ニュースリリース
2024年05月31日 掲載
髄膜腫は脳に発生する腫瘍の中で最も多い脳腫瘍で、およそ3分の1を占めています。また、髄膜腫は硬膜に強固に接着した、くも膜細胞から発生し、25%~50%の症例で周囲の骨に影響を与え、骨肥厚などの変化を引き起こすことが知られています。
髄膜腫のほとんどは良性で、腫瘍内に石灰化の見られる場合は増殖が遅いため、腫瘍が拡大しないのが一般的です。一方で、悪性の非定型髄膜腫や退形成性髄膜腫には石灰化が見られず、頻繁に再発するため、外科的治療以外の補助療法が必要となります。
補助療法で効果が認められているものは放射線治療しかなく、摘出困難例や放射線照射の効果がない症例では、次に選択できる治療法がありませんでした。
宮崎大学医学部医学科(臨床神経科学講座脳神経外科学分野)の横上聖貴の研究グループは、良性の髄膜腫では石灰化が起こることがあり、その場合は増殖が抑えられることに注目。骨形成や石灰化に関わるBMP(Bone Morphogenetic Protein:骨形成蛋白)シグナルを制御することで、悪性髄膜腫の増殖を制御し、石灰化を細胞老化によって誘導できること、そしてその過程でアミノ酸(トリプトファン)代謝の再編が関与していることを世界で初めて証明しました。
本研究結果は、再発を繰り返す悪性髄膜腫に対する、新たな治療標的と化学療法を提案するものとして、国際的な科学誌『Journal of Neuro-Oncology (2024) 167:455-465』に掲載され、表紙として採用されました。
▽詳細はこちらから▽・プレスリリース 2024/5/31https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20240531_02_press.pdf
【原論文情報】掲載誌:『Journal of Neuro-Oncology (2024) 167:455-465』タイトル:Inhibition of BMP signaling pathway induced senescence,and calcification in anaplastic meningioma著者名:Kiyotaka Yokogami 1 · Takashi Watanabe 1 · Shinji Yamashita1 · Asako Mizuguchi1 · Hideo Takeshima1DOI:https://doi.org/10.1111/ejn.16183
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