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ブルーベリーの葉から機能性食品 農学部発、ベンチャー企業が誕生!

1.連携のきっかけ・必要性

ベリーフ

 食品やその成分には、機能性(病気にかかるリスクを減らし、体調を整える作用)が存在しています。この連携は、今から10年前に宮崎県のさまざまな農産物が持つ機能性を調べる研究の中で、私たちがよく知るブルーベリーの「葉」に優れた機能性が発見されたことに始まりました(平成15年~20年度『宮崎県地域結集型共同研究事業』)。

2.具体的な研究内容

ブルーベリー ブルーベリーの実についてはさまざまな食品が流通していますが、葉を利用した食品は日本でも世界でも例がありません。全国有数の農業県である宮崎の地域振興においても大変注目され、宮崎県産業支援財団の協力のもと、10年近い歳月をかけて研究と商品開発が行われてきました。

 具体的には以下の3つについて産官学の連携による研究が行われました。

  1. 宮崎での栽培に適したブルーベリーの品種とその機能性の調査
  2. ブルーベリーの葉を効率よく栽培・収穫するための農業技術の開発
  3. ブルーベリーの葉を原料とした食品開発と普及

3.現在までに得られている成果

1.宮崎での栽培に適したブルーベリーの品種とその機能性の調査

 ラビットアイブルーベリーという品種が宮崎の風土に適していて、実験室レベルでは、以下のような優れた機能性を持っていることが明らかとなりました。

 抗脂肪肝作用、血圧降下作用、抗酸化活性、C型肝炎ウイルス複製抑制活性、がん細胞増殖抑制

2.ブルーベリーの葉を効率よく栽培・収穫するための農業技術の開発

葉の収穫 作物には、基本的な栽培マニュアルがあります。実を収穫するためのものは、ブルーベリーにもありますが、葉を対象としたものはありません。そこで、葉の収穫を目的としたお茶の栽培法にヒントを得て、宮崎大学農学部で超密植垣根仕立てによる栽培方法が確立されました。

3.ブルーベリーの葉を原料とした食品開発と普及

べリーフ 機能性の確認と栽培法が確立されたことを受けて、葉を原料として商品開発が行われた結果、お茶として加工することで、機能性を損なうことなく商品化することに成功しました。また、普及についても、宮崎大学発ベンチャー企業「なな葉コーポレーション」が設立され、『ベリーフ』という商品として流通が進んでいます

4.今後の展望

1.宮崎県の有力な農産物としての位置づけの確立

塩見まちづくり協議会 ブルーベリーの葉は、現在、問題となっている野生動物の食害の対象となりにくい点など、中山間地の農業の振興に有効な栽培植物としても注目されています。そこで現在は、県内を中心に生産者の増加に向けた支援を行っています。宮崎大学と包括協定を結んでいる日向市にある、塩見まちづくり協議会とは、実証ほ場での栽培を開始しました。

2.新しい商品の開発

 現在、ブルーベリー葉エキス末を利用した商品開発が進められています。今後は、さらに葉の機能性を活かした商品の開発研究に取り組んでいきます。

5.メッセージ・インフォメーション

 普及を担っている宮崎大学発ベンチャー企業「なな葉コーポレーション」の社名の『なな葉』は、ブルーベリー事業に深く関わる5名と事業を支援している2つの機関【宮崎大学・宮崎県】を合わせた『7(なな)』とブル-ベリーの『葉』にちなんだものです。

 今後も、連携の絆を強くし、この事業を推進していきたいと考えています。

6.関連リンク