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《後編》とりあえずやってみる!宮崎には応援してくれる大人がいる!

2021.5.28
一般社団法人つの未来まちづくり推進機構
川越大輝さん(集合写真左から2人目が本人)

若者が新しいことにチャレンジできる土壌をつくる

「都農の方たちは意見をストレートに言ってくれるから好きです」と笑顔を見せる川越さん。ダメなものはダメと率直に言ってくれる、そんな間柄が新鮮だと言います。本音が言い合える関係だからこそ、新しいことにチャレンジしやすい雰囲気があるようです。

4月にオープンした「つの若者Bar」。これは、つの財団の拠点となっている多世代交流サロン「文明:BUNMEI」で営業しているもので、毎週水曜日のみ開店する35歳以下の若者向けのBar。お酒が好きな川越さんが考案した都農産のきんかんで作るジントニックや本格的なフードメニューを味わうことができます。(新型コロナウィルスの感染状況により休業の場合あり)

あえて若者だけを対象としたこのプロジェクトには、川越さんの強い思いがありました。
「まずは若者が気軽に集える場所を作りたかった。それに、なにかやりたいけれどアクションの方法がわからない、という若者がいる。そんな人たちといろいろな情報をシェアできれば、宮崎ならではの若者による発信ができると思いました」。

BUNMEI外観

地元住民と移住者が混じり合って創る、まち。

川越さんは、移住者が増えている都農町や宮崎県にあっては、移住者と地元の人たちそれぞれの視点が活かされたまちづくりが重要と考えています。
「移住者だけが考えるのではなく、地元住民だけが考えるのでもない。双方の違った視点を理解して活かしていくことで、宮崎にフィットしたまちづくりが実現できると思います」。
そのために実践しているのが「つの若者会議」です。町をよくしていきたい若者が自発的に集まり同会議を結成。デジタル推進を進める同町の施策に協力したり、デジタルを活用した町の未来について議論したりしています。

つの若者会議で新しいつながりが生まれている

とりあえずやってみる!宮崎には応援してくれる大人がいる!

大学進学を機に県外に出た川越さん。宮崎に戻らないという選択肢もあった中、24歳にして帰郷を決めた最大の理由は何だったのでしょうか。

「第1に都農での仕事です。都農町は人口1万人の町。全国に1700ある自治体のうち、その1/3が1万人未満です。だから、ここでのまちづくりは全国に広げていけるモデルケースになるのではないかと思いました。加えて、宮崎には若者のチャレンジを応援してくれる大人が多い。そういう風土に後押しされました」と実感を込めて語ってくれました。

「自分が何か新しいことを始めたいとき、自由にやらせてくれる先輩方がいる。自分が行き詰まったとき、解決のアドバイスをくれる方を紹介してくれる。それらはネットで検索しても決して出てこないリアルな情報です。若者にはスキルがあるわけではない。だけど、そんな地元の若者を支えて応援してくれる大人が圧倒的に多い。それは宮崎ならではの魅力だと感じています」。

いつもアドバイスをくれるというつの財団理事の山内氏(左)と

80歳のおばあちゃんが作るお弁当を目指して

これから進路を決める高校生や大学生にアドバイスするとしたら?との問いに川越さんは「とりあえずやってみる!」と即答してくれました。将来に不安があったら、それを周りの人に素直にさらけ出すことも大事。そのうえで、とりあえずやってみることが一番大切ではないかと。「宮崎に帰ってくることに迷いがなかったといえばうそになる。だけど、やってみないと分からないことはとりあえずやってみる。そのおかげで、今、自分が仕事をしている意味がこれまで以上に分かった気がします」。

川越さんの目下の目標は、都農町が推し進めるデジタル化に携わりながら、地域や年代での情報格差をなくすという、いわゆる「デジタルデバイド」の解消です。地方にいて選択肢が狭まる状況は作ってはいけないと意気込みます。「コロナ禍で地方回帰の機運が高まる中、ICTを活用したうえで、地方に住む我々自身が地方の価値を理解することが必要。そうすることで宮崎はもっと元気になるのではないでしょうか」。

最近一番感動したのは、仕事で知り合った80歳のおばあちゃんが作ってくれたお弁当。「余分に作ったから取りにおいで」と相手に気を遣わせない配慮もかっこいいし、味は感動もの。「おばあちゃんのお弁当のように、自分はデジタルを使って様々な人たちと心地よくつながっていきたい。10年後、地元住民や移住者、老若男女が混じりあう、宮崎ならではのまちづくりを担える人材になれたら。もちろん、おばあちゃんのお弁当の域に達するのはまだまだ先ですが(笑)」。川越さんの挑戦は始まったばかりです。

分かりやすい言葉と笑顔で情報を届ける

文:黒木 順子 Kuroki Junko