宮崎大学
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令和5年度宮崎大学入学式告辞(令和5年4月3日)

告辞

 新入生の皆さん、入学おめでとう。

本日、1,369名の新入生を迎えることができました。

新入生を前に、直接、告辞を述べることができ、とても喜ばしく思います。宮崎大学を代表して、心から歓迎いたします。

一方、新型コロナウイルスの影響を受けて、家族の皆様をはじめ関係者の皆様には本会場での参加をご遠慮いただきました。会場で直接、お慶びの言葉を伝えることが出来ず、とても残念に思います。この場を借りて、あらためて、心からのお祝いを申し上げます。

ここで少し、宮崎大学を紹介します。本学の歴史は古く、明治17年に設立された師範学校にまで遡ります。現在の教育学部の前身です。その後、大正13年には宮崎高等農林学校が設立され、後に農学部になり、昭和19年には宮崎高等工業学校が設立され、現在の工学部に引き継がれています。そして昭和49年設立の宮崎医科大学が現在の医学部です。平成28年には地域資源創成学部が加わり、現在の5学部、7研究科を擁する総合大学となりました。

このように宮崎大学は約140年の長い歴史を持っています。この間、宮崎に根を張り、枝を伸ばして、宮崎と共に発展してきた大学です。われわれのスローガンは「世界を視野に 地域から始めよう」です。このスローガンのもとに、地域社会との連携を強固にして、教育、研究、地域貢献、国際貢献を展開しています。そして、その成果を世界に向けて発信する大学でありたいと考え、学生と教職員が一丸となって日々努力を重ねているところです。皆さんは、本日ここに、宮崎大学の歴史の1ページに加わったことになります。

宮崎大学には木花キャンパスと清武キャンパスがあり、さらには県内各地に広がる実習フィールドがあります。そこでは優れた研究と教育を展開している教授陣に出会うことができます。ウィズ・コロナ時代となり、大学に本来の姿が戻りつつある今、素晴らしい研究者や教育者との出会いを求めて、自分から積極的に活動し、色々なことにチャレンジして下さい。そして生涯の財産となる知識や技術を身に付けるよう努力してください。

さて、ここに集まった皆さんは、コロナ禍の中で勉学に励み、大学入学という栄冠を勝ち取りました。その努力に心から敬意を表します。この貴重な体験を、今、しっかりと記憶に刻み込んでください。これからの大学生活の中で、必ず役に立つ時がきます。大学生活では新たな事柄にチャレンジすることになります。そして大学は、失敗の中から重要な事柄を学ぶところです。失敗に挫けそうになった時に、コロナ禍で大学入試にチャレンジし、努力し、入学を勝ち取った経験が役に立ちます。

ここで、大学生活で是非身につけて欲しい3つの心掛けを示します。

一つは本当の学問の素晴らしさ、奥深さに感激して欲しいということです。これはWebで簡単に得られるものではありません。学問の長い歴史と伝統に裏打ちされた、本物のサイエンスの楽しさ、美しさは大学でこそ実感できるものです。

本物の学問は、先人達が積み重ねてきた努力の上に築き上げられています。大学の教授達は、その大きな学問体系の中から、特に重要な基本的な知識と、最先端である研究のフロントラインを示してくれます。自分達が今、どこに立っているのか、どこに向かおうとしているのか、本物の学問の中から掴み取って下さい。この学問の伝統の中に自分の足跡を残したい、と切望する若者が出てくれば、宮崎大学の将来を、そして日本の、世界の将来を担ってくれることでしょう。それこそ、教授冥利に尽きる、というものですし、我々の願いの一つでもあります。是非、チャレンジして下さい。

二つ目は、友人を求めることです。人生に一度や二度は必ず友人の言葉や思いやりに救われる場面があります。日頃から心を開いて相談し合える仲間の存在はかけがえのないものです。大学時代の友人は、高校までとは一味も二味も違うものがあります。大学時代は自分の専門性を高める時期にあたり、その過程で、同じような環境のもと、同じような悩みを持った友人は、得難い存在です。人生の益友となります。是非、積極的に友人を作る努力をして下さい。

一方で、信頼できる友人に巡り会える幸運が皆にあるとは限りません。そこで重要になるのは、座右の書を見つけることです。親友や人生の師に比べると、人生の書を求めることは比較的容易です。全世界から、また古典も含めて全ての時代から、自分を勇気づけてくれる書物を見つけることができます。精神を活性化できる言葉、また勇気を奮い立たせてくれる書、折に触れては読み返して、心を落ち着かせてくれる書を求めて下さい。自分に合う座右の書を見つけることは、大学生活のマストであり、その後の人生にも役立ちます。

三つ目は、自分なりの考えを持ち、意見交換できるコミュニケーション能力を身につけることです。

新型コロナウイルス感染症、ウクライナをはじめ世界で起こっている紛争、気象異常や自然災害、食料問題と人口問題などに対して自分の意見を持つこと、その上で、お互いの意見を尊重しつつコミュニケーションできることが重要です。SDGsをはじめとする世界規模の問題を自分ごととして考える訓練が必要です。例えば、日本の少子化をどのように考えますか?皆さんにとって決して他人事ではない問題ですが、自分の考えをもっていますか?色々な事象に関して自分の意見を持つことが貴重な学びの経験となって、今後の人生における知の財産として活かされるはずです。最高学府である大学で、是非、学び、そして考えて下さい。

その時に大切な視点が「世界を視野に 地域から始めよう」という宮崎大学のスローガンです。世界的な大きな問題をローカルな視点から取り組むこと、同時に、極めてローカルな問題をグローバルに発信することの重要性を表現しています。是非、皆さんの若い視点で、これらの困難な課題にも取り組んで欲しいと思います。

さて本日は、本当の学問の素晴らしさに触れること、大学時代の友人と座右の書の重要性、そして自分の考えを持つことの大切さを述べました。その上で最も大切なことは、学生生活を通して宮崎大学を思う存分、楽しむことです。大学生活を楽しんでください。

最後になりますが、宮崎大学はいかなる社会情勢の下にあっても教育、研究、地域貢献を続けていかなければなりません。地域に根ざした大学としての機能を保ちながら、世界を視野に、新しい時代にむけた大学の行動を模索しています。宮崎大学が掲げるこのビジョンを共有して、新入生の皆さんが宮崎大学の新たな歴史のページを開いてくれることを期待し、また確信しています。皆さんの大学生活が有意義で素晴らしいものになることを信じて、私の告辞とします。

令和543日 

宮崎大学長 鮫島 浩


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