コースの魅力

森・水・土と生きる

これからの私たちの生活はどうなるのでしょうか。気候変動・自然災害・水資源。私たちはこれらの課題に直面しています。私たちの今の生活の豊かさは、これからも維持できるのでしょうか、そして、次世代に引き継いでいけるのでしょうか。自然環境と調和した持続可能な社会の実現をめざして、森林環境持続性科学コースでは森・水・土、そして私たちの暮らしをキーワードとした学びと研究活動の場を提供しています。

森林環境持続性科学コースは、森林・農山村・都市域を、相互に作用し合う一つの連続した空間として捉え、人間活動と自然をつなぐ複合的で新しい学際領域です。その連続した空間における自然環境の保全と、安全で快適な生活環境の形成、および資源の持続的で高度な利活用を視野に入れ、自然の恩恵(機能)の解明と、それに基づく管理技術の確立を目指して教育・研究を行います。そして、自然と人間が調和した社会の実現に寄与できる人材の育成に取り組みます。

みどりの恩恵を科学する。

私たちが生活する場所やその周辺には、たくさんの「みどり」があります。私たちは、その「みどり」の恩恵によって安全で快適な生活を送ることができています。山奥の森林は豊かな自然と生態系を守り、木材と絶え間ない水を私達に提供してくれます。生活空間と隣接した森林(里山)は、薪や炭の材料となる細い枝や幹、干草の刈り場であり、また狩猟の獲物をはじめとする里山特有の生き物のすみかでもあります。人々の暮らしの中にある田畑は大切な食料の供給源であり、川沿いの緑地は川の水をきれいに保ち、公園や庭園のみどりは私たちの暮らしに癒しと快適さを与えてくれます。一方で健全なみどりは洪水や土砂災害を緩和し、暑さを和らげるはたらきもしてくれます。森林環境持続性科学コースは、みどりの恩恵について真摯に、科学的に探究していきます。

どんなことが学べるの?

さまざまな「みどり」を連続的に、多様な視点からとらえられるようになるために、多くの分野を融合させて森林環境持続性科学をつくりました。まずは地球上のさまざまな生態系と私たちが生きている社会との関係を読み解きましょう(「景観生態学」)。生物や環境を観察する手段や考え方も身につけます(「環境計測学」)。次に「森林」、そして森林の構成要素である「樹木」の生態を知りましょう(「森林生態学」、「樹木学」、「樹木学実習」)。生物学的・生態学的法則(自然界のルール)を理解できれば、そのルールから逸脱しない、持続可能な森林管理の探求にもつながります(「造林学」、「森林保護学」、「森林計画学」、「森林利用学」、「森林政策学」)。そして、森林資源や環境の価値を、私たちの社会の経済活動のなかに丁寧に位置付けましょう(「森林経済学」)。

森林は「水」や「土」を育みます。私たちはこれらの資源や基盤無しに生きていくことはできません。水や土の性質、そしてこれらの資源について理解していきましょう(「水理学」、「環境気象学」)。そうすると、水資源には限りがあること、土壌も消失することが分かり、持続的に利用するための「考え方」や具体的な手法が必要なことに思い至ります(「水資源管理学」、「土質力学))。水や土は時に災害となって私たちの生活を脅かしますが、それを防いだり軽減したりする方法は、生態系の理解と自然界のルールの解明の中にあることが分かります(「環境防災学」、「砂防学」、「環境空間情報学」)。

私達が「みどり」を利用し暮らしていくためには、自然の産物を高度に加工したり、時には自然そのものを大きく改変したりしなければなりません。木材の強さや耐久性を調べ、適切な用途を考えたり、人工構造物を用いるときに環境にやさしい材料を開発したり、人と自然との調和を意識し、地域社会へ展開できる技術を身につけます(「木本植物組織学」、「環境材料学演習」、「測量学」、「構造力学」)

森林環境持続性科学コースでは、このように人間がみどりの恩恵を受けつづけられるために必要な学問分野がそろったカリキュラムを準備しています。机上の講義だけでなく、さまざまな機器を使った実験や、豊富なフィールドでの実習をとおして、みどりを守り、活かし、持続的に用いる手法を学びます。

こんな人に向いています

  • 自然が好きで理科の基礎学力のある人
  • 森林緑地の環境の保全と修復、資源の利活用に関心を持っていてこれらの調和をはかるために活躍したいと思っている人
  • 豊かで美しい国土や農山村空間を創っていくことに意欲を持っている人

取得可能な資格

  • 高等学校教諭一種免許状(理科・農業)
  • 学芸員
  • 測量士補
  • 樹木医補 など

進路