崎大学農学部農学科森林環境持続性科学コース)に進学することを決めました。入学後は、実際に森に入り、土に触れ、植物や生態系を間近で観察するフィールドワークが多く、好きだった"自然"が、少しずつ"学びたい対象"へと変わっていき、今のキャリアへとつながる大きな一歩になりました。
仕事内容
現在私は、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の森林グループに所属し、西アフリカに位置するガーナ共和国で行われている持続可能なカカオ生産のプロジェクトを担当しています。カカオ農園拡大に伴う森林減少が問題になっている地域で、アグロフォレストリーの導入支援や土地利用のモニタリングなどを通して、自然環境と人の暮らしを両立させるための取り組みを進めています。
やりがい
WWFジャパンの仕事で私がやりがいを感じているのは、世界の森林や環境分野で議論されている最新の知見に触れながら、自分の専門性を活かしてプロジェクトを支えられることです。ガーナの持続可能なカカオ生産に関する取り組みでは、現地チームや研究者とやり取りする中で、関係者から得られる知識や経験を活かしながら、大学で学んだフィールド調査や文献調査から仮説を構築し検証するといったスキルを実務に応用する機会が多くあります。特に、世界の潮流と日々の業務がつながる感覚があるところに、この仕事ならではのやりがいを感じています。
学生時代に学んだことで仕事に活かせていること
森林環境持続性科学コースでは、森林生態学や測量・GIS、データ解析など、森を科学的に理解するための基礎をしっかり学びました。3年生から配属された研究室での、フィールド調査、指導教官や仲間と議論しながら研究を進める経験は、現場の課題を分析し、解決策を組み立てる今の仕事に直結しています。また、現場で起きていることを自分の目で確かめ、科学的データで裏付ける姿勢は、どんな企業・組織で働いていても必要な力だと感じています。
受験生のみなさんへ
森林科学は思っている以上に"将来の選択肢が広い"学問です。森や自然が好きな人はもちろん、気候変動、国際協力、地域づくり、企業のサステナビリティなど、多様な分野に道が開かれています。私自身、宮崎大学での学びがなければ、海外のフィールドで活動する今の自分はいませんでした。宮崎ならではの森の中で学ぶ日々は、きっとみなさんの将来の力になります。ぜひ、森林環境持続性科学コースで自然と向き合う学びを楽しんでください。
2026年3月
溝口 拓朗
在学中の研究室:造林学研究室
当学科を2016年3月に卒業し、2024年に博士の学位を取得
WWFジャパン公式サイトより溝口氏のスタッフブログ:https://www.wwf.or.jp/staffblog/author/747/
受験生のみなさんへ
光田コース長

レーザーによる森林の計測
サンショウウオ
森林環境持続性科学コースに興味を持っていただき、ありがとうございます。
このページにたどり着いたということは、森林やそこに棲む生物に興味があるということでしょうか?もしくは農林業に興味があるかもしれません。このコースでは、みなさんの興味を社会へとつなげる学びを提供します。
生物多様性条約や日本の国家生物多様性戦略では、2030年までに生物多様性の減少を止め、回復傾向へと導くこと(ネイチャーポジティブ)が目標とされています。これを受けて生物多様性を保護・回復しようとする様々な取り組みが始まっています。その中で生物多様性を正しく理解し、評価し、回復するための知識・技術をもった人材が必要とされています。実社会において、生物多様性の保護・回復と直接的に関わっているのが農林業です。我々の生活は農林業から得られる食糧や木材に大きく依存していますが、農林業は生物多様性に対してマイナスの影響を与えることが少なくありません。我々は生物多様性と農林業を対立的に捉えるのではなく、いかに調和させていくのかを大事にしています。
このコースではそのための知識・技術を提供します。例えば、コースで学ぶドローンを使って森林を計測する技術は、より効率的な木材生産のための森林情報と生き物の生息適地の両方を知るために必要です。今、社会ではこのような知識・技術をもって、現実の問題を解決できる人材を求めています。このコースで学び、それをネイチャーポジティブへ向けて社会で役立ててみませんか?具体的な就職先については、是非、コースのウェブページで確認してみてください。
ここまで、大学での学びとその後の進路について述べてきました。進学先を決める上で、それらが重要な情報であることは間違いありません。ただ、ここでもう一つ付け加えたいのが、大学で味わうフィールド体験の楽しさです。コースのカリキュラムでは様々な野外での実習があり、自然や農林業の現場にふれあう機会も多くあります。また、卒業研究ではなかなか入ることができない山奥でのフィールド調査も体験できます。普段の山登りやキャンプとは違ったディープな山歩きに興味はありませんか?大学ならでは体験を重視して、進学先を決めるというのもよいのではないでしょうか。
森林環境持続性科学コースのウェブページでは、どのようなカリキュラムになっているか、どのような就職先があるのか、そしてどのような研究が行われているのかが紹介されています。コースの空気を感じてみてください。大学の4年間を楽しめるかなと思ったみなさん、お待ちしております。
2025年12月
森林環境持続性科学コース コース長 光田 靖