教員紹介

教員と研究内容

サンゴ研究室

教授
深見 裕伸


主な研究テーマ

サンゴ研究室では、その名の通りサンゴについての生態から分類、さらにはサンゴの周辺に生息する無脊椎動物の研究まで幅広く扱います。研究方法もスキューバダイビングやスノーケリングで実際に海に潜る作業から実験室での形態観察および分子遺伝学的な解析まで手広く行います。当研究室では、可能な限り自分の扱う生物は実際に現場で見るということから始める方針です。 サンゴという言葉には、イシサンゴ、ソフトコーラル、宝石サンゴなどのグループが含まれますが、当研究室ではイシサンゴとソフトコーラルを主に扱います。両グループとも宮崎県周辺の海域に豊富に見ることができ、研究するにはすばらしいフィールドが多くあります。また、沖縄や喜界島、海外では台湾などでも研究を行っています。

  • イシサンゴ類の分類学的研究:分子系統解析や種の記載など
  • イシサンゴ類の生殖に関する研究:受精率や種間の交雑など
  • 地域ごとのイシサンゴ類の種多様性の調査:様々な場所におけるサンゴの種の分布や被度の調査
  • 他の刺胞動物の研究:クラゲの調査やソフトコーラルの研究など
  • サンゴと共生する生物の研究:サンゴに共生する共生藻やそのたの無脊椎動物の研究

海洋微生物学研究室

准教授
ウルバンチク ヘンリク


主な研究テーマ

私たちの研究室では、海洋性細菌の多様性と進化を探ることを目的として研究を行っています。特に海洋性細菌の進化と種分化における過程やメカニズムに興味を持っています。研究は、海洋動物と相互関係を持つビブリオ科の細菌に重点を置いています。動物と相互関係を持つビブリオ科細菌は、宿主に対して病原性を示すものから宿主に有益な作用をもたらす共生体など多様性に富んでいます。

沿岸生態学の研究室

准教授
村瀬 敦宣


主な研究テーマ

これまで私は沿岸性魚類の分類、行動、群集生態学に関する研究と、沿岸生態系に関する環境教育活動を行ってきました。宮崎県を中心とした九州東岸は南北に長く、河口干潟や砂浜海岸、岩礁と多様な自然環境を有しております。このような多様な沿岸環境を持つ宮崎県は沿岸性生物の多様性や生態について理解するための研究を行う絶好のフィールドです。本研究室では、魚類と宮崎県沿岸を中心に、沿岸環境と生物多様性の関係について研究を行うと同時に、それらの成果・情報を一般の方にも利活用していただけるような社会貢献活動および各種出版物の制作も行っております。

  • 九州東岸の沿岸性魚類相とその地理的相違の要因の解明
  • エスチャリー(海水と淡水の混ざる環境)に生息する魚類の日本列島における分布パターンと要因の解明
  • 砂浜海岸の形状による魚類にとっての成育場としての役割の違いの解明
  • 潟湖(淡水と海水が混ざる湖のような場所)の魚類成育場としての機能の解明
  • 沿岸の景観の連続性が魚類の多様性にもたらす意義の解明
  • 宮崎県の魚類図鑑、フィールドガイドブック、その他環境教育教材各種の制作と出版
  • 上記の出版物や制作物の環境教育教材としての効果の検証

行動・生態学研究室

助教
和田 葉子


主な研究内容

海岸に住む生物の行動や生態を調べています。生物は互いに関係しあいながら生活しています(種間相互作用)。捕食者や被食者が互いの存在によりその行動をどう変えるのか,数や分布をどう変えるのか。このように,生物の生態,数,分布の変異と規則性,背後にあるメカニズムを明らかにし,生物の多様性を理解しようとする”生態学”を学びながら,研究を進めています。

主な研究テーマ

  • 海岸に生息する生物の捕食―被食関係
  • 捕食者が被食者の繁殖特性に与える影響
  • 貝類が移動のたびに分泌する粘液を用いた捕食者vs被食者の情報戦
  • 貝類粘液が微細藻類,微生物群集に与える影響
  • 宮崎の海岸に生息する生物の行動・ 生態解明 など

魚類感染症学研究室

教授
吉田 照豊


主な研究内容

魚類感染症学研究室では、養殖魚類の細菌感染症に関わる以下の研究を行っています。特に、ブリ、カンパチ、ヒラメの細菌感染症の治療および予防(ワクチンの開発)の研究を行っています。

主な研究テーマ

  • 治療に関する研究
  • 予防(ワクチン開発)による細菌感染症の防除
  • 魚病細菌の病原因子の探索

水族分子免疫学研究室

教授
引間 順一


主な研究内容

水生生物における自然免疫機構の解明および感染症防除への応用に関する研究(専門分野:比較免疫学・魚病学・分子生物学)

主な研究テーマ

水生食資源動物たちが持つユニークなメカニズムを解明し、先端的なマリンバイオテクノロジー技術を駆使して魚が健康で病気にならないための研究を行っています。最近では、細菌感染に対する自然免疫に重要な遺伝子をゲノム編集により、機能欠損させたメダカを用いて、腸管などの粘膜組織の生体防御システムを解明しています。

免疫生物学研究室

准教授
河野 智哉


主な研究内容

魚類の免疫制御機能に関する研究(専門分野:比較免疫学)

主な研究テーマ

我々が普段口にしている「魚」、近年では資源の枯渇が問題視されており、増やし育てる養殖漁業による生産が増加しています。私は、養殖魚の健康を守るために、魚類の免疫システムを様々な側面から研究しています。特に近年は、「免疫応答の概日リズム」に着目した研究を進めており、一日の中でも時間帯によって免疫力が異なることを明らかにしました。将来的には、本知見を活かした効果的な疾病防除技術の開発を目指しています。

水族分子生理学研究室

准教授
宮西 弘


主な研究内容

魚類生理学を学ぶ研究室です。個体レベルの現象を、分子レベルまで理解することを行っています。基礎生理学、内分泌学、機能形態学、発生学、分子生物学といった幅広いアプローチと最先端の手法を駆使して、水棲動物の環境適応機構の統合的・進化的理解に挑んでいます。また、新たな養殖方法を開発して水産増養殖への応用はもちろんのこと、ヒトの疾病の原因の解明や、なぜ魚は海で生きられるの?といった根源的な疑問解決を行います。

主な研究テーマ

  • メダカでの鰓にある塩類細胞分化誘導機構のを解明し、なぜ海で生きられるかを解く
  • 塩分調節を行う細胞の機能的分化機構からヒト嚢胞性線維症・Pendred 症候群の原因解明に繋げる
  • 腸での二価イオン排出機構の解明と海洋酸性化がもたらす魚類の浸透圧調節への影響の評価
  • 新規養殖法である「海水経験法」による成長促進と海水適応能上昇の応用
  • ウナギの成熟機構における血嚢体の機能解析
  • チョウザメの成長促進とキャビア増量の研究
  • 密度効果による成長・成熟阻害の脳内機構の解明 から「たくさん飼っても小さくならない魚を作る」

水族病原微生物学研究室

助教
西木 一生


主な研究内容

水族病原微生物学研究室では、水産生物の病原体に関する研究を行っています。

主な研究テーマ

  • 病原体の疫学調査
    養殖場では様々な細菌やウイルスによる疾病が発生しています。これらの病原体の発生状況や広がり方をモニタリングし、流行している病原体の特徴付けや流入経路の予測をします。これにより、病気の発生を未然に防ぐことを目指しています。
  • 薬剤耐性菌の調査
    養殖場では病気の治療のために多くの抗生物質が使用されています。しかし、度重なる抗生物質の使用により、薬剤耐性菌が出現しています。そこで、これらの薬剤耐性菌の発生状況、薬剤耐性メカニズムの解明や治療に有効な薬剤の検討を行っています。
  • 病気の診断方法の開発
    養殖魚には様々な疾病がありますが、それらの被害を抑えるためにはどの病原体による疾病なのかを逸早く判断することが肝要です。そこで、死んだ魚から分離された病原体を素早く同定できる技術の開発を行っています。これまでに開発した技術は水産試験場などの魚病診断の現場で実際に使用されています。

水圏生物生理学研究室

教授
内田 勝久


主な研究テーマ

生命誕生から約38億年、海や河川などの水圏域にはほぼすべての動物門が生息しています。水棲動物における発生、成長、生殖や環境適応は、すべての種において個体の一生を通じた基本となる生命現象です。また、水棲動物が発生、成長、生殖を繰り返し、様々な環境に適応放散した背景には、神経系や内分泌系といった情報伝達系の進化と多様性が大きく寄与しています。 私たちの研究室では、生理学、内分泌学、機能形態学、発生学、分子生物学といった幅広い学術視点と研究手法を取り入れ、水棲動物における発生、成長、生殖、環境への適応機構を個体から分子レベルで総括的に理解することを目標に研究を進めています。多様な魚類や海産無脊椎動物においては、これらの生命現象は未だ謎に包まれた部分がたくさんあます。個々の研究成果を動物種レベルに留めることなく、系統進化的な視点も導入し、水棲動物全般における基本生命現象の多様性や普遍性の理解にも繋げたいと考えています。また、水圏に棲む動物には、水産資源として我々人間と深く関連する種もたくさん含まれています。水産動物の発生、成長、生殖や環境適応機構に関する基礎知見を、“水産資源を効率良く殖やし、育てる”こと、つまり、基礎成果を水産増養殖分野へ応用展開する取り組みも進めています。

水産増養殖学

教授
長野 直樹


主な研究内容

水産業の現場が抱える様々な課題の解決に取り組み、食資源の確保、地域産業の活性化、地域ブランド力の向上を目指す。

主な研究テーマ

  • 海産魚の完全養殖技術開発
    マサバをはじめ海産魚の完全養殖技術開発とブランド化に取り組んでいる。親魚育成~採卵~種苗生産~養殖を通した一連の取り組みから、完全養殖技術を確立する。
  • 低魚粉・高付加価値型の新奇飼料開発
    魚粉への依存を低減し、持続可能性や収益性を向上させるための低魚粉・高付加価値型の飼料開発を行っている。魚粉の代替原料として、従来の植物性原料に加え昆虫餌料に着目し、飼育試験によりその性能を評価する。
  • 水産物の機能性成分に関する定量測定技術の開発・実用化
    マアジやマサバ等の魚種について、水産物の機能性表示制度やおいしさの客観的評価に活用可能な脂質含量やEPAやDHA等の脂肪酸含量等の科学的根拠の集積を行っている。 キーワード:水産増養殖学、栄養学、マサバ、マアジ、完全養殖、ブランド化、昆虫餌料

海洋環境微生物学研究室

教授
田岡 洋介


主な研究内容

海洋微生物の生態と有効利用に関する研究

主な研究テーマ

当研究室では水域特に海洋環境の微生物の生態と環境について研究しています。また環境から分離した微生物の特性を生かし、我々の社会生活を豊かにする有効利用方法について検討しています。

  • 海洋環境と微生物
  • 海洋微生物の有効利用
  • 持続的水産増養殖に向けたプロバイオティクスの利用
  • 海洋環境の物質循環に関する研究

マリンバイオサイエンス研究室

教授
林 雅弘


主な研究内容

マリンバイオサイエンス研究室では、海の恵み=マリンバイオ資源を暮らしに生かす研究をしています。

主な研究テーマ

  • ラビリンチュラなどの有用海洋微生物探索・育種-生理活性物質・機能性脂質の微生物生産
    波打ち際、海面、海底、マングローブ林、サンゴ礁、様々な環境から有用な能力を持った微生物を探索しています。例えばラビリンチュラと呼ばれる、ドコサヘキサエン酸(DHA)やアスタキサンチンといったサプリメント原料や医薬原料を生産する微生物を沖縄の海から多数発見しています。それらの微生物をメタボローム解析を通じて、分子育種や突然変異によって高機能に育種する技術を開発してSDG'sに示された様々な問題解決を目指して持続可能な社会のニーズに応えています。
  • ユーグレナなどの微細藻類を利用した化成品・バイオ燃料・飼料素材の開発
    ユーグレナをはじめ有用微細藻類を育種し、高密度培養による生産性の向上、スケールアップなどのプロセス開発を通じて、天然界から分離した微細藻類化成品・バイオ燃料・飼料素材への産業利用を進めています。特に海洋分解性をもつ化成品素材の開発を通して、脱炭素社会への貢献、さらには海洋プラスチック問題の解決を目指しています。

水産食品分析学研究室

教授
田中 竜介


主な研究内容

水産食品ならびに食材となる水産生物に含まれる化学成分の分析を行い、水産食品の品質ならびに水産生物の健康状態を評価する方法を開発しています。特に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用した、迅速かつ高感度な分析方法の開発に着目しています。また、開発した評価法を利用して、既存の水産物や新しく開発された水産食品の品質評価、未利用資源の有効利用の探索に役立てています。

海洋資源創薬研究室

准教授
林 康弘


主な研究内容

私たちは海洋資源からの創薬を目指しています。生命は、約40億年前に海で誕生したといわれています。それに比べると、陸上生物の歴史は、まだ数億年に過ぎません。海洋は壮大なロマンと太古の歴史が刻まれた未知の資源の宝庫です。生命の長い歴史の中で忘れられた海洋資源を人類の福祉と健康に役立てて行くことが必要だと考えています。本研究室では海洋資源(動物、植物、微生物など)から生理機能活性を有する天然物を探索し、その物質の特定を行い、詳細な作用機序を生物学的観点から明らかにしていきます。

主な研究テーマ

海洋資源より新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)、およびB型肝炎ウイルス (HBV) の感染を抑制する化合物の探索など