宮崎県産ニガウリの脂質代謝調節作用
-大学、県の共同研究と企業との連携-
連携先:宮崎県食品開発センター、宮崎県農協果汁、株式会社宮崎県総合農業試験場
ニガウリは、古くから東南アジア諸国で糖尿病に効果が期待される食品として利用され、血糖低下作用に関する研究が世界的に行われてきました。宮崎大学ではこの作用に加えて、ニガウリのラット肝臓脂質濃度低下作用(肝臓に脂肪が蓄えられることを抑制する効果)を明らかにしました。宮崎県は沖縄県とともにニガウリの日本有数の生産地です。特に宮崎県では、健康志向の高まりから主要農産物としてニガウリの生産が著しく増大しておりました。このような背景から宮崎県食品開発センターとの連携がはじまり、『健康志向に対応したニガウリの高品位加工技術の開発』を産学官共同研究として行いました(平成16年~平成18年度『先端技術を活用した農林水産研究高度化事業』)。
宮崎大学では当時「宮崎こいみどり」という品種を用いて、ラット肝臓脂質濃度低下作用について調べてきました。しかし円筒形で苦味の強い「宮崎こいみどり」(写真)は市場性が低く、ほとんど栽培されなくなっていました。そこで、紡錘形で苦味が少なく宮崎県の主要品種となっている「佐土原3号」(写真)について検討を行い、果肉を凍結乾燥した粉末がラット肝臓脂質濃度低下作用を有することを明らかにしました。また、同様に宮崎県の新規育成品種である「宮崎N1号」、「宮崎N2号」、「宮崎N3号」および「宮崎N4号」についても同じ作用があることを明らかにしました。さらに、この作用が、宮崎県農協果汁株式会社で製造されているニガウリ搾汁液(全果搾汁方式でかつ加熱処理済み)においても発揮されることを明らかにしました。
以上の研究成果に着目した岡山県の備前化成株式会社が、宮崎産ニガウリ搾汁液を利用したエキス末を商品化しました。
今後も健康志向に対応したニガウリの加工品への利用拡大をはかりたいと考えています。
今後も産学官の連携を推進していきたいと考えています。