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【研究紹介記事】脱炭素、脱石油を目指して:海洋微生物からバイオ燃料、バイオプラスチック、高機能素材への応用研究

農学部海洋生物環境学科の林雅弘教授は30年以上、ユーグレナ(微細藻類、いわゆるミドリムシの仲間)やラビリンチュラ(海洋微生物で、珪藻や褐藻に比較的近縁な菌類様の単細胞生物)を用いて、水産養殖用の飼料の生産やバイオ燃料の生産に関する研究を行っている。

特にラビリンチュラでは、バイオ燃料やバイオプラスチック、魚粉/魚油代替飼料原料などのアプローチから、林教授の主導のもと、4つの大型プロジェクト(NEDOプロジェクト、環境省SAFプロジェクト、環境省バイオプラプロジェクト、農水省飼料プロジェクト)が進行中である。

さらに、林教授は、研究の傍ら2つの企業の設立にも大きくかかわっている。2021年12月に設立された株式会社ユーグリード(愛媛県四国中央市)および2022年3月設立の株式会社ラビリンチュラ(宮崎県宮崎市)である。現在、林教授は、これら2社に海洋微生物の株の提供や培養などの根幹技術の提供を行いながら、共同研究を行っている。

株式会社ユーグリードでは、豊富な栄養を持つユーグレナの培養や関連製品の開発、さらにパラミロンという高度な結晶構造を持つ多糖類を用いたバイオプラスチック、パラミロンから生成されたナノファイバーなどを開発している。一方、株式会社ラビリンチュラは2022年3月に設立したばかりの会社であり、ラビリンチュラがバイオディーゼル用の脂肪酸やDHAなどの必須脂肪酸を産生する能力を持つことから、バイオ燃料やバイオプラスチック、魚粉の代替飼料などの開発を行っている。

現在、世界では脱炭素や脱石油が主流となり、今後ますますバイオ燃料やバイオプラスチックの需要が高まることが予想されている。その一方で、日本国内ではいまだ事業化が遅れており、世界から取り残されつつある。そのため、林教授のこれら一連の研究は今後も発展してくことが予想される。今後の研究に注目したい。

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△林教授

▼海洋生物環境学科
林 雅弘 https://www.miyazaki-u.ac.jp/fishery/staff/#a03


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