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国際学会派遣

2010/04/07

国際学会派遣助成 平成20年度 矢野陽子さん

平成20年度国際学会派遣事業採択者レポート


平成20年度に行いました、助成事業「女性研究者支援のための国際学会派遣」の採択者よりお話をうかがいましたのでご紹介いたします。

宮崎大学大学院医学系研究科 生体制御系 博士課程3年
機能制御学講座 統合生理学分野 矢野 陽子さん


国際学会の学会名(大会名)と開催地・開催期間は?


AMIA(American Medical Informatics Association) 2008 Symposium
(2008年11月7日〜12日)Hilton Hotel ワシントンD.C.
Neuroscience 2008 Symposium(2008年11月14日〜19日)
Convention center ワシントンD.C.

どういう内容の学会だったのですか?


AMIAは、アメリカにおける医療情報学の統合的な主たる学会で、医療のあらゆる分野の情報の効果的な管理活用および臨床と健康状態を改善する臨床的な研究、個人的な健康管理、公衆衛生等における情報の効果的な活用と管理についての研究発表の場でIT/ICTを活用した医療情報の分野も含まれています。
アメリカ国内とヨーロッパから約2,000人近くの研究者及び学生が参加しました。チャリテー昼食会やウエルカムパーティーに参加し、フレンドリーな学会でした。
学会詳細こちら   AMIAホームぺージこちら
Neuroscienceは、北米神経科学学会といわれ、今年も世界80カ国から約32,000人の学会員や学生、企業出展者がコンベンションセンターに集まったようです。
「脳と神経システムの研究」を多様な分野から多様な視点からそれぞれの研究者が発表し、基調講演やシンポジウムが行われました。
ポスターは3000~4000題が毎日発表されていました。
こんなにも脳と神経科学について研究している科学者と学生がいるのかと思いました。
世界最大級の参加人数を誇る北米神経科学学会大会だけに、企業出展が博覧会のようで先端技術の研究機器と医療機器等が展示してあり、たいへん興味深いものでした。
学会詳細こちら

国際学会までの旅の印象やエピソードを教えてください。


数十年前にアメリカへ私費留学した頃よりも出入国手続きも簡略で東京に学会に出向く感じでした。
往復の飛行機運賃がニューヨーク経由でもほぼ同じであったのでニューヨークを経由してワシントンDCに入りました。
JFK空港からブルックリンまでは紅葉が延々と続き事のほか美しいものでした。
ブルックリンから地下鉄電車でニューヨークに入り、一日はメトロポリタン美術館をはじめとして市内を観光しました。
シーズンオフで一日観光ツアーは貸し切りでした。
その後ワシントンDCに入り、オバマ氏の大統領選挙前でG20も開かれることからかゴミが一つもなくクリーンな街でした。
空港からホテルまでの車窓からはオークの紅葉がみごとで、黄金葉に包まれた感がありました。
ワシントンDCは建物が英国風で、落着きと歴史を感じさせる都市でした。
一方でこの間、我が国の食品と水周り等の生活環境が大変優れていることを実感する旅でもありました。
道中は親切な人ばかりに出会い幸いでした。両学会において、世界中から多くの学生がリュックとPCと携帯電話を手に参加しており、会場ではPCで研究データを確認したり、会場で出会った友達に自分の研究を説明したり、skypeを使い自国の研究室や友人と連絡をとりあっている姿が目につきました。
ユビキタスネットワーク社会を実感するものでした。また、毎日オープン前から入場待ちが多く、私も待っている間エジプトやフランスやスイスといった多くの学生と話をすることができました。
脳科学者の茂木健一郎一団も隣におられて話をすることができました。

国際学会に参加した感想をお願いします。


国際学会に参加する目的として、国外の学会と論文・発表の傾向を知りたく参加することを決めました。
早いうちに海外の現状を知ることはこれから研究論文を書く上で目的の目安になると考えたからです。
予想道理、思い切って参加して正解でした。まず、AMIAにおいて医療通信テクノロジー(HICT)のコンピュータと認知科学と社会科学に関した分野で自作の医療用救急救命携帯電話機Emergency Rescue Keitai(=Er Keitai)の研究位置について知りたかったのですが、当学会においてもタイムリーな研究であることがわかりました。
持参したポスターと論文で参加者と意見交換を行うことができました。
また、アメリカと日本では医療制度の仕組みが異なる事がよく分かりました。
しかしながら我が国の医療制度は全国末端までシステム化されておりそれ自体が優れており、医療のICT化は我が国に適しており効果的であるという事も再確認する事ができました。

Neuroscience 2008 Symposiumについては、我が国でも脳科学がマスコミからまたあらゆる専門分野で取り上げられていますが、世界最大といわれる国際学会における神経科学の先端の動向と分野の広がりについて知りたくて参加しました。
特にメディアインタフェースとヒトの生理機能について興味があったのですが、会場の数千のポスターの中に1つだけ私が当初にとりかかっていた研究とほとんど同じ内容の研究発表をみつけた時は「あっ!」と思いました。
両学会共に海外の研究者はまるで自分の趣味を話す様に楽しそうに、また気さくでユーモアもあり、説明をして下さいました。
海外では研究者の視点や発想、方法なども異なり大変興味深いものでした。
多国の学生や研究者と名刺交換等も行いました。
この両学会の参加はこれから論文を書く上で大変有意義なものになりました。

国際学会派遣公募の制度について感想をお願いします。


国際学会派遣公募の制度により学会への旅費を支援して頂きありがとうございました。
たいへん感謝しています。何分一応!女性ではありますので、海外での宿泊には旅費を上回る宿泊費用と、また一人では海外の道中が不安でしたので妹を伴ったため費用も重なりました。
私は入学前は情報教育の研究をし、学生に教えてきました。ネットワーク社会において世界中の情報をこの机から得ることができる現代ですが、ヒトが学習を生かすには、現場に赴いて直に五感で情報を得ることが大切であるという結論に至りました。
この度、この国際学会派遣公募の制度があったことにより、安心して海外の学会に出向き、世界の研究状況と研究者、その社会を私もまた五感で多くのことを感じとることができました。私のこれからの研究と動向に大変有意義なものとなりました。
また、この申請において多々の手続きに親切に支援して下さいました方々に心よりお礼申し上げます。
〜 ありがとうございました。〜