~池の水から鳥インフルエンザウイルスを検出~獣医学領域の山田 健太郎教授が國武久登 農学部長へ成果報告・意見交換会を行いました

令和7年10月21日(火)、宮崎日日新聞の朝刊に山田 健太郎教授(獣医公衆衛生学)の研究活動が掲載されたことを受け、國武久登 農学部長へ成果報告と意見交換を行いました。
宮崎大学農学部、産業動物防疫リサーチセンター、株式会社AdvanSentinel(大阪)でつくる共同研究グループの1年間にわたる調査で、渡り鳥が飛来する宮崎市内の池の水から鳥インフルエンザウイルスの「H5型」遺伝子を複数回検出できたことから、環境水を使って高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスをモニタリングできることが分かりました。
昨季も全国14道県の養鶏場でHPAIが発生し、県内でも2つの養鶏場で発生がありました。山田教授は、HPAIウイルスは大陸から渡り鳥によって毎年日本国内に持ち込まれるため、HPAI対策としてウイルスの侵入を早期発見し警戒することが重要だと話します。
そのために、これまでも渡り鳥飛来池でのカモ類の糞便を用いたHPAIウイルス侵入の早期発見を行ってきましたが、検出効率が非常に低いという課題がありました。今回は、2024年6月から2025年5月までの1年間にわたり、定点採取した環境水からDNAやRNAを高度に濃縮・精製する特殊技術を用いて得られた検体よりPCR検査を実施したところ、H5型遺伝子の検出に計4回成功し、H5型遺伝子が検出された時期には調査池から20キロほど北に位置する川南町の養鶏場でもHPAIの発生がありました。
今季もすでに北海道の養鶏場でHPAIの発生が確認され、県内でも日南市でHPAIによる野鳥(ヒドリガモ)の死亡が確認されています。今季について、研究チームは調査地を養鶏業の盛んな川南町にも広げていて、H5型遺伝子が検出された場合には、宮崎県を通じて県内の農家や養鶏業者に注意を呼びかける警戒アラートとして活用するだけでなく、アラートの有用性についても検証していくとの事です。
研究者データベース 山田健太郎: