宮崎大学
ニュースリリース

地域に寄り添うことができるキャリア官僚を目指して ~いつかは故郷みやざきの力になる~
高村 泰成(たかむら たいせい)さん

2022年10月04日 掲載

高村 泰成(たかむら たいせい)さん

2020年3月 宮崎大学地域資源創成学部卒業
2020年4月 東北大学公共政策大学院修士課程進学
2022年3月 東北大学公共政策大学院修士課程修了
2022年4月 総務省入省(総合職)
2022年7月 静岡県経営管理部地域振興局市町行財政課出向(現在に至る)

hito_03takamura_01.jpg

△大学院同期との卒業旅行にて(広島県尾道市)

1997年5月8日生まれ。宮崎市出身。
宮崎県立宮崎大宮高等学校卒業後、宮崎大学地域資源創成学部に第1期生として入学。
卒業後、東北大学公共政策大学院で修士号を取得し、現在は総務省から静岡県経営管理部地域振興局市町行財政課に出向中。
学生時代は桑野斉ゼミに所属し自治体政策を専攻。
卒業論文のテーマは、「宮崎市消防団の組織運営に関する調査研究」。

父の影響で中学時代からラグビーを始め、高校・大学とラグビー部に所属。大学では、公式審判員の資格を取得し、レフリー活動に専念。公式戦や練習試合など多くの試合でボランティアで笛を吹いた。レフリーに転向した理由は、宮崎県のラグビー振興に貢献するため。「宮崎県はレフリー人材が不足していた。One for All, All for Oneの精神のもと、宮崎県におけるラグビー競技の発展を支えたかった。」と当時の思いを語る。

座右の銘は、「勝敗は兵家の常」。三国志に出てくる曹操の言葉で、戦いは必ず勝てるものではなく、時には負けることもあり、負けたことを次に生かし、挑戦することが大切であるとの意味がこもったこの言葉を、日々自分自身に言い聞かせている。

■少しでも多くの人とつながるためにがむしゃらだった4年間

とにかく後悔しない大学生活を送りたかったので、「いろんな経験をしてたくさんの人とつながりたい!」という思いから消防団、こども食堂、ふるさと探検隊、ラグビーの審判など、ほんとに色んなことをやらせていただきました。

もともと私は地域資源創成学部の1期生で、何もない白紙の状態からのスタートだったので何か作り上げないといけないという思いもありましたし、先生方も背中を押してくれてチャレンジしやすい環境にあったことも色んなことに挑戦できた要因だと思います。

特に消防団での経験は今の自分にも大きな影響を与えています。団員として活動する中で地域防災力の強化に向けた消防団の重要性を感じるとともに、消防団組織の限界も感じました。このことがきっかけとなって、大学院で防災の学びをより深めたいと思いましたし、消防庁を所管する総務省にも関心を持つようになりました。

今振り返ると全ての経験が今の自分にとっての貴重な財産であると感じますし、本当にたくさんの方に支えられて、改めて恵まれた環境だったなと思います。

hito_03takamura_02.jpg

△ ふるさと探検隊での活動の様子(2018年)


■思い出のバッジ

2019年に、日本商工会議所の会頭である三村明夫さんが宮崎県に来られた際、地元の大学生がどのような活動を行っているのか知りたいとのことで宮崎大学に来学することになりました。

私は当時、宮崎県内の各地域を訪問して、地域の方と観光商品開発に取り組む「ふるさと探検隊」の隊員として、(宮崎県の最南端に位置する)串間市の活性化策を考えていました。そのような活動もしていたことから、大学側から私に対して三村会頭の前でプレゼンをしてみないかとの打診がありました。少しだけ迷いましたが、せっかくの機会なので引き受けさせていただき、串間市が進めているエネルギー循環型のSDGs未来都市の実現に向けた取組やSDGsの先進事例として視察件数が増えている現状などをご説明しました。その現状を踏まえ、観光目的でない視察・研究を目的とする出張研修プランを策定することを提案しました。

また、一般観光客に対しては、串間に来て関心を持ってもらうきっかけ作りが重要であると考え、その手段としてポケモンGOを利用することを提案しました。半分夢のような話ですがポケモンGOは自治体との連携実績もあり、私もヘビーユーザーでしたので言うだけ言ってみようとのことで提案に盛り込んじゃいました(笑)

三村会頭には、地方都市の活性化に向けて地方の大学・学生が地域の方と一体となってひたむきに取り組んでいる姿を知ってもらいたかったですし、それをサポートしてくれる地元企業の存在の大きさも伝えたいという思いがありました。発表後、私の思いが伝わった証として、会頭からSDGsバッジをいただきました。今でも大切に保管しており、大事な場面を迎えるときは身に着けるようにしています。

hito_03takamura_03.jpg

△ 三村会頭と意見交換をする様子(2019年)

■ 宮崎大学での4年間を振り返って

とにかくいろんなとこに行きました。宮崎県内26市町村は全部回りましたし、ベトナムやイタリアなどの海外にも行きました。

宮崎県内は、地域資源創成学部の実習で行く機会も多かったです。訪問先は大学が立地する木花地区から遠方は高千穂まで、本当に色んな場所に連れて行っていただきました。実習で出会った方の中には今でも交流が続いている方もいますし、地域のお祭りやまちづくり推進委員会などの場にも呼んでいただいて、県内の魅力を改めて感じることのできる貴重な時間でした。
でも、椎葉にだけはなかなか行けなくて・・・(笑)。意を決して友達と平家まつりを見に行ったのですが片道3時間はなかなかしんどかったですね。

大学生になってから、海外に行く機会にも恵まれました。ベトナムは、地域資源創成学部の授業の一貫で行ったのですが、日本がいかに恵まれているのかを痛感しましたね。現地のベトナム人とお互いの英語が伝わらなくて「お前のリスニングが悪い」「お前の話し方が悪い」と喧嘩もしましたけど、最後に仲良くなれたのはいい思い出です(笑)

本当に色んな思い出がありますけど全てがいい思い出というわけではありません。しかし、それらも含めて今の自分にとって大きな財産となっていると感じます。いろんな人と出会い、いろんな現場を見せてくれた宮崎大学は、私の原点であり、私自身の考え方に大きな影響を与えてくれました。本当に刺激的な毎日でした。

hito_03takamura_04.jpg

△ ローマでの写真(2019年)


■卒業後は宮崎県内に就職する予定だったが・・・。

当初は、卒業後は宮崎県内に残って就職することを考えていました。「22年間育ててもらった宮崎に恩返しがしたい」との思いで公務員試験の勉強をして宮崎県庁の試験に臨みました。一次試験(筆記試験)は合格することができましたが、二次試験となる面接で落ちてしまい、本当に悔しい思いをしましたね。県庁の面接官から「国に行きなさい」と言われたのを鮮明に覚えています。

その後、就職先が決まらない中、大学生活もあと少しとなった4年次の9月頃、もともと両親や指導教員から勧められていた大学院進学を真剣に考えるようになりました。消防団員の経験を通じて、地域防災力の一層の強化の必要性を肌で感じていた私にとって、大学院で防災政策に関する知識を深めたいという思いもありました。しかし、当時はすでにほとんどの大学院の試験が終わっている状況で、大学院進学は簡単なことではありませんでした。

そんな中で、政策系大学院で唯一、後期募集をしていた東北大学を見つけました。東北は東日本大震災で大きな被害を受け、先進的な防災政策が展開されていたので、ここしかない!という思いで仙台に飛び込み、大学院の先生方と面談しました。

そして何とか試験も合格し、東北大学の大学院生として防災を学ぶこととなりました。この時期はいろいろ悩むことも多かったですが、指導教員の先生・両親はもちろん、友人やこれまでお世話になった方にも支えていただいて、改めて人とのつながりの大切さを実感した時期でもありました。

hito_03takamura_0005.jpg

△ 東北大学学位記授与式にて(2022年)

■大学院修了後、総務省へ。そして静岡県庁へ

大学院修了後、総務省に入省することになりました。総務省での3ヶ月の勤務を経て、2022年7月から静岡県庁に出向となりました。いずれかの道府県庁に出向になることはあらかじめ分かっていたのですが、今まで1度も訪れたことのない静岡県への異動が伝えられて、驚きましたね。

静岡県庁では、市町行財政課という部署に配属されています。市町行財政課とは、他の県庁でいう市町村課のようなもので、静岡県内市町の行財政運営に関する助言はもちろん、市町の総合支援窓口として日々、さまざまな相談が寄せられる部署です。私は主にマイナンバーカードの普及促進や総務省からの調査(照会)対応、県議会における議案の取りまとめなどを担当しています。特にマイナンバーカードは、国から積極的な普及促進を呼びかけられており、毎週のようにカードの交付率や普及促進のための取り組み状況などの調査依頼が県に送られてきます。その調査を静岡県内全市町分取りまとめて、国に報告することが私の主な仕事です。

私の報告が、静岡県の数値として公表されるわけですからミスは許されないですし、周りの方の助けも借りながら、何とかやっています。総務省からの出向職員かつ新人という身分であり、立場に悩まされることも多いですが、そんな私をいつも支えてくださっている県庁職員の皆様には本当に感謝しています。

責任の重い仕事も多く、ヘトヘトになって帰ってくることもしばしばですが、毎日が勉強。貴重な経験をさせていただいていることを忘れず、今後とも仕事に励みたいと考えています。

hito_03takamura_06.jpg

△ 静岡県マスコットキャラクター「ふじっぴー」と高村さん(2022年)

■視線の先には

私自身が10年後にどうなっているのか、正直、全く想像がつきません。国家公務員として今後どのようなところへの異動の辞令を受けることになるのかも全く想像がつきません。今は、目の前の仕事に必死で一日一日を精一杯生きているというのが本音ですが、一日一日を大切にして積み重ねていくことで何かが生まれてくると思っています。

10年後もキャリア官僚としての道を歩んでいるのであれば、宮崎と国をつなぐ人間として、宮崎の課題解決はもちろん、情報提供の両側面においても宮崎に貢献できるような人間になりたいなと思っています。宮崎は私が最も長い時間を過ごした土地です。今でもたくさんの友人がいますし、中には公務員として働いている人もいます。困ったことがあったら高村に聞いてみよう、と思われるくらい頼りがいのある人間になれたら嬉しいですね。

また、国家公務員の醍醐味である法律の制定や制度設計を通じて、さまざまな土地で得られた知見を国の施策として反映できるよう、日々研鑽を積んでいきたいと思います。

最後に社会人になっても心掛けていきたいこと、それは挑戦を恐れないことです。挑戦することには常にリスクが伴いますが、挑戦すること自体に意味がある。「勝敗は兵家の常」。宮崎大学の恩師からいただいたこの言葉を忘れずに、今後も過ごしていきたいと思います。

hito_03takamura_07.jpg

△ 旅行で訪れた北海道稚内市「宗谷岬」にて(2020年)


graduate_backnumber_banner.jpg


backnumber_banner.jpg

Get ADOBE READER

PDFファイルをご覧いただくためには、Adobe Reader(無償)が必要です。
Adobe Readerは Adobe Readerのダウンロードページよりダウンロードできます。

文字サイズ 標準 拡大


PAGE TOP

宮崎大学
MENU CLOSECLOSE