2023.03.03 掲載
宮崎大学延岡フィールドの緒方悠輝也さん(農学工学総合研究科)と村瀬敦宣准教授(海洋生物環境学科)らの研究チームが、これまで日本では分布が知られていなかったアジ科の魚類を、宮崎県門川湾と沖縄県から入手し報告しました。論文は日本動物分類学会の国際誌であるSpecies Diversity誌に掲載されています。
本種はアジ科イケカツオ属に属する熱帯性の魚で(学名:Scomberoides tala)、これまでインド・太平洋地方(南アフリカ東岸、パキスタン、インド、ベンガル湾、オーストラリア、タイ湾、南シナ海)などで分布が知られていました。
2021年11月に門川湾で定置網漁業を営む漁師・和田正昭さんによって採集され、延岡フィールドの研究室に持ち込まれました。和田さんはこれまでも数多くの珍しい魚を採集している、非常に魚に詳しい方です。
結果として門川湾で得られた個体に対し、「アキイロイケカツオ」という標準和名が命名されました。
秋に採集されたことや、本種は他のイケカツオ属魚類に比べてひれや体が黄色からオレンジ色になるため、秋の紅葉を連想させることからこの和名が提唱されました。
図1:門川湾で得られたアキイロイケカツオ。背びれや尾びれが黄色みがかる。緒方悠輝也さん撮影。
図2:獲れた直後。上がイケカツオで下がアキイロイケカツオ。和田正昭氏撮影。
近年門川湾をはじめとする宮崎県の沿岸では、分布が北上してきたと考えられる数多くの魚類が採集されています。今後も日本で未確認だった海の生き物がまだまだ発見される海域だと思われますので、見たことのない生き物がいましたら是非宮崎大学延岡フィールドまでご連絡ください。