地域の芽

深見裕伸先生の写真深見 裕伸
農学部
海洋生物環境学科
准教授
共同研究・特許・応用分野など
  • サンゴの分類、進化、生態、保全に関する研究に取り組んでいます。
    【特許】なし
    【共同研究】サンゴの雑種に関する研究
田岡先生の写真田岡 洋介
農学部
海洋生物環境学科
准教授
共同研究・特許・応用分野など
  • 未利用水産資源の利活用、微生物の有効利用などの研究に取り組んでいます。
    【特許】酵素の製造法(特願2007-201014)
    【共同研究】微生物製剤を用いた養殖試験
安田仁奈先生の写真安田 仁奈
農学部
海洋生物環境学科
助教
共同研究・特許・応用分野など
  • 海洋生物の種分化やサンゴ礁保全に関わる研究に取り組んでいます。
    【特許】なし
    【共同研究】海洋の分子生態、初期生活史に関わる研究

研究テーマ

宮崎が誇るサンゴの保全と活用
連携先:宮崎県・串間市・日南市他

研究概要

1.連携のきっかけ・必要性

 サンゴ礁形成に重要な役割を果たしている造礁サンゴ、このサンゴには沖縄というイメージがありますが、実は宮崎県沿岸にも多くのサンゴが生息しています。特に、延岡市島野浦島周辺、日南市大島周辺、串間市沿岸となります。日南から串間までの日南海岸はその海中の景観の素晴らしさから国定公園にも指定されています。これまで地元のダイバーが観光資源として活用していましたが、その存在も価値もほとんど地元の人々には知られていませんでした。しかし、2011年に串間周辺でサンゴを食べるオニヒトデが大発生したこと、さらにオニヒトデの大発生したすぐ近くの都井岬沖で九州最大級のサンゴの大群落が発見されたことがきっかけとなり、宮崎大学農学部海洋生物環境学科、串間市、漁協、ダイバーが協力してこのサンゴの大群落および周辺海域の調査を開始しました。その中で、サンゴが観光だけでなく、生物の多様性さらには水産にとっても重要であることを少しずつ周囲の人々に周知していったところ、ついに2013年7月に、サンゴの保全と活用を議論および実行する場として、宮崎県、串間市、日南市、漁協、ダイビング協会、宮崎大学などが参加する「日南海岸サンゴ群集保全委員会」が発足しました。

サンゴとオニヒトデ
2.具体的な内容

 都井岬沖のサンゴの大群落および日南市大島周辺海域のサンゴ群集について、サンゴの被度、種組成、周辺海域の生物(特に水産有用種)の種類、オニヒトデの被害状況、水質などを大学が主体となり調べています。また、串間市周辺海域でのオニヒトデ駆除についても2012年まで串間市、ダイバー、大学が協力して行っており、2013年からは日南海岸サンゴ群集保全委員会の活動として行っていく予定です。また、宮崎県にサンゴが生息しており生態系に非常に重要な役割を果たしているということを住民に周知することを目的として、これまで大学が主体となり宮崎市と串間市において市民向けのシンポジウムを行ってきました。これは今後も継続して年1回程度行っていく予定です。

シンポジウムと研究調査
3.現在までに得られている成果

 宮崎県の日南海岸には沖縄にも引けをとらない多くのサンゴと非常に貴重なサンゴ大群落が存在していることが明らかとなってきました。また、サンゴはこれまでどちらかといえば漁業者にとって邪魔者扱いでしたが、サンゴがいることで周辺海域の生物(水産有用種も含む)が多様になり、観光だけではなく、漁業にとっても重要であることが分かってもらえるようになってきました。また、シンポジウム開催などによって、サンゴの知名度が上がってきているように感じています。その一方で、オニヒトデの大量発生によりサンゴが減少している現状があるのですが、官民一体となりサンゴの保全のため、オニヒトデ駆除活動を行うことが決定したことも大きな進展です。

4.今後の展望

 まず、オニヒトデの大発生を止めなければサンゴはいずれ無くなってしまう恐れがあります。サンゴは、幼生が他の場所から移入してそれが3~5年ほどかけて成長します。そのため、一度完全に無くなると元に戻るにはどれほどの年月が必要になるのか想像もつきません。このことから、オニヒトデの駆除を継続して行っていく必要があります。加えて、この大量発生と人間活動の関係性なども明らかにできれば良いと考えています。また、守られたサンゴをどのように活用していくのかも今後の課題です。観光と水産の双方にとって、サンゴを傷つけることなく、うまく活用してくことが求められます。さらに、一般市民の方々にサンゴをより深く知ってもらうために、実際にサンゴを観察するための教育プログラムを始めることも思案中です。

メッセージ・インフォメーション

 日南海岸におりると、潮が引いていれば、歩いていける場所でサンゴを直接目にすることができます。岩場にある少し深めの潮だまり(海水が残っている窪み)を観察してみてください。小さなテーブルサンゴなどが岩に張り付いています。沖縄に行かずともすぐそこにサンゴがいるという、この素晴らしい宮崎の海を是非直接実感してほしいと思います。

関連リンク

その他の研究紹介、卒論・修論紹介