宮崎大学
ニュースリリース

女子高校生のためのサイエンス体験講座を実施

2022年03月09日 掲載

令和4年3月9日(水)、宮崎県内の高等学校に在学している1・2年生の女子生徒を対象とした「女子高校生のためのサイエンス体験講座」を実施し、約100名が参加しました。本講座は、日本の女性研究者比率がOECD中最下位で、かつ、理系に進学する女子の割合も極めて低い現状を踏まえ、宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室が次世代の理系女子育成を目的に実施するもので、2009年の開始以来、延べ約1,400名に参加いただいています。残念ながら今年も、新型コロナウィルス感染症の影響により、Zoom を利用したオンライン形式で開催となりましたが、それぞれが工夫を凝らしながら、高校生にわかりやすく解説がなされていました。

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↑ ライブ配信会場(研究室)の様子

獣医学科の吉田彩子教授と入江隆夫准教授が講師を務めた「鮮魚にはツキモノです!!アニサキスをみてみよう!」には19名の女子高校生が参加し、入江准教授が食品を介して人に病気を起こす寄生虫に関する基本的な講義をした後、オンライン実習として、実際に新鮮な生サバを解剖し、内臓表面に付着する寄生虫「アニサキス」を取り出す様子を中継しました。すると、今回サンプルとして使用した全ての生サバにアニサキス幼虫の寄生が確認され、多いものでは約200隻が付着していて、受講者は画面越しに驚いた様子でした。

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↑ 学生アシスタントによるサバの検査

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↑ サバから寄生虫を取り出す様子

また、取り出したアニサキスに、普段刺身を食べる際に使用するような調味料をかけるとどのような反応を起こすか実験しました。「お酒」・「ポン酢」・「わさび液」に浸されたアニサキス幼虫が、試験管に入った寒天へ侵入する活動性、つまり人の胃や腸にささる能力を保持しているかを評価しました。それぞれの調味料に浸された幼虫はいずれも元気に動き回っており、30分後には寒天の内部にしっかりと侵入している様子が示されました。「通常、アニサキス幼虫は魚の内臓表面に寄生しているものが大半ですが、可食部である筋肉内にいないわけではありません。また、魚が死んでから時間が経つと、幼虫が筋肉内に移動している可能性が高くなります。新鮮なうちに内臓を取り出し、また刺身等で食べる場合には、リスクがあることは承知した上で、注意して食べるしかないですね。ワサビや焼酎では予防はできません。最も安心なのは、一度冷凍した後に食すか、加熱調理するかです。」(入江准教授)と説明がありました。

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↑ 寄生虫をカメラ越しに見せる様子

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↑ 寒天内に侵入した寄生虫(うっすらと白く写っているものが寄生虫)

受講した高校生からは、アニサキスについての質問のほかにも、「どうして寄生虫を研究しようと思ったのか」「寄生虫に愛着が湧くことがあるのか」など、研究者としての先輩である教員自身についての質問も多く寄せられ、画面越しではありましたが、寄生虫研究の魅力が伝わったようでした。今回の講座をメインで担当した入江准教授からは「本県から科学の将来を担う研究者が少しでも育ってくれればとの想いで話をしました」との感想が述べられました。

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↑ 他の寄生虫を紹介する入江准教授

宮崎大学では、県内高等学校が実施する探究活動に対して毎年10名の大学教員をアドバイザー教員として配置しているほか、高校教育における各種会合への委員の派遣など、高校教育関係者と緊密な連携を取りながら、県内全体の高校教育が更に充実したものとなるように全学的に支援しています。


▼令和3年度女子高校生のためのサイエンス体験講座一覧

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