動植物生産と生命科学の連携,融合による新しい教育,研究,農業分野の開拓へ

宮崎大学農学部の獣医学科を除く5学科は、2025年4月から農学科として新たに1学科体制へ改組する予定です。

この改組において、『動植物生産と生命科学の連携、融合による新しい教育、研究、農業分野の開拓』をコンセプトに、これまでの植物生産環境科学科と畜産草地科学科をベースにしながら教育研究体制を強化・融合させ『動植物資源生命科学コース』を新たに設置します。

~動物と植物から「農」の未来を描く~
動植物資源生命科学コースでは,動物や植物に関する基礎研究に加え、食料資源としての家畜生産と植物生産を総合的に学び,動植物の生産性・生産物品質の向上,環境やアニマルウェルフェアに配慮した持続可能な生産現場および食の安全をトータルにコーディネートできる『未来の農業』を教育します。


~学びのポイント~
■ 動植物生産と資源、生命に関する分野融合型教育
■ スマート農業やデータサイエンスなどの農業DXに関する教育
■ 地域資源を有効活用する循環型農業に関する教育
■ 環境に配慮した安全・安心な農畜産物生産に関する実践的教育






4 年間の学び

動物と植物に関する自由な学び

自由に選択できるカリキュラムから、めざす進路・夢に合わせて学ぶ分野を選べるのが本コースの大きな特徴です。

■ 1年生では、“農学”を構成する7つの基幹分野(農芸化学、生産農学、畜産学・獣医学、水産学、森林学・林産学、農業経済学、農業工学)の基礎となる科目(学部共通科目・学科共通科目)を学修します。

■ 2年生以降は、コース専門選択科目が多く開講されるので、どのような分野を学びたいか(どのような進路に進みたいか)を各自で考えた後、想定している自分の進路・夢に合わせて、3 つの教育モジュール(学びの道しるべとなる教育分野の集まり)が推奨する科目に加え,関連するユニットの興味ある科目を自由に履修していきます。

■ 3年生から研究室に所属して卒業研究を行います。

教育方針イメージ

動物や畜産・草地を学びたい人は「畜産・草地モジュール」、園芸や植物を学びたい人は「園芸・植物科学モジュール」、スマート農業や食品開発,持続的農業を学びたい人は「アグリイノベーションモジュール」の科目を中心に履修すると良いでしょう。詳しい履修モデルはPDFでご覧いただくことができます。



実験・実習

動植物生産だけでなく,生命科学,食品開発に関する豊富な科目を用意しています。



 

取得可能な資格

教員免許や学芸員をはじめ,他にも必要単位を修得して条件を満たすことで,将来に役立つ資格の取得が可能です。

● 高等学校教諭一種免許状(理科・農業)
● 学芸員
● 実験動物1級技術者
● 飼料製造管理者
● 家畜人工授精師
● 食品衛生監視員
● 食品衛生管理者


想定進路

大学院進学をはじめ,公務員,農畜産業関連企業,食品関連企業など幅広い進路が可能です。

大学院進学,公務員,教員,試験研究機関,農業団体,肥料会社,種苗会社,農業法人,食品製造加工業,食品流通業, 醸造業, 外食産業, 農薬医薬産業,農業機械関連産業,農産施設関連産業,国際協力機構,金融業,マスコミ,就農 他



研 究

生命科学に関する基礎研究に加え,フィールドから食卓に至る多様な教育・研究分野

生物学,化学,物理学をツールに,畜産・実験動物・草地・植物・園芸・食品・遺伝育種・土壌肥料・スマート農業・生命科学などの27分野に及ぶ多様な教育・研究を行っています。
動植物に関する研究において本コースでできないことはないでしょう。

研究室や研究内容はPDFでご覧いただくことができます。



家畜の生産性を持続的に高めていくための研究

肉用牛および豚を対象に、超音波を利用した産肉能力の推定、ゲノム情報を用いた統計遺伝学的・分子遺伝学的アプローチによる遺伝的要因の解明を行っています。また、未利用資源を活用した飼料開発や試験管モデルを用いた豚卵子の発生能力の向上によって、家畜の生産性を持続的に高める研究も行っています。

教育方針イメージ

土壌環境や飼料の生産性向上のための様々な研究

窒素の有効利用による環境保全型農業の確立や、家畜の飼育に欠かすことのできない飼料の生産性向上に関する教育研究を行っています。有用な土壌微生物の利用、植物の環境ストレス耐性、新規牧草の導入評価についても取り組んでいます。

教育方針イメージ

野生由来実験動物や野生動物の保全・管理に関する研究

動物の習性や特徴を解析することで、人々や動物に役立つ情報を蓄積しています。特に、小型齧歯類を中心に、実験動物としての潜在能力の探究と開発、動物園動物や愛玩動物のより良い飼養管理、さらには希少野生種の保全に関する研究に力を入れています。

教育方針イメージ

AI・スマート農業技術を活用した動植物生産に関する研究

動物分野では、ドローンやロボット、活動センサーを活用し、草地を持続可能に利用し、家畜のウェルフェア・健康状態を向上させる研究に取り組んでいます。植物分野では、AIを搭載した栽培装置の作成や栽培データと機械学習を使った品質予測など、新しい栽培技術の確立に取り組んでいます。

教育方針イメージ

植物の抵抗性と天敵を活用した、環境と農家に優しい農業

畑や果樹園に良い虫(天敵)を呼び込むための天敵温存植物の研究や植物の病害抵抗性を高める研究、病害虫診断法の開発などを行っています。農家と一緒に作った共同実験ほ場や地域農家ほ場で試験し農家のための環境保全型技術を宮崎大学から発信します。

教育方針イメージ

新しい高品質野菜生産のための研究

野菜の生理・生態を明らかにする研究やトマトにストレス(乾燥や塩)を与えて食味・機能性成分を高める研究、野菜の新しい栽培システムを開発する研究など様々な課題に取り組んでいます。これらの研究から新しい高品質野菜生産について考えていきます。

教育方針イメージ

地域で生産される様々な果樹の品質・生産性向上に関する研究

ブルーベリーの葉の機能性評価,新品種の育種や栽培技術の開発、カキの樹を小型化するわい性台木の研究、また日向夏(ヒュウガナツ)の種無し果実生産に関する研究などを通して、地域の果樹産業の振興に寄与するような研究を行っています。

教育方針イメージ

植物機能評価・新品種育成に関する研究

生命科学のアプローチを駆使して、植物のもつ機能の解明や遺伝資源の評価を行い、新しい品種の作出などに取り組んでいます。ゲノム編集技術によるイネ科牧草のストレス耐性の強化、品種改良の効率化に向けた植物受精機構の研究、花の発熱を駆動する仕組みの理解・解明など、幅広い研究を行っています。

教育方針イメージ

Q & A

Q なぜ動物と植物を一緒に学ぶの?

A 近年,『耕畜連携』といって,米や野菜等を生産している農家へ畜産農家から堆肥を供給したり,逆に家畜の餌になる飼料を生産し,畜産農家へ供給する等,植物生産と畜産が相互に連携を図り,資源を無駄にしない循環型・持続可能な農業が強く求められています。本コースでは,動物と植物,その融合分野を広く学ぶので,『耕畜連携』について実践的な学習を通して理解することができます。今後の農業を考える際には,ここで学んだことが必ず役に立つでしょう。


Q モジュールって何ですか?

A 皆さんの学びの道しるべとなるものです。動物や畜産・草地を学びたい人は「畜産・草地モジュール」を,園芸や植物を学びたい人は「園芸・植物科学モジュール」を,スマート農業や食品開発,持続的農業を学びたい人は「アグリイノベーションモジュール」の科目を中心に履修すると良いですね。


Q どんな入試がありますか?

A 一般選抜だけでなく,学校推薦型選抜や総合型選抜の多様な入試があります。学校推薦型選抜では,専門高校で農業や畜産を学ぶ生徒さんの枠を普通高校とは別に設け,動植物について学びたい強い意欲のある生徒さんの入学ができるようにしています。


Q これまでと同じように植物や動物のことを学べますか

A はい、学べます。今回の改組では、これまでのような植物や動物に関する教育研究体制を維持しながら、両方について学ぶことも可能としました。したがって、これまでよりもっと幅広い動物と植物に関する知識を習得することが可能です。


Q 生物が好きです。生物に関する基礎的な研究もできますか。

A はい、可能です。動植物生産だけでなく、動物や植物の基礎的な研究を行っている教員もいるので、生物に関する基礎的な研究も可能です。


本コースへのお問い合わせ(教務・学生支援係)