地域の芽

地域の方とともに育てます

日南市×オリーブ栽培

"オリーブのまち"を目指して ~地域に適した品種を共同研究中

オリーブ

 2011年4月、日南市と日南市の農家が「にちなんオリーブプロジェクト」を立ち上げました。

 このプロジェクトは、2009年5月に開かれた、農学部・國武久登教授応用生物科学科)らが取り組む、オリーブ研究の成果発表会「オリーブの研究成果を聞く会」(宮崎大学 産学・地域連携センター主催)をきっかけに始まった取組です。

 オリーブは、「オリーブ・オイル」や「ピクルス」の材料となるモクセイ科の木の実です。日本では20世紀のはじめ、小豆島での栽培の成功をきっかけに国内での栽培が広がってきています。

 ここでは、これまでの宮崎大学と日南市のオリーブ栽培についての取組をご紹介します。

南九州でのオリーブ栽培の研究の始まり

 オリーブの実宮崎大学でのオリーブの研究は、國武教授が2007年にオリーブ20品種を導入し、自家不和合性(自身の花粉では受精できない現象)や不完全花の発生要因の解明について研究を始めたことに始まります。研究では、降雨量の多い南九州地域での品質のよいオリーブを安定して生産するために、栽培方法の工夫(雨よけ栽培)や南九州の気候風土により適応した品種の選抜などに取り組んできています。

 これまでの研究によって、オリーブが実をつけにくい(着果不全)の原因とその有効な対策を明らかにしています。また、雨よけ栽培によって、実がつきやすくなるとともに、オレイン酸含量が高まり品質の良いオリーブの生産ができることも解明しました。

 また、國武教授らはオリーブの果実が持つ独特の苦みが、鳥獣被害を受けにくい可能性に注目し、こうした被害地域で安定して生産可能な将来性の高い果樹となることも提案しています。

地域一体となってオリーブに注目

みやざきオリーブオイルセミナーの写真01 日南市は、農家の高齢化が進み、離農者の増加とともに耕作放棄地が拡大しています。またサルによるミカンの被害にも悩まされていました。こうした中、宮崎大学でのオリーブ栽培の研究の情報を得て、鳥獣被害を受けにくい可能性の高いオリーブをミカンに代わる有力な作物として位置づけることにしました。

 地中海原産のオリーブは、雨の少ない気候を好むため、降水量が多く、台風対策も必要な南九州に位置する日南市の場合には、気候風土に適した品種や栽培方法の研究が必要でした。しかし、宮崎大学との共同研究によって、これらの課題を克服しつつあります。

みやざきオリーブオイルセミナーの写真02 こうした中、日南だけでなく宮崎県内にもオリーブ栽培が注目されるようになり、2010年秋には、宮崎大学の産学・地域連携センターが、オリーブから生まれる新たな産業創造のきっかけを狙い、産学官関係者を対象とした「みやざきオリーブオイル研究会」ならびに一般の方を対象とした「みやざきオリーブオイルセミナー」を開催しています。

 2011年4月には、日南市はオリーブの実証栽培を開始しています。3カ年計画で地元の気候に適応できる品種を探すため、プロジェクトの会員農家が12種803本のオリーブを栽培しています。

 通常、オリーブの実の収穫には5年以上を要しますが、2012年秋には、農学部内に植え付けしたオリーブの木、7本が初めて果実を実らせ、手のひらいっぱいの収穫をすることができました。

 「にちなんオリーブプロジェクト」に関わるひとびとは、2013年秋の収穫期に向け期待を寄せています。プロジェクトは、オリーブの生産のみならず、加工・流通を含む第6次産業化、観光資源化、オリーブオイルの機能性を生かした市民の健康増進なども視野に入れ、現在進行中です。

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