佐々木 羊介 明治大学農学部 准教授

画像:佐々木先生の写真
  • 研究分野:畜産学分野
  • TT期間:H25.12.16~H30.12.15

明治大学農学部動物生産学研究室 -佐々木研

1.略歴

  • 2007年3月    明治大学農学部農学科卒業
  • 2009年3月    明治大学大学院農学研究科農学専攻博士前期課程修了 
  • 2010年4月    日本学術振興会特別研究員(DC2)
  • 2011年9月  明治大学大学院農学研究科農学専攻博士後期課程修了
    学位:2011年9月取得 博士(農学) 明治大学(纐纈雄三教授)
  • 2011年10月   (独)農研機構 畜産草地研究所 特別研究員
  • 2012年4月     日本学術振興会特別研究員(PD)
  • 2012年4月     宮崎大学農学部獣医学科 博士研究員
  • 2013年12月   宮崎大学テニュアトラック推進機構(農学系畜産学分野)

2.テニュアトラック期間中の研究分野と研究課題

  • 研究分野:農学系畜産学分野
  • 研究課題: 繁殖疫学の手法による産業動物の生産効率性および経済性を向上させる飼養管理の確立

3.研究内容紹介

生産現場において、産業動物における生産効率の低下は、単独ではなく複数の要因が相まって影響していることが多いため、問題点を正しく抽出することが非常に困難です。そこで、「繁殖疫学」という手法を用いて、産業動物の生産現場における問題点を広い視野から明らかにし、生産効率および経済性を向上させる飼養管理の確立を目指します。

これまではブタが主な研究対象でしたが、近年では生産現場や獣医師と連携し、ウシやニワトリに関する調査・研究も積極的に行なっています。ここでは、現在取り組んでいる研究テーマの中で2つのテーマについて紹介します。

疫学データベースを活用した「ハイヘルス養豚」の確立

昨今の厳しい養豚情勢に勝ち残るために、養豚農家は日々生産性の向上を求められています。生産性向上のためには、繁殖母豚の能力を最大限活かすことができる繁殖管理を実施することや、疾病リスクを軽減させるような衛生および飼養管理方法を確立することが重要です。しかし、生産現場において、自身の農家で起こっている問題を的確に把握する技術はいまだ不十分です。そこで、養豚生産農家にとって、現実的かつ即効性のある知見を得るために、農場の生産記録を広域的に一元記録する疫学データベースを構築し、そのデータベースを基に、各種の飼養管理が生産性に与える影響の定量化を行なっています。今後は、これらの分析結果から生産性や疾病リスクに関与しているリスク因子をより細かく特定し、全国のモデルとなる「安全・安心で収益性の高い養豚農場」を構築することを目標にしています。

黒毛和種牛繁殖農場における飼養形態の疫学調査および繁殖成績に及ぼす影響の定量化

産業動物において、動物を「群」としてとらえる疫学調査の手法は、ブタやニワトリではすでに実用化レベルに浸透していますが、「個体」管理が主であったウシにおいてはその認知度はまだ低いと言わざるを得ません。しかし、他の産業動物と同様に、ウシにおいても農家戸数の減少や一農場当たりの飼養頭数の増加が顕著に進んでおり、「群」としての疫学調査の重要性や必要性が認識され始めています。そこで、これまで培ってきたブタにおける手法を応用し、黒毛和種牛繁殖農場の飼養形態や繁殖成績を広域的に分析することで、これまでの「個体」管理からはわからなかった問題点を明らかにし、生産性を向上させることを目標に研究を進めています。

4.研究業績

 【着任前】

論文

 ※主要なもののみ記載。

  1. Sasaki, Y., Togunaga, T., Uemura, R., and Sueyoshi, M. 2013. An assessment of reproductive and lifetime performances of Kagoshima Berkshire gilts and sows. Animal Science Journal, In press. DOI: 10.1111/asj.12140
  2. Sasaki, Y., Takemura, Y., and Koketsu, Y. 2012. An assessment of four components of sow lifetime nonproductive days and lifetime performance on high-, intermediate- and low-performance commercial breeding farms. Journal of Veterinary Epidemiology 16:135-141.
  3. Sasaki, Y., McTaggart, I., and Koketsu, Y. 2012. Assessment of lifetime economic returns of sows by parity of culled sows in commercial breeding herds. Journal of Veterinary Epidemiology 16:37-45.
  4. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2012. A herd management survey on culling guidelines and actual culling practices in three herd groups based on reproductive productivity in Japanese commercial swine herds. Journal of Animal Science 90:1995-2002.
  5. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2011. Reproductive profile and lifetime efficiency of female pigs by culling reason in high-performing commercial breeding herds. Journal of Swine Health and Production 19(5):284–291.
  6. Sasaki, Y., Saito, H., Shimomura, A., and Koketsu, Y. 2011. Consecutive reproductive performance after parity 2 and lifetime performance in sows that had reduced pigs born alive from parity 1 to 2 in Japanese commercial herds. Livestock Science 139:252–257.
  7. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2010. Euthanasia for gilts and sows on Japanese commercial farms. Journal of Veterinary Epidemiology 14:124–129.
  8. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2010. Culling intervals and culling risks in four stages of the reproductive life of first service and reserviced female pigs in commercial herds. Theriogenology 73:587–594.
  9. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2008. Mortality, death interval, survivals, and herd factors for death in gilts and sows in commercial breeding herds. Journal of Animal Science 86:3159–3165.
  10. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2008. Sows having high lifetime efficiency and high longevity associated with herd productivity in commercial herds. Livestock Science 118:140–146.
  11. Sasaki, Y. and Koketsu, Y. 2007.Variability and repeatability in gestation length related with litter performances in female pigs on commercial farms. Theriogenology 68:123–127.

総説

1. Koketsu, Y., Sasaki, Y., Ichikawa, H., and Kaneko, M. 2010. Benchmarking in animal agriculture: Concepts and applications. Journal of Veterinary Epidemiology 14:105–117.

5.外部資金獲得実績

  •  日本学術振興会特別研究員奨励費,2012~2014年度
    「母豚および肥育豚に対する飼養管理や疾病状況と繁殖成績及び経済性との関連性」