森林環境持続性科学領域の徳本 准教授らによる研究結果が公開されました

農学部 森林環境持続性科学領域の徳本雄史 准教授(機能生態学)らによる研究成果が、Frontiers社の国際学術誌 Frontiers in Environmental Science に掲載されました。
常緑広葉樹のフェノロジー(開花や新葉展開などの季節変化)を、画像解析によって検出した成果について報告したものです。
詳しくは以下をご覧ください。
【論文情報】
掲載誌:Frontiers in Environmental Science
タイトル:Detection of phenological features of an evergreen broadleaved tree by analysis of fractal dimension
(和訳:フラクタル次元解析による常緑広葉樹の季節現象特性の検出)
論文URL:https://doi.org/10.3389/fenvs.2026.1775245
日本語概要:
森林の樹木は、葉の展開や開花などの季節変化(フェノロジー)を示し、これらは生態系の機能や炭素循環、生物多様性と深く関係しています。しかし、常緑広葉樹では落葉樹のような大きな見た目の変化がわかりにくく、これまで詳細な観測は困難でした。
本研究では、農学部田野フィールドにおいて、樹冠を長期間・高頻度で撮影したタイムラプス画像を解析し、樹木の「形の複雑さ」を表す指標であるフラクタル次元(fractal dimension)を日単位で算出しました。
その結果、フラクタル次元は新葉の展開や開花、果実形成などに対応して季節的に変化し、植物器官の出現・消失や形態変化を反映していることが明らかになりました。特に、花の多い年と少ない年で変動パターンが異なることから、従来の色変化(RGB)を用いた解析では捉えにくかった開花の詳細なダイナミクスを把握できる可能性が示されました。また、本手法は日本のシイ属樹木だけでなく、熱帯林のフタバガキ科樹木にも適用可能であることが確認され、樹種ごとの花や葉の構造の違いを定量的に検出できることが示されました。
本研究は、画像解析によって樹木個体レベルの季節変化を高精度に把握する新たな手法を提示するものであり、気候変動下における森林生態系の理解や多様性保全への応用が期待されます。