平成21~23年度の取組み

 平成24年5月に提出した『大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム 事業結果報告書』より抜粋して、平成21~23年の取り組みを要約します。

大学等名 宮崎大学
取組名称 自主を促す工学技術者キャリア教育
取組期間 平成21年度~平成23年度 (3年間)
取組学部等 工学部 取組担当者 松下 洋一
Webサイト http://www.miyazaki-u.ac.jp/tech/sce/
取組の概要  学生がキャリア学習に自主的に意欲的に取り組めるように、キャリアプランシート、履修成績のポートフォリオ(履修カルテ)、およびキャリア学習履歴証明(キャリア・ディベロップメント証明書)など支援システムを整備する。工学デザイン実習、長期インターンシップ、補習授業、自主学習グループ形成、資格支援公開講座、工学技術者知識講座、企業インタビューなど多様な学習プログラムを用意して学生の能力向上を支援する。

1 取組の実施状況等

(1) 取組の実施内容について

1) 学生の自主的なキャリア形成を支援するシステムの構築
 平成21年度にストリーミング配信e-ラーニングシステムを導入して講義コンテンツを収集して、学生がいつでも視聴できるようにしました。キャリアプランシートを順次試行・改良して完成させた。平成22~23年度のシステム開発はキャリア教育事業推進委員会の下にワーキンググループ(教職員9人)を組織して行いました。平成22年度にキャリア・ディベロップメント証明書発行システムを開発し、平成23年度から実際に発行しました。平成23年度に学生が成績を自己点検できる履修カルテシステムを開発しました。これらを合わせてキャリア支援システムとして完成できました。平成24年度から学生が自らの成績を見て自己評価できるように運用を始めています。
2) 自主を促す工学技術者キャリア教育の取り組みプログラム
  1. 社会性・責任感や専門能力を育てるキャリア教育を目的に、企業で必要な心構えや知識を学ぶ工学技術者知識講座を毎年度開講し、通算5講座(1講座で90分間×3~4講義)に331人[66人(8.9%)/講座]が参加しました。知識講座はe-ラーニングシステム“メディアサイト”にストリーミングコンテンツとして収録・配信して“いつでもどこでも自主学習”できるようにしました。
     さらに、野外体験型チームワーク研修“ビジネス・シミュレーション・ラリー”も実施し、平成22年度47人(6.4%)及びH23年度36人(4.9%)が参加しました。
  1. 平成22年度から国家資格を目指す資格取得支援公開講座(2、3年生対象)を開講し、平成22年度は3講座で64人(8.6%)、また平成23年度は5講座で123人(16.6%)が参加しました。
  1. 企業体験の取り組みとして、4年生対象の長期インターンシップ[平成22、23年度; 4年生各1人参加(0.3%)]と企業インタビュー[平成22年度;1,2年生10人(1.4%)が3チームに分かれ3企業にインタビュー]を実施しました。
  1. 各学科の教員10名程度(教員数92人に対して10.9%)とTA数十名により正課外活動として夏休み・冬休み期間に主に1,2年生を対象に工学デザイン実習を実施して、3年間で152人(51人/年、1,2年生740人に対して6.9%/年)が参加しました。
  1. 平成22年度から専門基礎力を高めたい学生を募って、数学(22年度32人、23年度35人)と化学(22年度11人、23年度7人)で学習グループを形成し、学生による自主学習と教員による演習解説指導を行いました。
  1. 平成23年度には、エクササイズ体験コミュニケーション・スキル講座(11~13人)も実施した。
  2. 課題探求能力やデザイン能力を伸ばすため、平成21~22年度で2つの基礎実験と6専門実験の改良を行いました。
  3. 優れた基礎力を身につける学習支援として、推薦入学者に入学前教育として数学添削学習[数学教員と添削TA・SAで担当、全員対象で70~95人)と数学・物理の入学後補習授業(数学教員と非常勤講師で担当、15~50人参加)を毎年度行いました。
  4. 推薦入学予定者に対して毎年度2月に物理学基礎実験体験教室を開催し、24~29人が参加しました。
工学技術者知識講座 工学デザイン実習
工学技術者知識講座 工学デザイン実習
野外体験型チームワーク研修“ビジネス・シミュレーション・ラリー” 企業インタビュー
野外体験型チームワーク研修
“ビジネス・シミュレーション・ラリー”
企業インタビュー
3) キャリア教育のFD研修
 宮崎大学専門職・技術者倫理ワークショップを毎年度開催し、学内外から20~40名(学部教員に対して約20~40%)の教員・技術者の参加を得ました。また、学外で行われる教育研修・フォーラムに毎年度3~6人程度の教職員を派遣しました。

(2) 社会への情報提供活動について

 平成21年度に自主を促す工学技術者キャリア教育(SCE)プログラムのホームページを立ち上げ、学内外から閲覧できるようにしました。また、SCEプログラムの紹介パンフレットを作成し、学生へ配布すると共に各高校へも送付しました。講義棟2階にSCEプログラム専用の掲示板を用意してSCEプログラムポスターとお知らせを掲示すると共に、個別の取り組みの参加案内チラシを配布しました。また、パンフレットも新たに作成し、大学教育改革プログラム合同フォーラム等で配布しました。さらに、大学の秘書広報課等がプログラムをマスコミにPRし、取り組み内容の新聞報道(2件)やテレビ報道(1件)に繋げることができました。平成21年度成果報告書、平成22年度成果報告書および平成21~23年度(3カ年間)報告書を作成し、大学教員および県内企業関係者に配布して実施内容を周知しました。

 学内FD研修会や学外での教育講演会・フォーラムでSCEプログラムの取り組み内容を計5回発表し、学内外に周知できました。

(3) 取組の成果

1) 取り組みの目的と目標の達成について
申請時の取組の目的と達成目標は以下のようなものでした。
【目的】
 自らの学習目標を設定し、自主的に学ぶ意欲を育て、体験を通して工学技術的センスを磨き、技術者としての幅広い知識と社会性を持ち、将来は社会で中心的な役割を担う高度専門技術者を育成するキャリア教育を実現することである。
【達成目標】
 正規授業と課外授業・活動とを組み合わせた複数のキャリア教育プログラムを実施して、「学生が本気で学び、社会で通用する力を身に付ける」教育課程を実現する。具体的には、学生が「(1)生涯を通じて持続的に学ぶ姿勢を持ち、(2)実習・実験で課題探求の姿勢を十分身につけ、(3)専門知識と共に企業で必要な周辺知識を持ち、(4)倫理観や社会的責任の意識を有し、(5)コミュニケーションやチームワークの能力を持ち、さらに(6)積極的で自発的な行動ができる」ことを達成目標とする。

 達成目標の(1)では、キャリア支援システム(キャリアプランシート、履修カルテ、キャリア・ディベロップメント証明書)で自主・自律の学習姿勢を形成できるように支援しました。(2)は、基礎・専門実験の改良と工学デザイン実習の実施で姿勢を形成できました。(3)と(4)は、工学技術者知識講座、資格取得支援講座、企業インタビュー、長期インターンシップで、また(5)は、工学デザイン実習、企業インタビュー、工学技術者知識講座の野外体験型チームワーク研修、コミュニケーション・スキル講座など実習の取り組みで実現しました。(6)では、キャリア・ディベロップメント証明書発行で動機づけと目標意識を高め、資格取得支援講座や自主学習グループで学習目標を定めた自主学習を可能にしました。

 このように複数の取り組みを行うことで、継続参加する学生に「学生が本気で学び、社会で通用する力を身に付ける」ことを実現できたと考えています。

 さらに、学生が学業成績の自己評価・管理を行え、クラス担任が履修指導に使える履修カルテシステムと学生のキャリア形成履歴を管理するキャリア・ディベロップメント証明書システムとで、学生の知識・能力の向上を支援・指導することが可能になりました。

2) 取組の成果を示すデータ
 平成23年度工学デザイン実習テーマGで行ったアンケートで、「工学デザイン実習に参加して良かったか」に35人中34人が、「SCEプログラムの取り組みは良いと思うか」に33人が、また「キャリア・ディベロップメント証明書を自分も発行してもらいたいか」に34人がそれぞれ「そう思う」と回答しました。工学技術者知識講座でも毎回アンケートしていますが、ほとんどの学生が有意義で興味深い内容であったと答えています。
 平成23年度に企業の採用担当者に行ったアンケートでも、SCEプログラムでのキャリア形成学習の取り組みに10社中10社が「そう思う」と肯定的に回答しています。
 資格取得支援講座を受講して国家資格試験を受験した学生の中から合格者がでています。その実績は、平成22公害防止管理者(水質)第1種2人及び第4種6人、平成22環境計量士1人、平成22電気主任技術者第1種1人及び第3種2人、平成23危険物取扱者甲種10人及び乙4種1人でありました。

2 キャリア教育事業成果報告書

平成21年度(PDFファイル)
平成22年度(PDFファイル)
平成21~23年度(PDFファイル)

3 最終報告会・外部評価委員会(議事録・報告書)および事業結果報告書

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