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2025.01.15

農学研究科海洋生物環境科学コース修士課程の学生と教員の研究グループの研究結果が国際学術雑誌に紹介されました

~宮崎県産「メヒカリ」の季節による栄養成分の変化~

農学研究科海洋生物環境科学コース修士課程1年生の堀江崚平さん、今川 匠さん、農学部海洋生物環境学科の内田勝久 教授・田岡洋介 教授・田中竜介 教授の研究グループは、宮崎県の特産物である「メヒカリ」の化学成分を1年間分析した結果、5-6月の禁漁期が終わった後の夏期が栄養成分や旨味成分が高いことを明らかにしました。

研究紹介 図.jpg

「メヒカリ」は宮崎の特産物で、唐揚げや天ぷらなどに調理され、骨ごと食べる食材として知られています。骨ごと食べるため人間の骨形成に必要なカルシウムを多く摂取することが期待できます。この「メヒカリ」については、5-6月は産卵期間であることから資源保護の観点から禁漁期間に定められています。これまでの研究例では、ある時期の栄養成分のみを評価した報告はありますが、1年間を通して化学成分の分析を行った報告はありませんでした。

研究グループによる分析の結果、禁漁期間後の夏期は水産物に多く含まれるEPADHAなどの高度不飽和脂肪酸、旨味成分であるイノシン酸、機能性イミダゾールジペプチドであるアンセリン含量が高いことが明らかとなりました。また、カルシウム含量については年間を通して変化は見られないものの、他の骨ごと食べる魚や高カルシウム食品に匹敵する含量であることが明らかとなりました。

本研究によって宮崎の特産物である「メヒカリ」は、栄養成分が豊富であり、夏期に旬を迎えることが明らかとなりました。さらに資源保護の観点から行っている禁漁期間は、持続的な水産業の推進に限らず、食材としての品質の向上にも関係していることが言えます。この研究成果を宮崎県産の「メヒカリ」の消費拡大に向けた一つの情報として参考にしていただければと考えています。

本研究成果は20241226日に国際学術雑誌Journal of Food Composition and Analysis のオンライン版で公開されました。

▽詳細はこちらから▽

【論文情報】

Horie R, Imagawa T, Uchida K, Taoka Y, Tanaka R. Effect of seasons and fishing ban period on umami-related and functional components of greeneye (Chlorophthalmus albatrossis) from Japanese coast. Journal of Food Composition and Analysis 139:107163 (2025).

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889157524011979?via%3Dihub

・研究者データベース 田中竜介 https://srhumdb.miyazaki-u.ac.jp/html/100001000_ja.html