ニュース&イベント

宮崎大学と大学発ベンチャー企業「株式会社Smolt(スモルト)」の取組が STI for SDGsアワードの科学技術振興機構理事長賞を受賞 ~サクラマス循環養殖による温暖化対応種の開発とイクラの持続的生産~

1.受賞した取組

取 組 名:サクラマス循環養殖による温暖化対応種の開発とイクラの持続的生産

取組概要:世界的な漁獲量の増加や温暖化に代表される環境変化により、水産資源の確保および持続的な利用はSDGs目標14として掲げられ、大きな課題となっています。また、 日本は海水温の幅の広さによる大きな漁場があり、多様な魚種が存在しますが、その保全も課題となっています。 本取組では、本学農学部 内田 勝久教授と大学発ベンチャー企業「株式会社Smolt」(上野 賢 代表取締役/宮崎大学大学院農学工学総合研究科1年)が、海水温のモニタリング技術、種苗の形質評価技術、海水への馴致方法などの技術の組み合わせにより、宮崎県での淡水環境と海水環境を用いた循環養殖によるサクラマスの完全養殖手法を確立し、魚肉および魚卵の持続的生産を可能にしました。また、独自の選抜交配により、地球温暖化へ対応した品種の開発を進めています。 本取組により、既存の海の養殖ではオフシーズンとなる冬場でも設備をサクラマスの養殖に活用することができ、漁業版「二毛作」も可能となるほか、生産した魚卵 (イクラ)についてもブランド化に成功しています。

2.受賞理由

本取組は、天然物志向の強い日本において、天然物を保全し養殖へシフトする世界的な流れに沿った新しい息吹を感じられます。また、地域に根ざした独自の研究を事業化し、地元の生産者ともしっかりとしたコミュニケーションを取りながら、パートナーシップによって成果を出しています。加えて、養殖場を持たないファブレスな事業展開や、既存の養殖業の閑散期に当たる冬場の設備活用による生産性向上など、ビジネス戦略を明確にしている点、さらに、暑さに強い種苗の開発は、気候変動による海水温の上昇への対策としても期待できる点が包摂性、展開性やSTIの活用として、高く評価されました。水産資源の保全を目指すSDGs目標14だけでなく、気候変動に関する目標である目標13の達成につながる活動として、選考委員会において科学技術振興機構理 事長賞にふさわしいと判断されました。

授賞式は令和3113日に行われました。

3.「STI for SDGs」アワードとは

JSTが実施する、科学技術イノベーション(Science, Technology and Innovation STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取組を表彰する制度(2019年度創設)。本制度を通じ、当該取組のさらなる発展や同様の社会課題を抱える地域への水平展開を促し、SDGsの達成に貢献することを目的としています。(参考:https://www.jst.go.jp/sis/co-creation/sdgs-award/

・プレスリリース 2021.10.00

https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20211000_01_press.pdf

〇研究者データベース

内田 勝久  https://srhumdb.miyazaki-u.ac.jp/html/100000637_ja.html

宮崎大学発ベンチャー企業 株式会社Smolt(スモルト)

https://www.smolt.co.jp/

JST_ ポンチ絵.jpg


PAGE TOP