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2025.07.22

応用生命化学コース 植物生理学研究室の学生による研究成果が国際的な植物科学雑誌に掲載されました!

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応用生命化学コース・植物生理学研究室の学生による研究成果が、Oxford University Pressが発行する国際的な植物科学雑誌「Plant and Cell Physiology」に掲載され、オンラインで公開されました。これは、米田幸誠さん(R6.3修了)の修士論文研究による成果です。

葉緑体における光合成CO2固定反応は、地球上の生命を支える最も重要な化学反応のひとつです。人類による化石燃料の使用により大気CO2濃度が上昇していますが、現在のCO2濃度は多くの植物が分類される「C3植物」にとっては十分ではなく、植物の多くはCO2不足の状態で光合成を行っています。施設栽培で用いられる「CO2施肥」は、植物にとって実際に大気CO2濃度が十分ではないことを示す好例です。

今回の研究では、CO2不足の際に植物細胞内で起こる変化を調査しました。まず、シロイヌナズナが低CO2条件下でサリチル酸(SA)を高蓄積することを見出しました。さらに、突然変異体を用いた解析により、蓄積したサリチル酸はイソコリスミ酸合成酵素を介して合成されていることも明らかにしました。このサリチル酸の蓄積は低CO2条件下での光合成関連遺伝子の発現抑制を引き起こすこと、さらに細胞死関連遺伝子の発現を調節することも明らかにしました。

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以上の結果は、植物ホルモン・サリチル酸が植物の低CO2応答において重要な役割を果たすことを明らかにしました。

論文:Role of salicylic acid in low CO2 response in Arabidopsis.
著者:Kosei Yoneda, Susumu Uehara, Takakazu Matsuura, Izumi C. Mori, Yasuko Ito-Inaba and Takehito Inaba
掲載誌:Plant and Cell Physiology, pcaf052
論文へのリンク:https://doi.org/10.1093/pcp/pcaf052