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ニュースリリース

軸索で結合させた大脳オルガノイドは複雑な神経活動を示す 脳の発達と機能の解明に新たな手法を開発

2024年04月11日 掲載

軸索で結合させた大脳オルガノイドは複雑な神経活動を示す
脳の発達と機能の解明に新たな手法を開発

東京大学 生産技術研究所の池内与志穂 准教授、ボルドー大学のティモテ・レヴィ 教授、宮崎大学の平野羊嗣 准教授らの共同研究チームは、ヒトiPS細胞から作製した大脳オルガノイド同士を神経軸索で結合させ、複雑な神経活動を示す脳組織モデルの開発に成功しました。

本研究結果は 2024 年4月10日に『Nature Communications』に掲載されました。

発表のポイント

◆ヒトiPS細胞由来の大脳オルガノイド同士を軸索で結合させた組織(コネクトイド)は、複雑かつ強い、同期した神経活動を示した。

◆光遺伝学的にオルガノイド間の神経束を刺激すると、神経活動の引き込みと短期的な可塑性が観察された。

◆ヒトの脳の複雑な神経回路網を再現するための新しいモデルを開発した。脳の領野間結合の発達メカニズムや機能の解明、および疾患治療法開発に新たなアプローチを提供する。

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軸索の束で接続された大脳のオルガノイド

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1:軸索束で接続された大脳オルガノイドの複雑な活動

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2:軸索束の光遺伝学的刺激による神経活動の変化

用語解説

軸索(じくさく、axon
ニューロン(神経細胞)から伸びる細くて長い突起で、電気信号を他の神経細胞やその他の細胞へと伝えます。

大脳オルガノイド(cerebral organoid
ヒトの多能性幹細胞(iPS細胞やES細胞)から作製された、大脳組織の構造を部分的に再現した三次元培養組織モデルです。

光遺伝学的手法(optogenetics
光感受性タンパク質を用いて、生きた細胞や組織の特定の細胞集団の活動を光で制御する技術です。この手法は神経および脳の機能研究や神経疾患の治療法開発に役立てられています。

論文情報

雑誌名: Nature Communications
題 名:Complex Activity and Short-Term Plasticity of Human Cerebral Organoids Reciprocally Connected with Axons
著者名:Tatsuya Osaki, Tomoya Duenki, Siu Yu A. Chow, Yasuhiro Ikegami, Romain Beaubois, Timothée Levi, Nao Nakagawa-Tamagawa, Yoji Hirano, Yoshiho Ikeuchi*
DOI: 10.1038/s41467-024-46787-7

詳細はこちらから▽

・プレスリリース 2024/4/11
https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20240411_01_press.pdf

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